リストマーク 北京市崇文門地区 (2004年10月)

北京市崇文門地区 MAP
1990年発行「北京市区洋図(八竜出版社)」より


 中国北京編最後は、北京駅南側の崇文門地区である。ここには、かつて北京市内をぐるりと囲んでいた城壁の跡と、「内九城」と呼ばれる「北京城の九門」のうちの一つ、崇文門の跡が残されている。北京観光でここを訪れる人はあまり多く無いようであるが、史跡としてはかなり整備されている。余談だが、崇文門史跡公園にある地下のトイレは必見だ。これだけ大がかりで清潔で、しかも地下に設けられているという特殊な公衆トイレは、そう無いであろう。北京市が観光スポットとして、ここをいかに重要視しているかが、伺い知れる。

 崇文門跡から少し南に行った所に、西花市大街という通りがある。この一角は訪問時に大規模な再開発を行っており、そこら中廃墟の跡だらけだった。特に花市上四条から花市上二条にかけての一帯は、かつて胡同だったところを全て撤去して再開発するという、大規模な工事が行われている最中であった。北京駅からすぐの場所であることから、地の利を生かした施設が計画されているのだろう。(地図上で見ると、北京駅のすぐ近くのような錯覚を覚えるが、そこは大陸。1ブロックの大きさが日本とは全く異なる。崇文門から西花市大街通りまでは、徒歩で約25分はかかる。)

 2004年10月当時、再開発工事はかなり進んでおり、ほとんどの区画が、取り壊された家屋の瓦礫の山となっていた。しかし部分的に残っている建物もあり、いかにも「廃墟系」といった風景が撮影できた。因みに、西花市大街通りと、崇文門外大街との交差点に出ると、そこは既に再開発が終わっており、超近代的な巨大ビル群となっていた。廃墟撮影を終了した後、すぐ近くの再開発後のビルの一階にあるスタバで休憩を取りながら、今回撮影した廃墟も、2年後にはこのようなビル群に変貌してしまうのだろうか、と考えてしまった。

崇文門東城根に残るかつての城壁
北京駅の南側、崇文門を中心として、かなりの規模の城壁跡が保存されている。この写真は、現在の崇文門交差点から少し入ったところ。城壁の要所要所には、このような張り出した土台が設けられており、進入してくる敵を向かえ討ったそうである。

崇文門東城根の煉瓦
元から明の時代に構築されたと言われている、煉瓦の堆積のアップ。

崇文門跡
かつて崇文門が建っていたあたり。一帯は公園として整備されている。画面中央奥に見える金色のドーム状の建物は、北京駅の駅舎の一部。

帝子庫胡同の入り口
かつての崇文門の写真が掲載された、石製の説明板。崇文門は1436年に建築された。当時は「文明門」もしくは「哈徳門」と呼ばれていたそうだが、1439年に現在の「崇文門」と改名された。崇文門が解体撤去されたのは、1960年代のことだったそうである。

西花市大街に面した廃屋
再開発のため撤去作業中の店舗跡。西花市大街に面した洋風の建物であり、屋上手すりの造形が凝っている。

西花市大街に面した廃屋
撤去中の建物跡。洋風建築の隣には、ほぼ解体作業が終わった商店の一部が残されていた。洋風建築物は、かつて写真店として営業していたようだ。

洋風建築のファサード
老朽化が激しいものの、デザイン的には秀逸な建築物。壊すのはもったいないような気もする。

解体中の建物
かつての入り口部分が、額縁のようになっている。奥には胡同が広がっていたと思われるが、今となっては何も残されていない。

解体中の商店建築
複数の店舗が入っていたと思われるビルの解体現場。極めて乱雑であった。

解体中の建物の内部
天井からぶら下がった無数のワイアが不気味である。おそらく天井を吊っていたワイアと思われる。

解体中の建物の内部
ここは、おそらく食品加工店だった所と思われる。

解体中の建物の外観
撤去作業に手間がかかる構造なのか、付近一帯でこのビルだけは、ほぼ全形を止めていた。

残された門
解体中の廃墟では、時として不思議な風景に出会うことが多い。これもその一つ。なぜか門の部分のみ残されている。看板には「院内西屋 長途電活」と書かれている。

花市上四条胡同
西花市大街から一歩中に入って、撤去作業中の花市上四条胡同を見学する。この写真は、壁面に残された公衆電話置き場の跡。東単地区 #2にも掲載した市内電話が置かれていたのであろう。

花市上四条胡同から西花市大街へ抜ける路地
ご覧のように、かつて胡同だったこの一帯は、路地も極めて細い。向かって右側に並んだ建物には、まだ住人が生活していた。

電柱にまつわりついた蔦ならぬ電線
撤去の際残された多数の引き込み線の残骸が、電柱上に残っていた。西武鉄道安比奈線のページに掲載した電柱と、一脈通じるものがある。

残されていた住居の玄関
まだ撤去されていない住居の玄関部分。真っ赤な扉が目立つ。

花市上四条胡同の住居
路地に面した、撤去されていない住居。周りはほとんど瓦礫の山になっているにもかかわらず、驚いたことにこの建物にはまだ住人が入っていた。立ち退きに反対している人なのだろうか?

撤去作業中の建物
おそらく廊下部分と思われる、撤去作業中の建物内部。

花市上四条胡同の外観
所々に撤去前の住居が残る、花市上四条胡同の路地外観。

奥まった場所に残されていた住居
この部分の撤去作業は、これからのようだ。

どことなく西域を思わせる商店街
ウルムチあたりの食品を扱っていた店だろうか?タイル貼りの壁面といい、アーチ状の構造物といい、西域の都市を思わせる。

撤去作業中の商店内部
瓦礫の山と化した商店の内部。

花市上四条胡同の外観
最後に、胡同の終わる地点から、路地を眺めて撮影した写真。まるでゴーストタウンそのものだ。数ヶ月後には、ここも更地となり、1〜2年後には巨大ビルが林立する地帯に変貌するのだろう。感慨無量。。。




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