Windows95が動くThinkPad 701CS ThinkPad 701CSには、初期導入OSとして「PC DOS J7.0/V(or J6.3/V)+MS Windows J3.1」、「Windows 95(OSR1)」があった。また「OS/2 Warp V3」についてもサポートされている。このあたり、時代を感じさせる仕様となっている。 |
■ThinkPad 701CS (2006/01/15) IBMが1995年に発売したThinkPad 701CS、通称「バタフライ」は、本コラム2005/08/06付けで、その驚愕のキーボードメカを、また2005/8/28付けで、実物の65%スケールのプラモデル「モスキート」を紹介している。実は、筆者はこのマシンが大好きである。元々、筆者はキーボードオタクであった。DOS/V黎明期に流行ったエルゴノミクス・キーボードを始めとして、歴代IBM PCに使用されてきた純メカニカル式キーボードや、キーの数が極端に少ないコード・キーボード、果てはDataHand社の超絶技巧的キーボードまで、色々と収集をしてきたものだ。ノートパソコンのキーボードは、チャチくて打ちにくい物と相場が決まっていた中にあって、サブノートのサイズにフルサイズキーボードを格納してしまったThinkPad 701CSは、キーボードヲタから見ると、驚愕以外の何者でも無かったのである。 ヽ(´▽`)ノ
しかし、ThinkPad 701CSは、発売当時、如何せん価格が高すぎた。。。確か70万円程度していたように思う。その後、若干下がったようだが、発売終了時でも50万近い「超高額商品」であり、とても手が出せなかった。発売後11年が経過し、漸くオクでそこそこ手頃に入手できるようになってきたこともあり、数台入手し遊ぶことにした。製造終了後、かなりの年数が経過していることもあり、程度の良い個体は少ない。また、絶対的な製造台数が少なかったこともあり、かなりのレア物である。オクでの入手も困難を極めた。。。
ThinkPad 701CSの製品仕様そのものについては、IBMのWEBサイト等で知ることができるので、ここでは割愛する。入手したマシンには、いずれも発売当時に搭載されていた、540MBの12.5mm厚2.5インチHDDに、Windows95が入っているという、今となってはかなり時代遅れの仕様となっていた。そこで、HDD容量を拡張し、OSをWindows98にアップグレードしてみることにする。 なお、製品系列が比較的少ないと言われているThinkPad 701CSであるが、IBMからは、初期導入OSや搭載HDD容量の違いにより、5品種がリリースされていた。マシンタイプ番号は2630で共通であるが、モデル番号は「5SW」、「5TJ」、「5SM」、「7TM」、「7TW」となっている。
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701CSのHDD Packを外す HDDは、Pack方式になっているため、交換は極めて容易だ。HDD Packを外すには、PCMCIAスロットカバーを取り外し、バッテリを抜いた状態で、コイン等でこじって、Packを取り出すだけで良い。 |
ThnkPad 701CSに入っていた純正HDD 12.5mm厚の540MB IDE HDDが搭載されている。容量が少ない上にガタイはでかく、動作音も大きいという、前世の遺物のようなシロモノだ。HDDとトレーとの固定には、M6のトルクスネジが使用されているので、取り外しにはトルクスドライバーが必要となる。 |
HDDを取り外した状態のPack外観 701CSのHDD Packは、専用のトレイに12.5mm厚の2.5インチHDDを搭載する構造になっている。Packと本体とのインターフェスコネクタは、物理形状としては、PCMCIAと全く同じ68 Pinのものを使用しているが、IDE接続であり、PCMCIA Type-IIIとは基本的に異なる。HDDの取り付けには、ネジ経M3、ネジ長5mmの、普通の平ネジが使用できる。秋葉原のネジ専門店「ネジの西川」の門戸を叩くと良い。 |
換装用2.5GB HDD Sofmapの中古パーツ館で、2.5GB、9.5mm厚のHDDを入手。この時注意することは、701CSは古い製品であるため、大容量のHDDはBIOSが認識できないということだ。1パーティション2GB以下に設定し、複数パーティションに分けることにより、6GBのHDDでも使用可能。それ以上の容量については、まだ試していないので判らない・・・ |
換装用2.5GB HDDをPackトレーに取り付ける Packのトレーには、HDD取り付け用のフレキシブル基板コネクタが搭載されている。HDD本体とトレーとは、4カ所のネジで固定する構造になっているが、純正Packだと今のHDDの取り付け孔の位置に合わない。 |
701CS用HDD Pack 2種 奥が純正品、手前がMICROTECH社が発売していたセカンドソース品である「Think Pack」。MICROTECH社は、701専用HDD Packとして、「Think Pak」という名称でトレーを発売していた。1999年頃までは、秋葉原で良くみかけた品物である。今は絶滅・・・ |
純正Packとセカンドソース品との比較 上が701CS純正のHDD Pack、下がMICROTECH社製のもの。純正品は、HDD固定用ネジが内側に設けられているが、MICROTECH社製のものは、その外側にも用意されている。これは、旧型の12.5mm厚2.5インチHDDの他にも、9.5mm厚2.5インチHDDに対応した処置である。 |
MICROTECH社製ThinkPackの裏面 IBM純正品とは異なり、MICROTECH社製のPackには、裏面に薄いシートが張られている。 |
先ず最初に、701CSからHDDを抜き取る。HDD横にあるPCMCIAスロットカバーを取り外し、バッテリを抜いた状態で、HDDをマウントしているPackをコイン等でねじると、簡単に取り外せる。Packはただ単に、2.5インチHDDを専用トレーに搭載しているだけの構造だ。純正品では、12.5mm厚の540MB(もしくは720MB) HDDが搭載されている。トレーとHDDとは、4個のトルクスネジで固定されているので、T6ドライバーで取り外す。固定用ネジは、別にトルクスを使用する必要は無く、普通の平ネジでも構わない。この場合、ネジ経M3、ネジ長5mm、ネジ頭の直径が5mmのものを用意すれば良い。秋葉原では、ネジ専門店として有名な「西川」で簡単に入手可能だ。 次に、換装用HDDを用意する。今回は、Sofmapの中古パーツ館で入手した、IBM Travelstar 2.5GBを使用した。9.5mm厚の2.5インチHDDである。純正のPackを用いる場合、今の薄型2.5インチHDDのネジ孔位置と合わないが、気にせずネジ止めしないことにする。どうしてもネジ止めしたい場合には、純正Packのセカンドソース品である、MICROTECH社製「Think Pack」を使用すれば良い。しかし、今となっては入手困難であろう・・・ ここまで準備できたら、ThinkPad 701CS本体に換装したHDDを挿入し、FDブートでマシンを立ち上げる。Windows98の起動FDで、CD-ROM搭載無しで立ち上げれば良い。コマンドプロンプト上で「fdisk」を起動させ、HDDをパーティショニングする。この時注意しなくてはならないのは、701CSのBIOSでは、1パーティションの上限が2GBであるということ。もし大容量のHDDを使用する場合には、1パーティション2GBで分割しておく。なお、最大何GBのHDDが搭載まで認識可能なのかは、テストしていないため不明だが、筆者の実験では、6GBのHDDを2GB×3パーティションした状態で使用できている。 「fdisk」が終わったら、次に「format」コマンドで、各パーティションをフォーマットしておく。ここで、一旦PackからHDD本体を取り外す。次に、適当なデスクトップマシンに、本コラム2006/01/06号にて取り上げ、「直刺しIDE」を介して、HDDをUSBで接続する。デスクトップマシン上で、HDDにWindows98のCD-ROMの内容を全てコピーする。こうしておけば、CD-ROMが無い701CSでも、OSインストールが可能となる。この方法は、「借腹方式」と呼ばれている。 OSをHDDにコピーしたら、再度HDDをPackに接続して、701CS本体に戻す。Windows98の起動DISKでブートし、OSをコピーしたHDDのドライブに移動して「setup」コマンドを実施すれば、後は自動的にWindows98が導入される。この時、701CSはCPUに80486DX4/75MHzを搭載した、タイヘン古いマシンであるからして、導入には非常に時間がかかることを覚悟しておいてほしい。特に、プラグアンドプレイ機器の検出時など、ハングアップしたかと思うほどダンマリになる。まあ、導入に3時間程度見ておけば、何とかなるでショ・・・ 一旦Windows98が導入できてしまえば、後はOSに搭載されている標準のドライバで全て使用することができる。音も鳴るしビデオの色数も増えるし、PCMCIAカードサービスも導入される。OS導入時には時間がかかるものの、インストールしてしまえば、Windows98でも十分使用することが可能だ。95よりも若干動作が重くなる程度である。WEBの閲覧も、若干遅いものの何とか見ることができるが、IEのバージョンが4であるので、正常に表示できないサイトが多い。この点については、対処方法をまた別途掲載することにする。
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Windows98を導入中 うぁお!激懐かしい画面である!そういえば、95、98の時代には、この画面をイヤってほど見せつけられました・・・ |
Window98が導入されたThinkPad 701CS 長大なインストール時間をかけて、無事Windows98が動作したところ。80486DX4/75MHzというCPUなんだから、まあ仕方ないっていえばそれまでなんだけどね。。。一旦動作してしまえば、後はそれほど遅くも無い。たまには気長にこういうマシンをいじって、癒しを得たらいかがであろうか? |
ThinkPad 701CSの驚愕のキーボードメカ せっかくだから、本マシン最大の特徴である、余りにも有名な折り畳まれるキーボードメカの写真を掲載しておく。このように、LCDパネルを閉じると、自動的にキーボードが2分割され、コンパクトになるという物だ。このメカの動きは、見ていて飽きることが無い・・・ |
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