■ FIAT 500L Topics Page 12 ■
ちょっとだけチューニング

写真1.各部のチューニングを施したエンジンルーム内部
今回は同時点火コイルの搭載、アルミオイルパンの搭載、電磁ポンプの搭載、それに加えてハーネス類の全交換というメンテナンスを実施した。同時点火コイルの導入により、デストリビューターからのプラグコードが無くなっている点に注意。


 基本的なメンテナンスも一段落したので、念願のチューニングを行うことにした。このチューニング計画は、購入時より検討していたものの、なかなか予算等の工面が付かず、延び延びになっていたものだ。チューニングとはいっても、エンジンのボアアップといった大がかりなものでは無い。熱対策としてのアルミオイルパンと電磁ポンプの装着、ワイヤーハーネス類の全交換、同時点火ユニットの導入といった、基本的なものである。

 アルミオイルパンは、実は筆者のチンクェチェントに一度装着したことがあった。もうかれこれ4年くらい前のこと、NANNIの3リットルタイプのものを搭載したのであるが、これが不良品であった!どうやら極めて細かいクラックが入っていたと見え、装着後半年くらいでオイル漏れがひどくなり、結局ノーマルの鉄製オイルパンに戻したという苦い過去がある。それ以来、装着しようとは思っていたが、部品も高価であるためなかなか踏み切れなかった。

 電磁ポンプは、始動性を良くするために導入。機械式ポンプでは、毎度のことながら長い間セルを回さないとエンジンがかからない。もともとカブるのを防止するため、キャブのジェットをあまり開いていないということもあり、始動には難儀していたのである。また、しばらく走行した後に再始動させると、熱のためポンプ内部でガスが気化してしまい、一種のパーコレーションのような症状を頻発していた。こういった時は、ポンプ表面に、静かに飲みかけのウーロン茶などを垂らし、冷やしてやれば復活するのだが、毎回そんなことばかり行なうわけにもゆかない。 ´_ゝ.` という訳で、導入を決意した。純メカニカル式の車に、こういった電気的なアシストを加えるのに抵抗を覚えるマニアも多いようだが、筆者の場合、乗りやすさ第一の考え方なので、別に気にはしていない。

 ハーネスは、購入時より検討していた項目である。このチンクェチェントは1971年の製造であるが、33年という歳月を経過して、電線類は被服がすべてカチカチに固まってしまい、いつ切れてもおかしく無い状況となっていた。そんな中でだましだまし5年間乗ってきたのだが、もう限界が近いと判断。この際思い切って全交換に踏み切った。前回メンテナンスを行った際に、ショップの方から「ハーネスが熱を持つので、そろそろ取り替えた方が良い」という助言を頂いたことも一因である。

 同時点火ユニットの導入も、チンクェチェント購入時から検討していた項目である。最初はフルトラもしくはセミトラの導入を考えていた。しか〜し、今までアドバイスをくれた人で、誰一人としてフルトラやセミトラを推奨した人間はいなかった。曰く、あれは故障時の探求が困難だ、とか極めて良く壊れる、等々。。。。そんな中、ほぼ全員といって良いほど意見が同じだったのが、同時点火コイルは良いということ。それならばということで、これを機会に導入してみることにした。


写真2.同時点火コイルユニット
同時点火コイルユニット。日本製でダイアモンド電機株式会社製造のもの。同社は高圧制御回路にノウハウを持っている。FIAT500の同時点火コイルとしては、だいたいこの製品が用いられることが多い。一次抵抗値は1.8Ω。これに外付けで1.7Ωのセメント抵抗を接続し、総計3.5Ωの一次抵抗を得ている。整備マニュアルでは一次抵抗値は3.2Ω以上と規定されているので、大丈夫。今までのイグニッションコイルと異なり、二次ターミナルが二つある(当然か。。。)

写真3.ディストリビュータキャップ上部
同時点火コイルを導入することで、デストリビュータキャップからの配線は当然のことながら不要となってしまう。そのため、デスビは見るも哀れな姿をさらす。同時点火の最大のメリットは、デスビキャップとデスビロータが不要になる点。信頼性の向上には、計り知れない効果がある。ところで、デスビはこのままの状態にしておくのが良い。いざとなったら、ノーマルの点火系にすぐに戻すことができるからだ。 ヽ(´ー`)ノ

写真4.ミツバ製電磁ポンプユニット
意外に大きかったのが、ミツバ製電磁ポンプユニット。搭載場所はパーコレーション防止のため、フロントボンネット内部に固定する。このポンプユニットの大きさは、約20cm以上ある。そのため装着場所には若干工夫が必要。ミツバ製電磁ポンプは、燃圧0.3kg/m2。機械式ポンプがどの程度の仕様なのかは不明。駆動用12V電源は、ヒューズボックスから直接接続する。

写真5.オリジナルのメカ式燃料ポンプユニット
電磁ポンプ搭載で不要になったメカポンプは、取り払うようなことはせず、このようにそのまま封をして残しておくのが正解。もし電磁ポンプが故障したら、すぐに元の状態に戻すことができるからだ。 ヽ(´ー`)ノ

 今回のチューニングで一番効果的だったのが、同時点火コイルであろう。とにかく、ウソみたいにアイドリング回転が安定した。理論上でも、ローターによる分配が無いため、特に高回転域でのミスファイアとタイミングのズレが無くなり、安定するということは予測していたが、全域に渡りこれほどまで安定した回転になるとは思いもよらなかった。デスビの分配による効率低下が無くなったことも大きいと思われる。しかし、たったこれだけの改造で、これほどまで静かなエンジンに生まれ変わるとは驚きだ。やはり同時点火システムの導入は良いという噂は、本当だったと言える。いや、大げさな表現では無くてね。

 電磁ポンプの効果も大きい。始動性向上はもちろんのこと、かなり長い間走り込んだ後での再始動も、安心して行えるようになった。今までは、走り込むとフューエルストレーナー内部のガスが全て気化してしまっていたが、電磁ポンプ搭載により、それが無くなった。パーコレーション防止には効果的と思われる。完調のエンジンシステムであれば、機械式ポンプでもパーコレーションの心配は無いのかもしれないが、これを予防できる意味で効果は、主に精神的な面で大きい。

 ハーネス交換は目に見えるような効果は無いものの、配線を引き直したことにより、余裕を持って運転できるのがうれしい。さらに、筆者の車の場合、もともとの配線が結構いいかげんになっており、スモール点灯スイッチでいきなりロービームのライトが点灯する状態だった。今回の根本的な改良で、誤配線が一気に修正されたのは有り難い。また、以前はハザード点滅時にメータランプが同期して点滅しなかったのだが、今回のハーネス交換に乗じて、点滅するように修正した。

写真6.無印アルミオイルパン(3リットルタイプ)
マニアであればアバルトやナンニといった、ブランド物のオイルパンを装着するところであるが、筆者は経済面で無印を装着。元々無印良品は大好きな人間だから、別に気にしない。オイル容量アップできちんと冷やしてくれれば、どんなブランドであろうと構わない。とはいっても、予算に余裕があれば、やっぱアバルトあたりを付けたかったのも事実。 (σ´ー`)σ

写真7.アルミオイルパン装着時のリアビュー
アルミオイルパン装着時のリアビュー。今までの黒い鉄製オイルパンでは、今ひとつ締まらなかったオシリが、銀色の箱によって引き締まって見える。ちょっとしたことだけど、結構効果は大きい。一回アルミオイルパンを装着してしまうと、ノーマルのオシリは何となく寂しく見えてしまう。ファッションとしても効果は大きい。

写真8.ハーネス交換後のヒューズボックス
ぜ〜んぶ新品のケーブルで作り直したハーネス。ヒューズボックス周りのキレイになり、ホントに気持ち良い。右上に見えるリレーは、ハザード用のもの。

写真9.ダイナモ端子のアップ
ダイナモの端子に接続するコードは、お約束に従いちょっとだけ太いものを採用している。安定した電源を供給するための小技。

写真10.交換した部品一覧
今回のチューニングで交換した部品の数々。イグニッションコイル、フューエルストレーナ、ハザードリレー、ハイテンションコード等。ハイテンションコードは、同時点火の採用により、デスビ中央端子とイグニッションコイル二次端子とを接続するケーブルが不要になったために余ったもの。

写真11.交換したイグニッションコイルユニット
今まで使用してきたイグニッションコイル。BOSCH製でメイド・イン・ブラジル。製品の信頼性はかなり高く、4年以上に渡って、ノントラブルで高圧を発生していた。当然まだ使用可能。これは常時車内に置いておき、何らかのトラブル発生でノーマルの点火システムに戻す場合に使用する。

写真12.交換した鉄製オイルパン(2リットルタイプ)
今まで使用していた鉄製のオイルパン。容量も少ないし、いかにも頼りない感じがする。とはいっても、実用上はまだ十分使用可能だ。もったいないから保存して置こう。

写真00.エンジンブロック内部の状況
今回に整備では、オイルパン交換に伴いショップの方がエンジン内部の写真を撮影してくれた。筆者のチンクェチェントは、日本にやってきた段階で約7万km程度走行していた個体であったが、エンジンはどうやら一度もオーバーホールしていないようだ。内部はスラッジとオイル焼けで茶色く変色している。ショップの方に言わせると、ほとんどの車がこんな感じなので、格別心配するようなことは無いとのこと。しかし、結構汚れているもんだねえ。。。

 今回のチューニングでは、かなり手を入れたのだが、まだやり残している所がある。マフラーが錆び錆びで、おまけに穴まで開いているのだ。これは次回に残された課題である。またワイパーメカが錆びで動きがかなり悪くなっている。いずれ直す予定であるが、部品代が高かったので、今回はパス。雨の日は乗らないと堅く心に誓うことにしよう。あと、ノーマルのホイールも錆びがひどい。チューブを破壊するほどでは無いが、いずれは交換しなくてはならないと思っていた。いっそのこと、アルミに履き替えてしまおうと計画中である。

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