■ビデオボードメーカーとして有名な Diamond Computer Systems 社が製作した、 VL バスのマザーボード FastBus VLB。1992 年 49 週製造の製品。ボードのリビ ジョンは B2。332mm × 218mm。 ■高速なマザーボードとして、当時一世を風靡した製品であったが、反面ビデオカ ードとの相性問題も多く発生し、マニア向けのじゃじゃ馬的存在であった。 ■キャッシュメモリチップは、専用のスロットにモジュールで搭載される。80486 CPU ソケットは、ZIF タイプのものを採用しているが、リリースレバーが特殊で あるため、CPU クーラーの搭載が面倒であった。CPU ソケットの隣りにある Non-ZIF タイプのソケットは、Weiteck 4167 コプロセッサ実装用のもの。 ■CPU クロックスピード(システムクロックスピード)は、BIOS の設定により、 33MHz 〜 38MHz の範囲で、1MHz 刻みで設定可能であった。この仕様が、当時 のマニアを刺激し、話題を呼んだ。システムクロックスピードの設定は、BIOS の Screen 3「Diamond Feature Control」画面で行う。この画面には、 「Processor Speed(Turbo Boost Mode)」という項目があり、ここで 1MHz 刻 みの設定が可能であった。 ちなみに、BIOS は Chips & Technology / Diamond Computer Systems 特製のフラッシュ ROM BIOS を使用していた。 ■以下にスペックを示す。
CPU | AMD 80386/40、Intel 40486SX、80486DX、80486DX2 |
Co-Processor | Weiteck 4167 数値演算コプロセッサ用ソケット搭載 |
CPU Clock | 25 , 33 , 40 , 50 , 66 MHz |
Chip Set | 3個構成(184 Pin QFP、120 Pin QFP、100 Pin QFP) Chip Set Chips & Technology 社製チップセット使用 ・F84021 (184 Pin QFP) ・F84025 (120 Pin QFP) ・F82C721(100 Pin QFP) |
Momory | 72 Pin SIMM × 4。最高 128 MB まで拡張可能 |
On Board I/O | COM1、COM2、LPT1、FDD、HDD |
Cache | 64KB/128KB/256KB (Speed 20ns:PARADIGM 社製チップ使用) |
Bus | バススロット7本搭載 ・ISA Bus : 7 ・VL Bus : 2(ISA としても使用可能) |
BIOS | Chips & Technology / Diamond Computer Systems BIOS : Flash ROM |
■チップセットのアップ#1 Chips & Technology 社製 F84021 のアップ。184 Pin QFP パッケージ。 92 年 39 週製造。
■チップセットのアップ#2 Chips & Technology 社製 F84025 のアップ。120 Pin QFP パッケージ。 92 年 36 週製造。
■キャッシュメモリモジュールのアップ 現在一般的なマザーボードと異なり、キャッシュはモジュールの形でソケットに 搭載される。モジュール上には PARADIGM 社製キャッシュメモリが8個搭載され 容量は 256KB となっている。キャッシュメモリモジュールの製造は、93 年 13 週。キャッシュモジュール手前にあるソケットは、VL バスのソケット。奥に見 える黒いソケットは、80486 CPU ソケットで、リリースレバーを上げた状態にな っている。この形のリリースレバーは、CPU ファンを取り付ける際に非常に邪魔 になるので、扱いにくかった。
■コメント いわゆる電子暴走族の方には忘れられないマザーボードが、この FastBus VLB です。当時、S3 系アクセラレータチップを使用したビデオカードで、シェア を順調に伸ばしていた Diamond Computer System 社が発売した VL バスのマ ザーボードです。Diamond 社特製の BIOS を使用し、System Clock スピード を 33MHz 〜 38 MHz まで、1MHz 刻みで設定できる等、ユニークな機能を搭 載していました。当時の廃人は、競ってこのボードを使用したものです。しか し、やはり VL バスにつきものの相性問題が発生しました。システムスピード をアップできる分、不安定となる要素も大きかったようです。当時の Nifty Serve の会議室には、このボードで動いたの動かないのと、多くの書きこみが 見うけられました。その後、ボードのリビジョンアップが実施され、こういっ た問題も軽減されたようです。ここに示したボードは、リビジョン B2 の製品 で、ボード上には不具合対策と思われるジャンパとチップが見られます。とに かく、非常に話題になった製品であることだけは確かです。 筆者もこのボードを使用してクロックアップを行っていました。幸いなことに 致命的な相性問題にはぶつかりませんでしたが、やはり高速設定に擦ると、若 干不安定な部分が認められたことは事実です。実用というよりは、改造して楽 しむドラッグレース仕様の車のようなものでした。 Diamond Computer 社製だけのことはあり、ボードの造りとマニュアルは非常 にしっかりしていました。日本ではソフトウエアジャパンが発売を行ないきち んとした保証書までついてきました。ちなみに、筆者のボードのシリアル番号 は、FB00066 です。66 枚目の製品ということでしょうか。^O^; 相性問題へのサポートに疲れたためか、Diamond Computer System 社からは、 この FastBus VLB 以降はマザーボードが発売されておりません。
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