IBM PC/AT(改)
既にメインマシンとしての座は譲ったものの、まだまだセカンド/サードマシンとして健在なIBM PC/AT(改)。上段が今回改造を施したマシン。下段は、かつてメインマシンとして使用していたもの。いずれもCeleron 1.3GHz CPUを搭載。メモリは512MB。筐体そのものは、1984年にIBMが発売した歴史的名機、IBM PC/AT 5170モノホンそのものを流用している。


■IBM PC/ATにこだわる! <その1> (2005/11/05)

 世のPC/AT互換マザーボードの規格は、ATXフォームファクタからBTXフォームファクタへと移行しているというのに、まだBaby-AT規格を使っている筆者は、頑固を通り越して変人であると、充分自覚している。これにはワケがあって、実は筆者は未だに、IBMが1984年に世に送り出した天下の名機、IBM PC/AT(5170)の筐体を使っているからだ。そう、これこそは、「AT規格」の大元となった、原器的マシンの筐体である。最近になり、既出のサンキュッパのDELL鯖マシンを導入するまでは、ナント、このIBM PC/AT(改)を現役で使っていたのである。

 さて、そのIBM PC/AT(改)であるが、マザーボード等をごっそり入れ替えたものを2台使っていた。そのうちの片方が、最近どうも調子が悪くなった。不調になったマシンは、マザーボードにTIGA社のTI-815E+Sという、全く全然さっぱり金輪際聞いたことも無いようなメーカーの、Baby-ATフォームファクタのボードが入っている。このマザー、本HPの「マザーボードミュージアム」にも詳細を記載してあるが、今から3年ほど前、2002年7月19日号の「impress AKIBA PC Hotline!」の記事中でハケーンしたものだった。当時も既に、Baby-ATフォームファクタのマザーボードは払底状態であったのだが、秋葉原のパソコン工房がサンプル的に4枚ほど入荷したとのこと。この記事を受け、さっそく4日後に同ショップを訪問し、運良く最後の1枚(展示品)を手に入れたのが、これだった。
ヽ(´ー`)ノ

 このマザーボード、Baby-ATのくせして、PCIの他にAGPスロットも搭載しているのがウリとなっていた。但し、CPUにTualatinコアのCeleronが使用できない、という仕様上の致命傷があった(もっとも「使用できない」と明言してあるワケでは無いので、「ひょっとしたら動く可能性もあるかも知れないけど、止めといた方が無難」という表現が適切かと思われる)。このマザーボードに、カッパマインコアのCeleron(俗称:カッパ)1.0GHzを搭載し、Windows2000マシンとして使用していたのであったが、組み立てた当時から、パフォーマンスが相当悪かった。世に言う「遅いマザー」であったのだ・・・
_| ̄|○

 まあ、そうはいっても、WEBやメールには十分な性能なので、暫くはバックアップマシンとして使っていたのだが、ついにマトモに起動できなくなってきた。この間、Windows2000、XP、FreeBSD、RedHat Linuxと、ありとあらゆるOSを使って来たが、怪しいマザーボードの割には、不思議とトラブルは発生していなかった。そういった面では、遅いけどいいヤツだったと言えるであろう。
┐(´ー`)┌


今回移植を行ったドナーマシン
ドナーマシンとしては、以前作った、どうといったことのないミニタワー筐体のマルチOSマシンを選定。この中身をごっそりと抜き取り、IBM PC/AT(改)マシンに移植することにした。

改造前のIBM PC/AT(改)セカンドマシンの内部
マザーボードの不調に陥ったセカンドマシンの内部。筐体はオリジナルのIBMPC/ATそものもを流用。電源ユニットがバカでかく見える。マザーボードはTIGA社の怪しいBaby-ATを使っていた。こう見ると、無駄にデカい筐体だ!!!まあ、1984年当時は、マザーボード自体現在の倍近い大きさがあったから、仕方なかったのであろう。

拡張カード類を取り去ったところ
移植作業を開始。とりあえず現状の臓物を抜き出す。拡張カードを全て取り去ったところ。3年間使ってきた、TIGA社の怪しいマザーボードが剥き出しになっている。

TIGA社製TI-815E+Sマザーボード
聞いたことの無いメーカー、TIGA社のBaby-ATマザーボード。このマザーは、ATXフォームファクタ全盛の時代に、AGPスロット付きBaby-ATとして販売していたところが最大の特徴であったが、如何せんTualatinコアのCPUに対応しておらず、またボード自体のパフォーマンスも低かったので、日本では全然流行らなかった。その意味では、案外コレクターズアイテムと言えるかもしれない。同じBaby-ATフォームファクタのマザーボードでも、ZIDA社のTOMATO(TX-810EU)があんなにメジャーになったのにねぇ。。。

TIGA社製TI-815E+Sで使用していたCeleron CPU
TualatinコアのCeleronが使用できなかったため、このマザーボードにはカッパマインコアのCeleron 1.0GHzを挿していた。内部キャッシュ128KBのモノである。ショボい。ショボ過ぎる!!

 さて、TIGA社のマザーをぶっこ抜いた後何を入れるか?、という問題だが、部屋の片隅に埋もれていたミニタワーマシンの内臓を、そっくりそのまま移植することにした。なぜかこのマシン、TIGA社のマザーよりも高速のCPUを搭載していながら、ほとんど使っていなかったのだ。使用しているマザーボードは、ZIDA社のBaby-AT、TX-810EUである。このマザーは、知る人ぞ知るという、超有名マザーである。Baby-ATでTualatinコアのCeleronが使える製品として、Baby-AT末期に一世を風靡した製品だったのだ、と書くと、大袈裟過ぎる・・・
(´D`)ノ

 今回は、既に動いているマシンから移植するだけなので、これといってトラブルも発生しない。特に書くことも無いので、オリジナルのIBM PC/ATの筐体について書いておこう。筆者宅にある1984年製のIBM PC/AT(IBM 5170)は、その昔、秋葉原のジャンク屋で投げ売りしていた際に、4台ほど購入しておいたものだ(いずれも1台2〜3,000円程度の捨て値でね!)。うち1台はオリジナルそのままの状態で倉庫に保存。1台は、ドンガラケースにして、同じく倉庫に保存。そして残りの2台を、かつてのメインマシンとサブマシンに使って来たというワケだ。

 実用化するに当たり、電源は新品に交換した。IBM PC/ATマシン本体のジャンクを秋葉原にて購入した当時(1990年頃)、アメリカの通販専門ショップ「JDR」では、まだXT電源やAT電源を販売していた。そこから、各々2台の電源を購入し交換した。さすがに1984年製造の電源を使うのは、部品の劣化も考えられ怖いからねぇ。。。このケースには、486時代から、様々なマザーボードを搭載してきた。もちろん、全てBaby-ATフォームファクタのボードである。ISAバスからOpti Localバス、VLバス、PCIバスと、搭載したマザーボードは、そのままDOS/V互換機の歴史になってしまっている。搭載したCPUも、最初は486DXに始まり、DX4、Pentium、K6、K6-2、Pentium II、Celeronと変遷している。

 ヘビーデューティーで飽きの来ない質実剛健な筐体は、今でも大変気に入っていたのだが、一つだけ難点があった。それは、ベイの数が少なすぎるということである。表に出ている5インチベイは、たったの2つ。残りは筐体内に2つのシャドウベイがあるだけなのだ。フルサイズの拡張カードが余裕で入るのは良いのだが、このベイの数の少なさだけは、どうしようも無かった。今回も、リムーバブルHDDとCD-ROMで、表のベイは全部占領されてしまったので、しゃーないからFDDは強制外付けとなってしまった・・・まあ、これはこれで、ジャンキーな雰囲気が出て、なかなかオシャレではあると、納得するしかないな。。。

 さて、こうして組み上がったマシンだが、メモリが256MBと若干心細いことと、今時X32倍速のCD-ROMドライブというのも寂しいものがある。また、ビデオもなぜかMatroxの初代ミレニアム!という、これはこれで骨董品的価値の高いものが付いており、パフォーマンスは激悪だ。というわけで、次回は、もう少しチューンナップしてみることにしよう。
ヽ(´ー`)ノ

 (余談)
オリジナルのIBM PC/ATには、5インチ・フルハイトのST-506型ハードディスクが内蔵されていた。容量は1基当たり20MB。この漬け物石のようにでかくて重いHDDは、起動にものすごく時間がかかったものだ。また、電源を切る際にも、コマンドプロンプトから専用のソフトを走らせ、ヘッドを安全な所(Land_ZONE)へ移動させなくてはならないという、結構気を遣うシロモノだった。それでも、FD無しでOSが起動することは、涙が出るほど便利に感じたものだ。。。ってハナシを今時しても、誰も頷いちゃくれねぇよなぁ・・・

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TIGA社製TI-815E+Sの外箱
台湾製マザボのお約束、やたら派手な箱に入っていた。

今回使用したZIDA社製TX-810EUマザーボードの箱
載せ替えるマザーとしては、有名なZIDA社製TX-810EUをチョイスした。Baby-ATでTualatinコアのCeleronに対応している貴重なボードで、安定性も抜群に高い。難点はAGPスロットが無いことだ。TIGA社製と同じく大変コンパクトにまとまっている。

移植完了!
IBM PC/ATの筐体に移植された、ZIDA社製TX-810EUマザーボード。ドナーマシンからの移植が終了したところ。この時点では、まだメモリ256MB、ビデオはMatroxの初代ミレニアム!という、超古い構成。

IBM PC/AT(改)の前面スロット部分
オリジナルのIBM PC/ATの筐体は、ベイの数が恐ろしく少ない。2つしか無い!CD-ROMとリムーバブル対応HDDケースで埋まってしまった。FDDはどうしよう・・・

背面からケーブルを引き出してFDDを接続
ベイが無いからFDDは内蔵できない。しゃーないので、背面のブランクブラケット部分から電源とFDケーブルを引き出して、外付けにしてみますた。これはこれで、ジャンキーでオシャレかと・・・

外付けFDD
剥き出しのFDD。使用しているのは、5インチベイ1個で5.25インチFDDと3.5インチFDとの2つが使用できるという、当時としてはスグレモノの一品。今となっては、結構プレミアムが付いていると聞く。筆者宅には3台あったのだが、続々と壊れてゆき、これが最後に残った1台である。。。

純正筐体の証!
IBM PC/AT(5170)純正筐体の証!前面パネルに輝くエンブレム!すでに製造されてから21年が経過しているとは思えないほど、筐体のコンディションは良い。

背面の銘板
「Manufactured by IBM, Armonk, New York」、「Model No. 5170」の記述が見える背面。COPYRIGHTは1983年となっている。


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