PC CHIPS M571 (1999)

写真1:PC CHIPS M571 MB 表面

写真1:PC CHIPS M571 MB 裏面


■台湾のマザーボードメーカー、PC CHIPS社のSocket7マザー
 ボード、M571。ベビーATサイズのボードで寸法は26×22cm。 
 1999年02の製造。ボードのリビジョンはV7.0A。       
■チップセットにSIS社製TX Pro−IIを搭載。このチップセットは
 1チップ構成で、チップ内部に2Dグラフィックスアクセラレータを内蔵し
 ている。VRAMは4MBをメインメモリとシェアーして用いる、シェアー
 ドメモリ方法を採用。                        
■M571は、そのコストパフォーマンスの高さから、同社のベアボーンキッ
 ト等に積極的に用いられた製品。Socket7のマザーボードとしては、
 最も一般的に用いられたものの一つと言える。             
■intel Pentiumの他に、Cyrix/IBM、AMD、IDT
 の各CPUが使用できた。CPUクロックのサポート範囲は75〜266 
 MHz。外部バススピードは66MHz。               
■ISAバスを3本、PCIバスを4本搭載。72Pin SIMMスロット
 を4本、168Pin DIMMスロットを2本搭載しており、最大メモリ
 搭載容量は384MBとなっていた。                 
■オンボードで512KBのレベル2 PBSRAMキャッシュを搭載。  
 キャッシュメモリチップにはUtron社製のUT6164C64AQ−6
 (1998年38週製造)を1個使用している。このチップはワンチップで
 512KBのキャッシュメモリを構成しており、同社マザーボードには良く
 採用されている。                          
■オンボードI/Oは、IDE2系統とFDD、シリアル×2、パラレル×1
 USB×2、PS/2、IrDA及びサウンド機能。I/O制御チップには
 ITE社製IT8770F(1999年05週製造)を搭載。USBとPS
 /2、IrDA機能は、オプションのATXフォームカードを使用すること
 で提供可能となる。                         
■サウンドチップは3D Sound ProPCI版(HT1869V+:
 1999年01週製造)を搭載しており、PC98オーディオに準拠。  
 SPDIFインターフェースを内蔵しており、HRTFポジショナルオーデ
 ィオにも対応していた。                       
■使用デバイスは下記の通り。                     
 ・TX−PRO−II  :SIS社製チップセット          
 ・IT8770F    :ITE社製I/Oコントローラチップ    
 ・UT6164C64AQ:Utron社製512Kキャッシュメモリ  
 ・UT61256JC−8:Utron社製タグRAM         
 ・HT1869V+   :3D Sound Proチップ      
 ・CMA8865    :CME社製クロックジェネレータチップ   
■BIOSはAMIBIOSを搭載。                  
■以下にボードのスペックを示す。                   
項 目
内 容
CPU
intel Pentium P54C/P55C(MMX)、AMD K5/K6
IDT C6、Cyrix/IBM 6x86(MX)
CPU Clock 75 〜 266 MHz
BUS Clock 66 MHz
Cache Memory
512KB PBSRAM L2 Cache 搭載
Utron:UT6164C64AQ-6 使用
Chip Set
・SIS TX PRO-II Chip Set
 SIS 5598 Chip
Momory
168 Pin DIMM スロット×2
72 Pin SIMM スロット×4
合計最高 384 MB まで搭載可能
Bus PCI×4本、ISA×3本搭載
Video
チップセット内に 64 Bit 2D アクセラレータを内蔵
VRAM:4MB (シェアード・メモリ方式)
Sound
3D Sound Pro チップをオンボードで搭載
PC98 準拠、HRTF、SPDIF 機能搭載
Super I/O
COM1、COM2、LPT1、FDD、Primary-IDE、Secondary-IDE
3D Sound、PS/2、USB1、USB2、IrDA
BIOS AMI BIOS

写真3:TX PRO-II(SIS 5598)チップセット

写真4:Utron社製L2キャッシュメモリ

写真5:クロックジェネレータ周辺部分のアップ

写真6:ITE社製I/Oコントローラチップ

写真7:BIOSとサウンドチップ

写真6:M571 製品カタログ

■コメント                              
 M571は、ワンチップ構成のチップセットを搭載し、ビデオとサウンド機
能をオンボードで提供した、PC CHIPS社マザーボードの中でも、最も
コストパフォーマンスに優れた製品でした。SIMMもDIMMも使用でき、
AT電源もATX電源も両方使え、ISAバスも3本搭載する等、過去の資産
も流用でき、ある面Baby−ATフォームファクタのSocket7マザー
ボードの、最も完成された形ではないかと思います。カタログにも示された通
り、そのコストパフォーマンスは極めて高く、同社の初期のベアボーンキット
にも搭載された製品でした。                      

 チップセットとして搭載されているデバイスは、TX PRO−IIという
捺印が入っていますが、これはSIS社製の5598チップです。このチップ
はグラフィックアクセラレータ機能を内蔵したSocket7用のチップセッ
トで、1チップでチップセット機能を実現する極めて高い集積度を持った製品
でした。シェアードメモリ方式による2Dグラフィックスアクセラレータ機能
の他、ホスト−PCIブリッジ、PCI−ISAブリッジ、PCI−IDE機
能、DRAMコントローラ、USBハブ、キーボードコントローラ、ACPI
機能等、従来ノース/サウスブリッジチップ2個で受け持っていた機能を全て
ワンチップで処理しています。そのため、極めてコストパフォーマンスの良い
ボードを構成することができました。                  

 チップセットに内蔵されているVGA機能は、今のintel810チップ
に内蔵されているものと比較すると、性能的にかなり落ちますが、当時として
はチップセットにビデオ機能が内蔵されること自体が画期的なことであり、ヒ
ートシンク上には「video inside」というシャレの効いた文字も
記載されています。                          

 筆者もこのボードに233MHzのCyrix CPUを搭載して、長い間
サブマシンとして使ってきました。通常のビジネス処理を行うには、全く問題
無い性能で重宝していました。PC CHIPS社を代表するマザーボードの
一枚と言えるでしょう。                        

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