PC CHIPS M565 TOPGUN (1997)

写真1:PC CHIPS M565 MB 表面


■台湾のマザーボードメーカー、PC CHIPS社のSocket7マザー
 ボード、M565。ベビーATサイズのボードで寸法は26×22cm。 
 1997年52週前後の製造。ボードのリビジョンはV1.2。     
■M565は、その後すぐに登場するM575のプレリリース版とも思える製
 品である。製品名称として「TOPGUN」の愛称が付いているが、PC1
 00規格登場前のATマザーボードとしては、当時極めて高いスペックを有
 していたことによる。                        
■M575との相違点は下記の通り。                  
 ・オンボードサウンド機能が省略されている。             
 ・PCIバススロットが5本と、M575よりも1本多い。       
 ・ATXフォームカードの搭載方法がM575と異なる。        
 ・基板上に「TOPGUN」のシルク印刷がある。           
■チップセットにALi社製Alladin W+ チップセットを搭載した
 製品。PC CHIPS社のマザーボードでは、このチップセットにTX 
 PROという捺印を付けて搭載していた。Alladin W+チップセッ
 トは、チップ内にSuperI/O機能を内蔵しているため、本ボードには
 ITE社製等のI/Oコントローラチップは搭載されていない。チップセッ
 トは2個構成で、型番は下記の通り。                 
 ・PC82C439TX(1997年42週製造)           
 ・PC82C371TX(1997年42週製造)           
■intel Pentiumの他に、Cyrix/IBM、AMD、IDT
 の各CPUが使用できた。CPUクロックのサポート範囲は90〜300 
 MHz。外部バススピードは60/66/75/83.3MHz。    
■ISAバスを3本、PCIバスを5本搭載。72Pin SIMMスロット
 を4本、168Pin DIMMスロットを3本搭載しており、最大メモリ
 搭載容量は384MB。なお、テーブルフリーコンフィギュレーション機能
 を搭載しており、SIMMとDIMMの混在使用が可能であった。    
■オンボードで1MBのレベル2 PBSRAMキャッシュを搭載。    
 キャッシュメモリチップにはUtron社製のUT6164C64AQ−6
 (1997年51週製造)を2個使用している。このチップはワンチップで
 512KBのキャッシュメモリを構成しており、2個使用することで、当時
 としては驚異的のオンボード1MBのキャッシュを実現していた。    
■オンボードI/Oは、IDE2系統とFDD、シリアル×2、パラレル×1
 USB×2、PS/2、IrDA及びサウンド機能。USBとPS/2、 
 IrDA機能は、オプションのATXフォームカードで提供。      
 IDEはUltraDMA/33をサポートし、528MB〜8.4GBの
 HDDが使用可能であった。                     
■使用デバイスは下記の通り。                     
 ・PC82C439TX :ALi社製TX−PROチップセット    
 ・PC82C371TX :ALi社製TX−PROチップセット    
 ・UT6164C64AQ:Utron社製512Kキャッシュメモリ  
 ・UT61256JC−8:Utron社製タグRAM         
■BIOSはAMIBIOSを搭載。                  
■以下にボードのスペックを示す。                   
項 目
内 容
CPU
intel Pentium P54C/P55C(MMX)、AMD K5/K6
IDT C6、Cyrix/IBM 6x86MX(M2)
CPU Clock 90 〜 300 MHz
BUS Clock 60/66/75/83.3 MHz
Cache Memory
1MB PBSRAM L2 Cache 搭載
Utron:UT6164C64AQ-6 を2個使用
Chip Set
・ALi TX PRO Chip Set
 PC82C239TX、PC82C371TX
Momory
168 Pin DIMM スロット×3
72 Pin SIMM スロット×4
合計最高 384 MB まで搭載可能
Bus PCI×5本、ISA×3本搭載
Super I/O
COM1、COM2、LPT1、FDD、Primary-IDE、Secondary-IDE
3D Sound、PS/2、USB1、USB2、IrDA
BIOS AMI BIOS

写真2:ALi TX-PRO(PC82C439TX)チップセット

写真3:UTron製 1MB キャッシュモジュール

写真4:キーボードコネクタ周辺部

写真5:ATX フォームカード

写真6:M565 製品カタログ

■コメント                              
 TOPGUNの異名を持つPC CHIPS社のマザーボード、M565で
す。チップセットにALiのTX−PROチップを搭載し、300MHzまで
のCPUクロックと83.3MHzのバスクロックを実現していました。PC
100規格が登場する前としては、最高のスペックを持ったボードでした。 

 TOPGUNの名称を持つボードとしては、M575が有名です。M565
はM575が登場する直前、プレリリースのような形で製品化されたものでし
た。チップセットはM575と同じTX−PROを搭載していましたが、オン
ボードサウンドチップは非搭載となっています。ほとんどのマザーボードに、
オンボードで3D Sound Proを搭載してきたPC CHIPS社と
しては珍しい仕様であると言えます。その代わり、PCIバススロットは5本
も用意されていました。拡張性を重視した製品と言えます。        

 M565では基板上に誇らしげに「TOPGUN」のシルク印刷があります
が、M575では無くなってしまいました。どのような事情があったのかは不
明です。ATXフォームカードの搭載方法も、M575と異なっています。 
M565では、基板上のヘッダからケーブルを介してブラケットを接続すると
いう、ATXフォームカードとしては一般的に採用されている方法を採ってい
ましたが、M575では基板上のヘッダピンに直接ブラケットを接続する方式
となっており、ケーブルが省略されました。               

 PCIスロットの数が多いことや、オンボードのサウンドチップが無いこと
及びATXフォームカードのヘッダピンの位置が異なっていることから、  
M565とM575とでは微妙に部品レイアウトが異なっています。    

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