データハンドキーボード上に素直に手を置いた時には、左手は小指から順にA、S、D、F、右手は左から順にJ、K、L、:となる。これは通常のQWERTYキーボードと同一である。この状態のままで各指を押し下げると、この文字が入力できる。
QWERTY配列と異なるT、B、Y、Nの入力方法であるが、一例としてTの入力は、QWERTYキーボードでは左手の人差し指を斜め上方向に移動させて入力するが、データハンドでは左手の中指を右方向に動かして入力するようになっている。従って T、B、Y、N の入力には若干の慣れを必要とする。また、ESCとDELキーの配置も、通常のキーボードと異なる。DELは左の小指を左に動かし、ESCは左の薬指を左に動かす。
これらのキー以外の入力は、基本的に QWERTYと同じで、指を上下左右に動かすことによって入力できる。例えば Q の入力は左手小指を上方向に動かして行ない、Zの入力は左手小指を下方向に動かすことによって行う。
データハンドキーボードでは、マウスカーソル及びカーソルキーの移動も行う ことができる。カーソルキーの移動は、まずファンクションモードに入り、右手中指を押し下げることにより、カーソルキー移動モードに入る。この際、左手人差し指を上下左右に動かせば、カーソルが移動する。
マウスカーソルの移動は、マウスカーソルモードに移行して行う。左手ユニットの中指を押し下げることで、マウスカーソルモードに入る。この状態で、左手の人差し指を移動させれば、マウスカーソルを移動させることができる。
日本語入力については、少々面倒だ。通常101キーボードでは、Alt + ~(チルダ)でIMEを起動させるのであるが、データハンドキーボードでは、~(チルダ)キーはNSAモードでないと入力することができない。FEP 起動の際の動作としては、右手親指を軽く押し下げつつ、右手親指の第一関節を外側に張り出させ、同時に左手の小指を右に動かすという、文章で書くと何がなんだかわからないような動作が必要となる。これが非常に面倒くさい。
これだけ特異な形状をしていると、問題点も多々出てくる。以下に、データハンドキーボードでの使いにくい点を列挙してみよう
・カタカナ入力時の長音記号の入力が煩わしい
長音記号は、通常ではマイナスキーを押せば良いのであるが、マイナスキーは一旦NASモードに入らないと入力することができない。したがって、長音記号を入力する際には、右手親指を軽く押し下げつつ、左手人差し指を下方向に動かすといった、これまた面倒な操作が必要となる。
・QWERTY キーボードとキーアサインが異なるキーの入力が面倒
前にも述べたが、QWERTY キーボードとキーアサインが異なっている4つのキーBTYNの入力が面倒である。特にTとNの2個のキーは、日本語を入力する際に頻度が高いため、慣れるまで大変である。その上、TとNのキーは、2回連続して打鍵する場合が多いのだが、Nキーは右手の人差し指にアサインされているので、入力しにくい。
・Caps Lock の問題
これは筆者の環境に特異なことかもしれないが、日本語Windows95環境下において、Caps Lock機能が動作しないという点が見受けられた。ただし、英語モードで使用する分には、全く問題は無い。また、DOS窓の英語モードでも、問題は生じない。どうやらこれは、日本語Windows95固有の問題であると考えられる。
データハンドキーボードは、英語を入力する場合には、慣れれば非常に使いやすいキーボードであると言えるであろう。特に、指の動きが少なくて済むため極めて指への負荷が少ないキーボードであると言えるであろう。
同時に、手首、腕に与える負担も極めて軽いため、腱鞘炎には効果的と思われる。但し、日本語入力時はキーアサインの問題もあり、入力効率は今一歩と言わざるを得ない。また、「にゃ」「にゅ」といった言葉の入力も、QWERTYと比較して極めて入力しにくくなる。
いろいろと指摘したが、ユニークなキーボードとしてはダントツで、マシンと一体化してサイバーな境地に浸りたいという方には持ってこいの製品だ。しかし、その外観は無骨であり、まるでプロトタイプとでも言えるような感じである。とてもキーボードとは思えず、どこか医療器具のような感じすら与える。Kinesis社のエルゴノミックキーボードと異なり、お世辞にも美しいと言うことはできない。特に手を乗せるゴムの部分は汚れが付着しやすく、ポテチをつまみながらの作業は禁物だ。
より高い入力スピードを目指す方は、このキーボードで修行を積んでみたらいかがであろうか?
(参考URL:データハンド社のホームページアドレス)
http://www.datahand.com/
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