筆者のチンクェチェントが納車されたのは、１９９９年３月２１日であ
った。以後、簡単な調整・メンテナンスを２回ほど施してきたが、その
他は特に大掛かりな整備は行っていなかった。納車後はや９ケ月近くが
経過したため、当初行う予定であったエンジンのメンテナンスを実施す
る。今回行ったメンテナンスの内容は、下記の通り。　　　　　　　　

　・タイミングチェーンの交換　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　・タイミング調整　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　・イグニッションコイルの交換　　　　　　　　　　　　　　　　　
　・コンデンサの交換　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　・右後輪のドライブシャフトベアリングの交換　　　　　　　　　　
　・サーモスタットの装着　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　・ダイナモのブラシ交換　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

タイミングチェーンは、納車当時からガタが指摘されていたもので、た
るみがあるため、アイドリング時でもかなりの騒音を立てていた。これ
を軽量タイプのものに交換し、たるみを除去する。以前のまま使用して
いると、たるみがひどくなりタイミング調整が取れなくなってしまうか
らである。今回たるみがなくなったため、調整はかなりシビアに効くよ
うになった。同時に、アイドリング時の騒音レベルが低下する。　　　

イグニッションコイルは、納車時に付いていたＬｕｃｏｓ製は、走行中
にかなり熱を持っていた。パンク寸前の可能性があったのだが、取り外
してみると案の定、若干の液漏れを起こしており、危ないところであっ
た。今回これをブラジル製のＢＯＳＣＨ製品に取りかえる。なお、前に
使用していたイグニッションコイルには、下記の表示があった。　　　

　Ｂ．Ｙ．Ｓ．　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　ＩＩＰ１２　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　４５３３４Ａ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　１０　９５　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

これを見ると、どうやら９５年１０月製造のものらしい。　　　　　　
イグニッションコイルの交換と同時に、コンデンサも新しいものに交換
する。こちらはまだ使えると思われるが、念のためということで。　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
右後輪のドライブシャフトベアリングは、当初予定されていた整備項目
には無かったものだ。しかし、整備のためＢＢＭの社長さんが乗ってみ
たところ、どうも走行時に右側後方から異音がするため、調査してみた
ところベアリングの磨耗が判明したという次第である。そういえば、ど
うも走行中にコトコトという音がすると思った。すぐに故障につながる
というわけではなかったが、整備を実施しておく。　　　　　　　　　

サーモスタットは、１９９９年５月２９日に脱落していることが発覚し
そのままになっていたものだ。夏場は室内を暖房する必要が無いため、
無くても問題は無かったのだが、こう寒くなってくるとさすがに辛くな
ってくる。今回は、サーモスタット本体の他にカバーも新品に付け替え
る。なお、サーモスタットが全く無くても、室内はほんのりと暖かくな
る。これはエンジンルームの暖気が自然と室内に導かれるためで、弱い
ながらも暖房にはなる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
ダイナモのブラシ交換であるが、夜間のアイドリング時に「Ｇ」ランプ
が点灯してしまうことから、交換しておいた方が良いと判断した。どう
も、ブラシ自体がかなり磨耗しており、完全に接触していないため発電
量が不足していたようである。幸いこのチンクェチェントは昼間メイン
に運転していたため、バッテリーの充電量不足に陥ったことは無かった
が、夜間走行すると上がる可能性もあるため交換する。　　　　　　　

さて、これだけのメンテナンスを施したチンクェチェントであるが、さ
すがに完調状態ということもあり、まるで別のクルマのようにさえ思え
てくる。最初に感じたのはアイドリングの安定性で、以前はチョークを
７分以上かけて戻さなくては安定しなかったのであるが、２分程度で戻
してしまっても全く問題無くアイドリングに入る。当然のことながら、
アイドリング時の騒音も低減し、ちょっとだけではあるが「静かな」ク
ルマになった。点火系が強化されたこともあり、加速も若干ではあるが
力強くなったように感じられる。全体的に安定感が増したような気がす
るな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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