■ IBM が 1981 年に発売したパソコン、IBM Personal Computer "The PC" に 使用されていたマザーボード。 ■1982 年中頃の製造。横 305mm x縦 216mm。 秋葉原の有名なジャンクショップ「日米商事」で購入。完動品。 ■CPU は 8088(4.77MHz)。メモリはオンボードで 256KB 実装。 ■5個ある 8 ビットの拡張バススロットの配置間隔は、後継機種である XT、 AT のものとは異なる。 ■以下に、IBM The PC のスペックを示す。
型 番 | IBM 5150 |
発売年月日 | 1981 年 8 月 12 日 |
CPU | intel i8088(4.77 MHz) |
Memory | 16KB 〜 256KB |
FDD | 5.25 インチ 160KB/320KB ドライブ |
Video | MDA(Monochrome Display Adapter)80 文字×25行表示 |
■マザーボード CPU 周辺部分の拡大写真。 ■左端に2個配置されている黒のコネクタは、上がキーボード用で、下はカセ ットインターフェス。当時、FD などの外部記憶装置が高価であったため、 データの保存には安価なカセットテープが用いられていた。 ■左上部の白いコネクタは、電源コネクタ。 ■8088 CPU の上に配置されている空きソケットは、数値演算プロセッサであ る 8087 を実装するためのもの。 ■2個の青い8連 DIP スイッチは、システムコンフィギュレーション用のも の。当時は、ブート時に BIOS 設定画面を呼び出す設定方法は採用していな かったため、システム構成の設定は2個の DIP スイッチで行った。 下が SW1で上が SW2。以下に、DIP スイッチの割り付けを示す。 *DIP−SW1の設定
Switch No. | On/Off | Function |
常時OFF | 数値演算プロセッサ無し | 数値演算プロセッサ有り | 3 On , 4 On | システムメモリ:16KB | 3 Off, 4 On | システムメモリ:32KB | 3 On , 4 Off | システムメモリ:48KB | 3 Off, 4 Off | システムメモリ:64KB | 5 On , 6 On | EGA/VGA ビデオアダプタを実装 | 5 Off, 6 Off | モノクロビデオアダプタを実装 | 5 On , 6 Off | 80x25 モードのCGAビデオアダプタを実装 | 5 Off, 6 On | 40x25 モードのCGAビデオアダプタを実装 | 7 On , 8 On | FDドライブ1基搭載 | 7 Off, 8 On | FDドライブ2基搭載 | 7 Off, 8 On | FDドライブ3基搭載 | 7 Off, 8 Off | FDドライブ4基搭載 |
*DIP−SW2の設定
Memory Size | 1 2 3 4 5 |
On On On On On | Off On On On On | On Off On On On | Off Off On On On | On On Off On On | Off On Off On On | On Off Off On On |
■オンボードメモリ拡大写真。 ■本ボードには、64K ビット DRAM が使用されている。 使用デバイスは、三菱製 M5K4164NP-15 と、モトローラ製 MCM6665AL20 の 2種類。モトローラのデバイスはセラミックパッケージを使用している。
■コメント このボードは、ある日秋葉原のジャンク屋をぷらぷら歩いていて発見したもの です。ボードは静電気防止袋にも入れられず、店先の段ボール箱に無造作に突 っ込まれていました。でも丈夫なもので、全く問題無く動作しています。当時 は SIMM メモリなどは無かったので、メモリチップは全て DIP 構成、しかも 金色の蓋が付いているセラミックパッケージで、なかなか見ていてキレイです ね。ASIC も普及していなかったので 汎用 TTL がずらりと並び、これを見て いるとパソコンの構造が理解できてしまいます。基板のマウントホールの位置 は、この後に発売された PC/XT と同じですが、拡張スロットの間隔が通常の PC/XT や PC/AT と異なっているため、ケースは The PC 専用のものが必要に なります。現在の PC/AT 互換機には、マザーボード上にバッテリによってバ ックアップされたメモリ(通称 CMOS)が搭載されており、このメモリにシス テムの各種設定を記憶しておくような構成になっていますが、IBM The PC の 基板上には、電池によりバックアップされたメモリが無いため、システム設定 は全て基板上にある DIP スイッチで行なっています。
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