■IBM が 1984 年に発売したパソコン、IBM PC/XT model286 に使用されてい たマザーボード。 ■1986 年中期の製造。横 340mm × 縦 218mm。 本ボードは PC/AT 初期のフルサイズ AT マザーボードより小型化が図られ た、Baby-AT サイズのマザーボードである。 秋葉原日米商事で購入した PC/XT model286 の筐体より抽出。完動品。 ■CPU は 80286(6MHz)で、68 ピンのセラミック PGA パッケージを使用。 メモリはオンボードで 512KB 実装。メモリは 256KB の 30 Pin SIMM を2 バンク使用し、合計 512KB 実装されている。 ■拡張スロットは全部で8個。うち、AT バスが5本、XT バスが3本という構 成。全て AT バススロットにせず、わざわざ XT バススロットを残してある のは、XT 用の拡張カードの使用を考慮しているため。XT バス用の拡張カー ドを AT バススロットに入れようとすると、一部のカードは AT スロットと 干渉して入らない。 ■CPU が基板の端いっぱいに追いやられ、メモリも SIMM を使用し省スペース 化が図られている。汎用 TTL を多用した制御回路は PC/AT と同じ構成とな っているが、部品の実装密度が上がり、基板の大きさは PC/AT よりも一回 り小さくなっている。なお、マウントホールの位置は、PC/XT と同じ。 ■以下に、IBM PC/XT model286 のスペックを示す。
型 番 | IBM 5162 |
発売年月日 | 1986 年 9 月 |
CPU | intel i80286(6 MHz) |
Memory | 640KB(アダプタカード使用時:12.6MB) |
FDD | 5.25 インチ 1.2MB(2HC) ドライブ |
HDD | 5.25 インチ ST-506 タイプ 20MB HDD |
Video | CGA(Colour/Graphics Adapter)320 x 200 ドット 4色 |
■PC/XT model286 の SIMM 周辺部分拡大写真。 ■左端上部にあるキーボードコネクタ近辺に SIMM メモリが実装されている。 2バンク構成で、256KB の SIMM を2枚実装する。 ■XT バススロットの右側には、BIOS-ROM が実装されている。本 PC/XT model 286 の BIOS の日付けは、86/04/21。BIOS-ROM 上部には DMAコントローラ である 8237-A が配置されている。
■コメント IBM が発売した PC/AT というマシンは、CPU に 80286 を使用した製品でした が、PC/XT の筐体に 80286 のマザーボードを搭載した、IBM PC/XT model 286 というマシンも登場しました。ここにご紹介したマザーボードは、その中に入 っていたものです。このボードも、秋葉原の有名なジャンク屋、「日米商事」 にて購入しました。PC/AT と違い、マザーボードがそれほど大きくはないため 部品実装密度も上がっています。また、この時代のマザーボードでは、メモリ に DIP パッケージを使用したものがほとんどでしたが、このボードでは 30 Pin SIMM を2スロット搭載しています。ボード右側の飛び出た部分に、セラ ミック PGA の 80286 CPU が搭載されています。 拡張スロットは、通称 AT バスと呼ばれている 16 ビットバスです。これは、 それまで使用されてきた XT バスに、スロットを「接ぎ木」して拡張したもの です。このような「接ぎ木」形式のバススロット拡張は、後に VL バスが登場 した時にも採用されました。ところで、一番下の拡張スロットは、ATバスとし て使用できるのにもかかわらず「接ぎ木」の部分が無く XT バスのスロットと なっています。これは、当時の XT バス用の拡張ボードには、この部分にスロ ットがあると挿入できない形状のものがあったためです。たとえば、CGA カー ドなどは、XT バススロットの横が空いていないと、カードを挿入できません でした。このような拡張カードを現在のマザーボードで使おうと思うと、XT バスのみのスロットが用意されていないため、挿入することができないという 結果になってしまいます。 IBM PC/XT286 マシンの本体外観は、PC/XT とほとんど変わりません。筆者は このマシンの中身を全て取り出して、マザーボードを 80486DX4-100MHz対応の ものに入れ替えて、Linux を導入して楽しんでいます。
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