ウェアハウス川崎店の外観。ビルの外装からして、完全に逝ってしまっている。。。

■ウェアハウス川崎店 (2014/06/06)

 悪友Randy氏と共に、ウェアハウス川崎店を見学に行く。

 同店は「非日常を感じるゲーセン」を謳い文句に、各地に店舗を展開している。川崎店は、かつて香港に在り魔窟とも言われた「九龍城」の精密なセットが設置されているのが、最大の見所だ。ウェアハウス川崎店の店情報はこちら。  筆者と九龍城との縁は深い。「廃墟系」「香港九龍城砦(1992年05月、1993年03月)」および「香港九龍城砦画像アーカイヴ(1993年03月)」にも掲載したが、初めて九龍城を訪問したのは、1992年05月の連休だった。当時、日本ではDOS/Vブームが来る直前であり、香港電脳街へ互換機パーツの買い出しに行った筆者は、ついでに九龍城を訪れてみることにしたのだ。しかし、時既に遅く、住民は立ち退いた後であり、周囲は香港政庁のバリケードで覆われていたため、内部に入ることはできなかった。

 今回、レプリカとは言え、その雰囲気が味わえるのである。しかもゲーセンなので、基本的に入場料は無料。少し前から噂は聞いていたのだが、実際に訪問するのは筆者もRandy氏も今回が初めてだった。

 場所はJR川崎駅から徒歩5分ほどの所にある。川崎駅東口を出て、駅前南の交差点を京急線の高架に沿って横浜方向へ歩いて行くと、日進町交差点の右側に、薄汚れたビルが見える。これがウェアハウス川崎店だ。もう、ビルの外観からして、完全に逝ってしまっている。因みに、この店舗は24時間営業で、18歳以下は入れない。

 内部は、予想していたよりもはるかにスゴイ造りになっていた。所詮、九龍城のレプリカと思っていたのだが、なかなかどうして、リキが入っている。いや、リキが入っているどころじゃない。偏執狂とも思えるほどの拘りがある。おそらく消防法ギリギリのところまで造りこまれているのだ。恐ろしい・・・

 筆者的に感動したのは、ホンモノの九龍城で良く見かけるポストそのものまでもが用いられていたことだった。店舗はゲーセンなので、九龍城のディスプレイ部分は売上げには直接繋がらないデッドスペースになる。ディスプレイ専用なのだ。それを承知で、ここまで九龍城内部を再現したオーナーの執念たるや、並々ならぬものを感じざるを得ない。

 ウェアハウス川崎店。侮れない。お好きな方は、是非一度見学することを強くリコメンドする。何てったって、見るだけなら無料だ!

 以下、当日の模様をフォトレポートしよう。




ウェアハウス川崎店の位置。
1F駐車場から店内に入る扉。円形の自動ドアに太極図が描かれている。この段階で、もはや普通の店とは思えない。左側のダストボックスに注目。現代の駅に置かれているものだが、わざわざ錆びているように塗装しているのだ。

1F入り口の自動ドアが開いたところ。まるで遊園地のアトラクションである。

1Fのエレベーターホール。暗い室内に「電脳九龍城砦」のネオンが怪しく光る。エレベーターのドアも錆びだらけを演出。さらに壁面の貼り紙は、わざわざ一度貼ってから剥がしているという凝りよう。

1Fのエレベーターホール。傘立てと消化器、非常口の表示灯が無かったら、とても現代日本にあるビルとは思えない。

2Fへと通じるエスカレーター部分。奧の扉は出口。エスカレーターも、錆びだらけの塗装が施してある。

1Fは九龍城内部を再現したセットになっている。トタン張りのこの店舗は製麺所。

店舗入り口の記載にも手を抜かない。塗装が剥げた木製のドアも、わざと使い込まれたように仕上げてある。

1Fのメイン通路。割れた看板、剥げた塗装。全て狙ってやっています。その昔、香港電脳街を訪問した時の光景を思い浮かべる。1992年当時、閉店後の古いビルでは、ちょうどこんな感じであった。

造りこみは天井部分にも及ぶ。剥き出しの天井には電線やらパイプやらがのたうち回っている。現役の空調機だって、この塗装だ。ホンモノの九龍城では、城内で水が出るところが少なく、各戸はそこから自分の部屋まで、延々と水道ホースを引きこんでいたため、天井がホースだらけになっていた。その雰囲気を再現している。

金庫屋の看板は、一回作ってわざと割っているという念の入れよう。

消防法に基づく店内表示も、これこの通り。

壁面の看板も凝りまくり。2ケ国語、3ケ国語で書かれていたりする。

貼り紙には、異様に病院関連が多い。これなんか、見ているだけで気持ち悪くなってくる。曰く「満面豆豆」・・・嗚呼。。。

塗装が剥がれて錆びだらけになった看板。

リアリティの追求。「不准随處小便」のステンシルが泣かせる。

おそらく賃貸アパートの広告であろう。

「小心」は、実際の香港・中国でそこら中で見かけた。「注意」ってことだね。このイラストのレトロ感がなんとも言えない。

2Fには、九龍城の巨大セットがある。密集したアパート群を再現したこの一角の再現度は極めて高い。なお、店内は一様に暗く、撮影には高感度ISOのカメラが必要になる。

この肉屋の店先、奧の方まで造作が行き届いていてビックリする。

肉屋の調理場。不衛生な感じが良く演出できている。白いタイルが油まみれで汚れまくっている所など、ツボを押さえた演出だ。

同じく肉屋の店内。油まみれの換気扇。演出だと判っていても、凄まじい破壊力が有る。映画のセットでも、ここまではやらないであろう。

洗濯物が干してあるベランダ。通りに面したガラス窓。林立するテレビアンテナ。どこを取っても非の打ち所の無い造りこみだ。

この店舗が偏執狂的だと思われる一枚。左の自販機、右のUFOキャッチャー共に現代の製品で、ちゃんと動作する。しかし、鉄板は錆びガラスは曇っている。脱帽である。

パイプに貼り紙。正統派九龍城そのものだ。

感動したセット。この郵便受けは、実際に九龍城で用いられていたものと同型である。もっとも、この形は香港には多く見受けられるが。残念ながら日本では販売されていない。どこか取り扱ってくれる所は無いだろうか?

2Fと3Fの吹きぬけ部分を見上げたところ。一見して、ここがゲーセンだとは思えない。

深く感動した部分が、この3つ並んだ換気扇。一番右のヤツは「わざと」故障させてあり、回りかたがゆっくりになっているのだ。この設定を考えた人は、かなりの才能がある。

九龍城の名物。のたうち回るパイプと鉄条網、そして貼り紙。

3Fから吹きぬけ部分を撮影する。

3Fから吹きぬけ部分を撮影する。

ベランダに置かれた観葉植物まで九龍城している。

3Fの居住地区。

3F部分にある商店。窓から中を覗いてみると、テレビ、湯飲み茶碗、鉢植え等の生活用品がキチンと置かれている。こんな細かい所にも、一切の手抜きは無い。

3F部分の居住区。こんな場所でダウナー系のヤクでもやって、一日ボーってしているのも、また楽しといった感じかな?まるで「ねこぢる」の世界ですな。。。

ガラス窓もちゃんと割れています。

道案内の表示も香港そのもの。

なぜか良く見かけた「快速豊胸」の貼り紙。よっぽど需用が有るのかねぇ?

汚れたモップに「噴血」と書かれた貼り紙。貼り紙には「淫乱」、「性地」、「制服」とある。。。世も末ですな。。。

これでもか!と貼られた「淋病・梅毒」のポスター。見ているだけでゾワゾワしてくる光景である。

2Fのエレベーターも、この通り。

中央の球形物体は防犯用のカメラなのだが、とてもそうとは思えない。

そして、このウェアハウス川崎店の最大の見所が、男子トイレである。入り口からして、いかにも不潔そうだ。

洗面所の鏡の曇りかた、はげ落ちかた、タイルの汚れ。どこを取っても隙一つ無いほどの完成度だ。感動である。因みに、洗剤はちゃんと現代の清潔なものが置かれているので、実使用上の問題は無い。

衛生面は行き届いており、ちゃんと掃除されているし、便器も最新だ。しかし、この写真からは、とてもそうには思えない。因みに筆者は、1989年中国に行った際、想像を絶するトイレに何度も入ったので、この程度であれば上等と思ってしまう。当時のトイレは、とてもこのような「キレイな」ものでは無かった。そういう意味では、実はあまり驚かないのである。なお、女子トイレの方の造作は、至って普通のようである。

従業員専用の出入り口も、凝りまくっている。

こちらは、荷物専用のエレベーター。

これも執拗に貼られた病院の貼り紙。見ているだけで痒くなってくる。





ウェアハウス入り口のオドロオドロしい演出。
まるでテーマパークのアトラクションだ。(動画)



3つある換気扇。
右側の一つが「ワザと」故障している、というのがミソである。(動画)



1F部分の展示。
九龍城の狭い通路を再現している。BGMにも注目、というか注聴!(動画)



筆者の九龍城探訪の原点となった書籍。宮本隆司著「九龍城砦」。1988年ペヨトル公房発売。同年、銀座のinaxギャラリーで開催された個展で購入した一冊。
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グレッグ・ジラード著「九龍城探訪」。2004年イーストプレス社刊。
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グレッグ・ジラード著「九龍城探訪」より、郵便ポストの写真。ウェアハウスで見かけたポストそのもののデザインが写っている。
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同書よりポストのアップ

1993年03月28日に撮影したホンモノの九龍城。

1993年03月28日に撮影したホンモノの九龍城。

1993年03月28日に撮影したホンモノの九龍城。

1993年03月28日に撮影したホンモノの九龍城。


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