PC CHIPS M741LMR (1999)

写真1:PC CHIPS M741LMR 表面

写真2:PC CHIPS M741LMR 裏面


■PC CHIPS社製M741LMRシステムボードの製品版。     
 既出のM741プロトタイプモデルの後、製品化されて発売されたものであ
 る。プロトタイプ版とは使用デバイスが微妙に異なっている。      
 ボードは1999年03週製造。19×24.5cmのMicroATXフ
 ォームファクタ。                          
■M741プロトタイプ版との相違は、下記の通り。           

 ・プロトタイプ版ではLANチップにDAVICOM社のDM9102Fネ
  ットワークコントローラを搭載していたが、製品版ではPCNet社の 
  HT2019PCIに変更されている。               
 ・SIS595チップセットの上に「AGP 8M UltraDMA66
  PC99 Connector」と書かれたシールが貼付されている。 
 ・BIOSチップ上にシールが貼付されている。            
 ・Xcel2000ヒートシンク上の捺印に「Video inside」
  の文字が無い。                          

■ファックスモデムチップは、PCtel社製100Pin QFPパッケー
 ジのPCT789T。モデムのモジュラージャックモジュールは、マザーボ
 ード上のヘッダピンに直接接続される構成となっている。このチップは、後
 に発売されるM741LMRTでは、サウンドチップ中に取り込まれる。 
■ネットワーク機能は、オンボードで搭載されているPCNet社製ネットワ
 ークチップ、HT2019PCIを使用。128Pin QFPパッケージ
 の石で、100BASE−TXと10BASE−Tの機能を実現する。  
 LANのコネクタモジュールは、マザーボード上のヘッダピンとフラットケ
 ーブルで接続する。                         
■チップセットは、Xcel2000と捺印されたBGAタイプのLSIと、
 SIS社製LSI SIS5595の2個構成。Xcel2000はノース
 ブリッジで、SIS社製SIS−620を搭載。一方、SIS5595はサ
 ウスブリッジで、PC CHIPS社のM570マザーボードにも採用され
 ている208Pin QFPパッケージのLSI。           
■サウンドチップには、3D Sound Proのアップグレード版である
 3D PCI Sound Proをオンボードで搭載。このチップは  
 SPDIFのIN/OUT機能を内蔵し、4CHスピーカ出力もサポートし
 たもの。但し、M741LMRTのように、ファックスモデム機能は内蔵さ
 れていない。                            
■オンボードビデオ機能は、8MBのフレームバッファを使用した64bit
 3D AGPグラフィックアクセラレータを搭載。AGP Rev2.0を
 サポートする。ビデオ機能はXcel2000チップセット中に内蔵されて
 いるが、プロトタイプ版では記載されていたヒートシンク上の「video
 inside」の文字が、製品版では消えている。なお、Xcel2000
 に内蔵されているビデオ機能は、SIS社製グラフィックスチップの代表作
 であるSIS−6326AGPの機能を拡張したものとなっている。   
■本ボードの主要デバイスは下記の通り。                
 ・Xcel2000:North-Bridgeチップセット(SIS-620)       
 ・SIS5595 :South-Bridgeチップセット            
 ・HT2019  :PCNet社製ネットワークコントローラ     
 ・HT8338A :3Dサウンドチップ               
 ・IT8770F :ITE社製I/O制御チップ           
 ・PCT789T :PCTel社製ファックスモデムチップ      
 ・W83194R :Winbond社製(機能不明)         
■以下にボードのスペックを示す。                   
項 目
内 容
CPU
intel SEPP-Celeron、Pentium-II(Slot1)
CPU Clock 266 - 433 MHz
FSB 66 / 75 / 83 / 100 MHz
Chip Set
North Bridge:Xcel2000 (SIS-620)
South Bridge:SIS5595
Momory
168 Pin DIMM スロット3個搭載
最高 768 MB まで拡張可能
Bus PCI×1本、ISA×1本
Super I/O
COM1 , COM2 , LPT1 , FDD , Primary-IDE , Secondary-IDE
PS/2 Mouse, USB1 , USB2 , LAN(10/100 BaseT), FAX/Modem , IrDA
64-bit VGA(2D/3D Accelerator) , 3D-Sound(PC98 Audio)
BIOS AMI BIOS

写真3:Xcel2000 チップセット(SIS-620)

写真4:SIS-5595 チップと BIOS

写真5:3D Sound Pro チップと PC Net ネットワークチップ

写真6:PC Tel モデムファックスチップ

写真7:ITE I/O 制御チップ

写真8:Slot1 スロットと各種 I/O コネクタ周辺部分

写真9:各種インターフェスコネクタ

写真10:LAN コネクタブラケット

写真11:モデムコネクタブラケット

写真12:M741LMR 外箱

写真13:M741LMR 製品カタログ

■コメント                              
 Xcel2000(SIS−620)とSIS−5595チップセットを採
用したPC CHIPS社の初期のオールインワンマザーボードの、正式製品
版です。このボードの元となったプロトタイプ版は、別のページに掲載されて
います。プロトタイプ版も製品版も、1999年前半に出ています。両者の構
成はほとんど同じですが、唯一ネットワークコントローラチップだけが異なっ
ています。プロトタイプ版では「DAVICOM」社製のチップが搭載されて
いましたが、製品版では「PCNet」社製チップに変更になっています。最
も、チップは同一のもので、捺印のみ変えてあるだけなのかもしれませんが。

 その他の構成は、プロトタイプ版とほぼ同じです。なぜかわかりませんが、
製品版ではXcel2000のヒートシンク上から、「video insi
de」の文字が消えています。2D/3Dビデオ機能はチップセットの中に入
っているので、なぜ捺印だけ消して発売したのかは不明です。某intelか
らクレームが入ったのかもしれません。。。。。             

 このボードはすぐにバージョンアップされ、今度はSlot1、Socke
t370とをデュアルで搭載したM741LMRTが登場しました。このM7
41LMRでは、サウンドチップとファックスモデムチップが分離しています
が、M741LMRTでは、全て3D Sound Proチップに集約され
ており、デバイスが1個削減されました。                

 メインとなるSIS−620チップセットは、2D/3Dアクセラレータ機
能をチップ内部に搭載したノースブリッジで、同じくSISの6326AGP
チップをベースとし、改良を加えたものです。64ビット、100MHzのデ
ータパスを備え、最大800MB/sのデータ転送レートを実現できました。
PC100SDRAMコントローラ機能も内蔵しており、最大1.5GBまで
のメモリを搭載することがきます。IDEインターフェスは、UltraDM
A33と、ATA−66をサポートしていました。一方、サウスブリッジであ
るSIS−5595はPCI−ISAブリッジとして機能します。     

 とにかく、M741シリーズはPC CHIPS社のシステムボードの中で
も多くの数が出た製品であり、その後のブックパソコンの先鞭を付けた製品と
言えます。2003年現在でも、余った部品を使用してもう一台作成する際の
ベースマザーボードとして、マニアの間でも重宝がられています。     

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