■IBM が 1983 年 10 月に発売したパソコン、IBM PC/XT に使用されていたマ ザーボード。 ■1986 年初期の製造。横 305mm ×縦 216mm。 秋葉原の有名なジャンクショップ「日米商事」で購入。完動品。 ■CPU は 8088(4.77 MHz)。メモリはオンボードで 256KB 実装。 本来、PC/XT の搭載メモリは 256KB であるが、このボードは 512KB まで実 装可能な構造となっている。 ■PC/XT よりハードディスクドライブがサポートされるようになった。 ■拡張スロットは、XT バスが8個。スロット間隔もいわゆる AT 互換機と同 じとなる。 ■以下に、IBM PC/XT のスペックを示す。
型 番 | IBM 5160 |
発売年月日 | 1983 年 3 月 8 日 |
CPU | intel i8088(4.77MHz) |
Memory | 256 KB 〜 640 KB |
FDD | 5.25 インチ 160KB / 320KB ドライブ |
HDD | 5.25 インチ ST-506 タイプ 10 MB or 20MB HDD |
Video | CGA(Colour/Graphics Adapter)320 x 200 ドット 4色 |
■XT マザーボードの CPU 周辺部分拡大写真。 ■左側には、セラミックパッケージの 8088 CPU があり、右側には、BIOS ROM (D-27256)2個が実装されている。 ■CPU 上部の空きソケットは、数値演算コプロセッサ 8087 を実装するための もの。 ■水色の8連 DIP-SW は、システムコンフィギュレーション用のもの。 以下に DIP-SW の設定を示す。 *DIP−SWの設定
Switch No. | On/Off | Function |
常時OFF | 数値演算プロセッサ無し | 数値演算プロセッサ有り | 3 On , 4 On | システムメモリ:64KB | 3 Off, 4 On | システムメモリ:128KB | 3 On , 4 Off | システムメモリ:192KB | 3 Off, 4 Off | システムメモリ:256KB | 5 On , 6 On | EGA/VGA ビデオアダプタを実装 | 5 Off, 6 Off | モノクロビデオアダプタを実装 | 5 On , 6 Off | 80x25 モードのCGAビデオアダプタを実装 | 5 Off, 6 On | 40x25 モードのCGAビデオアダプタを実装 | 7 On , 8 On | FDドライブ1基搭載 | 7 Off, 8 On | FDドライブ2基搭載 | 7 Off, 8 On | FDドライブ3基搭載 | 7 Off, 8 Off | FDドライブ4基搭載 |
■IBM PC/XT マザーボードで使用されているLSIは、以下の通り。
i8088 | CPU |
i8253 | タイマ・コントローラ |
i8237A | DMAコントローラ |
i8259A | 割り込みコントローラ |
i8255 | プログラマブルI/O |
■IBM PC/XT での割り込み構成を以下に示す。
NMI | メモリ・パリティ・エラー |
IRQ0 | タイマ出力割り込み |
IRQ1 | キーボード割り込み |
IRQ2 | 予約(EGA割り込み) |
IRQ3 | 非同期通信2(COM2) |
IRQ4 | 非同期通信1(COM1) |
IRQ5 | ハードディスクコントローラ |
IRQ6 | フロッピーディスクコントローラ |
IRQ7 | パラレルプリンタポート1(LPT1) |
■IBM PC/XT での DMA 構成を以下に示す。
Channel 0 | DRAMメモリのリフレッシュ |
Channel 1 | 未使用 |
Channel 2 | フロッピーディスクドライブ |
Channel 3 | 未使用 |
■コメント このボードも、IBM The PC のマザーボードと同様に、秋葉原のジャンク屋の 店先で見つけたものです。電源を入れてみたところ動作しなかったのですが、 CPU を交換するだけで直りました。当時のボードはタフですね。筆者はこの基 板が大好きです。見れば見るほど美しい!IBM The PC は、基板の色はグリー ン系でしたが、IBM PC/XT ではこげ茶色をしています。現在のマザーボードと 比較すると非常に粗い配線パターンになっていますが、そこがまた、幾何学的 な美しさを醸し出しています。 基板には、広大なメモリ実装スペースがあります。この頃もまだ、SIMM は搭 載されていませんでした。拡張スロットは、いわゆる XT バスと呼ばれる 8 ビットバスです。スロット間隔は、現在の互換機と同様になりました。しかし マウントホールの位置が、現在の互換機のマザーボードと微妙に異なっていま す。IBM PC/XT の時代も、まだバックアップメモリを持たなかったので、シス テム設定は基板上の DIP スイッチで行います。 余談になりますが、筆者は IBM 純正 PC/XT のケースも大好きです。現在この ケースに 80486(100MHz)のマザーボードを入れて、Linux マシンに仕立て上 げて使っています。純正の PC/XT のケースは決してメンテナンス性が良くは ありません。メンテナンスのしやすさから言えば、IBM 純正 PC/AT のケース の方が格段に良いですね。しかし、純正 PC/XT ケースの、あの傾斜した正面 などは、昔の SF 映画を見ているようで実に味わいがあります。このケースに 現在のマザーボードを収納するのは、ちょっと大変です。前述したように、マ ザーボードのマウントホールの位置が PC/AT 規格と異なるので、ほとんどの ボードはそのままでは入りません。ちょっと前なら、秋葉原のジャンク屋で大 量に見受けられた IBM PC/XT ですが、今ではさっぱり出なくなってしまい、 寂しい限りです。
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