■高輪消防署二本榎出張所 (2014/04/27)
「廃墟系」の「旧国立公衆衛生院本館」を取材に行った帰りに、ちょっと足を延ばして「高輪消防署二本榎出張所」に寄る。東京メトロ南北線白金台駅付近の日吉坂上交差点を、八芳園を左手に見ながら桜田通りに向かって進む。桜田通りとの交差点である明治学院前を渡り、次の信号である高輪警察署前の向かいに、高輪消防署二本榎出張所が建っている。
昭和8年に竣工したこの建物は、平成22年3月26日に「東京都選定歴史的建造物」に選定されている。海抜25メートルの位置に建つ鉄筋コンクリート3階建ての建物からは、その昔東京湾まで眺望できたと言う。現在は、交通量の多い交差点の中で、ひっそりと佇んでいた。
1階部分は御影石(花こう岩)の切り出し積みで、庇や窓の部分は佐官洗い出しの仕上げになっている。外壁部分は磁器タイル貼りである。3階には円形講堂があるそうで、8本の梁が中心部分に集まり、10個の窓アーチ部分と一体化している造りになっているそうだ。近代ドイツ表現主義の建物で、設計者は越知操である。
詳細は、東京消防庁高輪消防署のホームページ上に掲載されている。事前に連絡を入れておけば内部も見学できるそうであるが、今回はアポ無しだったので、外側からの撮影のみしかできなかった。建物上部にある円筒形の望楼は、まるで灯台のようだ。実際、東京湾を眺望できた頃は、「岸壁上の灯台」と呼ばれていたそうである。
出張所の駐車場には、現代の消防車の横に、古いボンネットタイプの消防車が保存されていた。高輪警察署前の交差点は交通量が多く、賑やかだ。周辺には高いビルも多いため、今ではすっかり埋もれてしまった感があるが、竣工当時はさぞかし見晴らしが良い場所だったのであろう。
帰り道は疲れたので、高輪警察署前から都バスで目黒駅へ出る。
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