AIR 486VP (1994)


■AIR 社製 VL/ISA/PCI 3種混合型マザーボード、486VP。1994 年 18 週の製
 造。台湾製。ボードの大きさは、300 mm × 220 mm。          
■PCI バス・マザーボードの黎明期の製品。秋葉原で購入。当時、まだ PCI 
 バスのマザーボードは、ほとんど見かけることが無かったため、極めて珍し
 い製品であった。                          
■チップセットは、208 Pin QFP が2個に、100 Pin QFP が1個の、計3個構
 成。チップセット上の捺印には「Contaq」の文字が見受けられるが、初めて
 見る名称であったため、極めて怪しい雰囲気を醸し出していた。友人の某氏
 などは、「風邪クスリみたいだ。」などと言っていた。         
■メモリも、当時一般的であった 30Pin SIMM と、まだ馴染みの薄かった 72 
 Pin SIMM の両方が使えるようになっていた。              
■ジャンパ設定の多さでは、ダントツであり、基板上には「JP81」などといっ
 た恐ろしい表記も見受けられる。(実際に 80 本以上のジャンパが林立して
 いるのかは確認していないが、それくらいありそうな感じではあった。) 
 マニュアルに記載されている、設定が必要なジャンパの数だけでも、35 箇 
 所に上る。プラグ&プレイの対極にある製品といっても、過言では無いであ
 ろう。                               
■以下にボードのスペックを示す。                   
項 目
内 容
CPU 80486SX / 80487SX / 80486DX / 80486DX2 / 80486DX4
CPU Clock 25 , 33 , 40 , 50 MHz
Chip Set
3個構成(208 Pin QFP × 2 と 100 Pin QFP × 1)
・Contaq 82C599
・Contaq 82C596
・HMC    HM82C206AQ
Momory 30 Pin SIMM × 8、72 Pin SIMM × 2。最高 32MB まで拡張可能
Cache 256KB / 512KB / 1MB (Speed 12ns)
Bus
バススロット7本搭載
・PCI Bus : 4
・ISA Bus : 4
・VL Bus  : 2
BIOS AWARD BIOS


■チップセット部分の拡大写真。CONTAQ 捺印チップセットが見える。どちら 
 も 208 Pin QFP パッケージを採用しており、向かって左側が 94 年 14 週 
 製造の 82C599、右側が 94 年 12 週製造の 82C596 である。       
■チップセットとしては、この他に、94 年 10 週製造の 100 Pin QFP パッケ
 ージ、HMC HM82C206AQ がある。このチップは、写真右下の方にちょっとだ 
 け写っている。                           


■コメント                              
このマザーボードも、筆者にとっては思い出深い製品です。とはいっても、嫌
な思い出しかありませんが・・・・1994 年 6 月頃、筆者は秋葉原徘徊中に、
互換機廃人の友人とバッタリ出会いました。時代はちょうど VL バス全盛期の
頃で、PCI バス発売のウワサもチラホラと聞こえてきており、秋葉原で PCI 
バスのマザーボードを扱っているお店が無いものかと、うろうろしていた矢先
だったのです。友人と共に偶然入った某ショップで、このマザーボードを発見
しました。VL + ISA + PCI という、3種混合仕様となっており、SIMM も  
30 Pin の他に 72 Pin も用いることができるという、最強のボードでした。 
ただし、チップセット上面の「Contaq」という聞きなれない名称と、ボードの
バージョンがVer 1.1 という点が、若干気になりましたが・・・・     

しかし、出始めたばかりで、まだ滅多に見かけることが無い PCI のボードで 
す。若干怪しい点はあったのですが、友人と一緒に購入してしまいました。さ
て、それからが艱難辛苦の始まりです。PCI バスはあっても、挿すカードが無
くてはお話しになりません。とりあえず、ビデオカードとして、#9 GXE64  
2MB PCI を \35,800 で購入しました。                  

購入したボードはバリバリの新製品だったようで、まだ英語版マニュアルの印
刷が間に合わなかったため、ジャンパ設定を記載したコピーが2枚付いている
だけでした。そのジャンパ設定なのですが、ナント!マザーボード上には  
JP81 という表記が見受けられます。欠番はあるものの、JP81 という番号は、
今ま で 扱ってきたマザーボードの中で文句無しに最高の数値です。組み立て
時に設定する必須のジャンパピンの数は、実に 35 箇所にも上りました。プラ
グ&プレイの対極にある製品だったのです。               

さて、設定が終了して電源を入れ、Windows 3.1 を導入するまでは、問題無く
進みました。ところが、ビデオドライバを導入して高解像度に設定する段にな
り、問題が発生したのです。高解像度では、画面が正常に表示されず、動作が
非常に不安定になってしまうのです。ジャンパピンの数が多いため、最初は設
定が間違っていたのではと、何回も繰り返しチェックしましたが、一向に直り
ません。組み立てたり分解したりで、3日間が過ぎました。その後、このボー
ドは #9 GXE64 のビデオドライバと相性が悪いという書き込みをネット上で見
つけ、ようやくあきらめることにしました。仕方が無いので、せめて VL バス
のビデオカードを実装しようということになりました。ところが、また問題が
発生したのです。当時所有していた VL バスのビデオカードをさしても、何も
表示されないのです。。。。結局、このボードは「使い物にならない。」とい
うことになりめでたくお蔵入りになりました。気が抜けたせいか、筆者はその
後重傷の風邪に陥り、1週間うなされることになります。         

ボードのバージョンが非常に若かったため、バグが FIX されていなかったこ 
とも原因かもしれませんが、とにかくこのボードには苦しめられました。さす
がに Contaq(コンタック)という、一見風邪薬のような名称のチップセット 
を使用した製品だけのことはあります。聞くところによれば、同時に購入した
友人も、かなり苦労したそうです。合掌!                

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