PC CHIPS M575 TOPGUN (1998)

写真1:PC CHIPS M575 MB 表面

写真1:PC CHIPS M575 MB 裏面


■台湾のマザーボードメーカー、PC CHIPS社のSocket7マザー
 ボード、M575。ベビーATサイズのボードで寸法は26×22cm。 
 1998年02の製造。ボードのリビジョンはV1.1。        
■チップセットにALi社製Alladin W+ チップセットを搭載した
 製品。PC CHIPS社のマザーボードでは、このチップセットにTX 
 PROという捺印を付けて搭載していた。Alladin W+チップセッ
 トは、チップ内にSuperI/O機能を内蔵しているため、本ボードには
 ITE社製等のI/Oコントローラチップは搭載されていない。チップセッ
 トは2個構成で、型番は下記の通り。                 
 ・PC82C439TX(1997年47週製造)           
 ・PC82C371TX(1997年47週製造)           
■M575はPC100規格が登場する前の、Socket7最強のスペック
 を持ったマザーボードであった。そのためPC CHIPS社はこのマザー
 ボードに「TOPGUN」の愛称を付けていた。            
■intel Pentiumの他に、Cyrix/IBM、AMD、IDT
 の各CPUが使用できた。CPUクロックのサポート範囲は90〜300 
 MHz。外部バススピードは60/66/75/83.3MHz。    
■ISAバスを3本、PCIバスを4本搭載。72Pin SIMMスロット
 を4本、168Pin DIMMスロットを3本搭載しており、最大メモリ
 搭載容量は384MBとなっていた。                 
■オンボードで1MBのレベル2 PBSRAMキャッシュを搭載。    
 キャッシュメモリチップにはUtron社製のUT6164C64AQ−6
 (1998年02週製造)を2個使用している。このチップはワンチップで
 512KBのキャッシュメモリを構成しており、2個使用することで、当時
 としては驚異的のオンボード1MBのキャッシュを実現していた。    
■オンボードI/Oは、IDE2系統とFDD、シリアル×2、パラレル×1
 USB×2、PS/2、IrDA及びサウンド機能。USBとPS/2、 
 IrDA機能は、オプションのATXフォームカードで提供。フォームカー
 ドは、基板上のヘッダピンにブラケットモジュールを直接接続する。   
■サウンドチップは3D Sound ProPCI版(HT1869V+:
 1997年53週製造)を搭載しており、PC98オーディオに準拠。  
 SPDIFインターフェースを内蔵しており、HRTFポジショナルオーデ
 ィオにも対応していた。                       
■使用デバイスは下記の通り。                     
 ・PC82C439TX :ALi社製TX−PROチップセット    
 ・PC82C371TX :ALi社製TX−PROチップセット    
 ・UT6164C64AQ:Utron社製512Kキャッシュメモリ  
 ・UT61256JC−8:Utron社製タグRAM         
 ・HT1869V+   :3D Sound Proチップ      
 ・CS4968AM   :クロックジェネレータチップ        
■BIOSはAMIBIOSを搭載。                  
■以下にボードのスペックを示す。                   
項 目
内 容
CPU
intel Pentium P54C/P55C(MMX)、AMD K5/K6
IDT C6、Cyrix/IBM 6x86MX(M2)
CPU Clock 90 〜 300 MHz
BUS Clock 60/66/75/83.3 MHz
Cache Memory
1MB PBSRAM L2 Cache 搭載
Utron:UT6164C64AQ-6 を2個使用
Chip Set
・ALi TX PRO Chip Set
 PC82C239TX、PC82C371TX
Momory
168 Pin DIMM スロット×3
72 Pin SIMM スロット×4
合計最高 384 MB まで搭載可能
Bus PCI×4本、ISA×3本搭載
Sound
3D Sound Pro チップをオンボードで搭載
PC98 準拠、HRTF、SPDIF 機能搭載
Super I/O
COM1、COM2、LPT1、FDD、Primary-IDE、Secondary-IDE
3D Sound、PS/2、USB1、USB2、IrDA
BIOS AMI BIOS

写真3:ALi TX-PRO(PC82C439TX)チップセット

写真4:ALi TX-PRO(PC82C371TX)チップセット

写真5:3D Sound Pro(HT1869V+)チップ

写真6:UTron 社製 1MB L2 キャッシュメモリ

写真7:クロック制御チップ周辺部

写真8:キーボードコネクタ周辺部

写真6:M575 製品カタログ

■コメント                              
 TOPGUNの異名を持つPC CHIPS社のマザーボード、M575で
す。チップセットにALiのTX−PROチップを搭載し、300MHzまで
のCPUクロックと83.3MHzのバスクロックを実現していました。PC
100規格が登場する前としては、最高のスペックを持ったボードでした。 

 TX−PROチップセットはALi社製Alladin W+チップのこと
で、チップセット内部にSuperI/O機能を内蔵してしまっているため、
従来は外付けとなっていたITE社製I/Oコントローラチップが本ボードに
は搭載されていません。また1MBという大容量のL2キャッシュメモリをオ
ンボードで搭載していることも、特徴となっていました。キャッシュメモリチ
ップには、Utron社製のメモリチップが使用されています。      

 USBやIrDA機能は、オプションとして用意されていたATXフォーム
カードを用いることで利用できました。このカードは、M575の場合、基板
上のヘッダピンに直接ブラケットモジュールを挿し込んで使用する方式となっ
ていました。PS/2マウスコネクタは、ピンヘッダの他にもキーボードコネ
クタ横に搭載されていました。IDE機能はUltraDMA/33に対応し
3Dサウンド機能もオンボードで提供しています。バスクロックの最高周波数
が75MHzまでといった製品が一般的であった当時、83.3MHzまでを
サポートしたこのボードは高いパフォーマンスを有していました。そのため、
同社のカタログでは、背景にジェット戦闘機の写真が配置されています。  

 なお、PC CHIPS社でTOPGUNの愛称を持つマザーボードは、 
M575の他にM565という製品がありました。M565の基本構成は、M
575とほとんど同一でしたが、PCIバススロットが5本搭載されており、
オンボードサウンド機能が省略されている点が異なっています。チップセット
は、M575と同様、ALi社のTX−PROチップセットが搭載されていま
した。PCIを5本搭載するより、サウンド機能をオンボードで提供してコス
トパフォーマンスの高い製品にバージョンアップしたものと思われます。  

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