■BIOSで有名なAMI(American Megatrends)社の
Dual Pentiumマザーボード、Titan−II。1994年後
半の製造。ボードのシリアル番号は7110000672でリビジョンは
B−1。マザーボードはフルサイズATで31×35cmと巨大である。そ
の昔、サーバ用として使用されていたもので、2プロセッサをSMPで駆動
していた。
■チップセットはintel社の82430NX(Neptune)を搭載。
このチップセットは、P54CもしくはP54CTに対応しており、SMP
駆動が可能。またISAバスほかにEISAバス構成も対応できた。ISA
バス構成時に使用するチップセットとEISAバス構成時のものとは、サウ
スブリッジチップが異なる。本マザーボードはEISAバス構成となってお
り、使用チップは下記の通り。
・North Bridge
82434NX(ホストPCIブリッジ)
82433NX(データバスユニット:2個使用)
・South Bridge
82375SB(PCI−EISAブリッジ)
82374SB(EISAコントローラ)
■PCUにはintelのP54CもしくはP54CTが使用可能。対応クロ
ックは75、90、100MHzで3.3V動作の製品となる。SMP対応
で、最大搭載プロセッサ数は2個。外部バスクロック周波数は50/60/
66MHzに対応している。本マザーボードには、Pentium−90M
Hzが2個使用されている。
■メインメモリは72PinのSIMMスロットが8個搭載され、最大搭載容
量は512MBとなっている。SIMMを使用するため、2/4/6/8個
単位で取り付けなくてはならない。
■EISAバスを6本、PCIバスを4本搭載。PCIバスのバージョンは
2.0で、CPU外部クロックの1/2の周波数で駆動される。(66MH
z外部バス設定時で33MHz駆動)。一方EISAバスの駆動周波数は
8MHzとなっている。
■オンボードで256/512KBのL2キャッシュメモリを搭載可能。
本マザーボードは256KBバージョンとなっている。キャッシュメモリチ
ップは32KB×8個構成の15nsのSRAMが搭載されており、チップ
は28Pin DIPパッケージ。512KBに増設するためには、256
KBのキャッシュメモリを全て取り外し、同一ソケットに64KB×8個の
SRAMを挿入する。なお、搭載されていたSRAMはALLIANCE社
製AS7C3256−15PC(94年51週製造)で、当時L2キャッシ
ュチップとしては良く使われている製品であった。チップ上の搭載されたロ
ゴマークの形状から、「三ツ矢サイダー」とも呼ばれていた。
■オンボードI/Oは、IDE2系統とFDD、シリアル×2、パラレル×1
と、当時としては一般的な構成。I/O制御チップにはSMC社製のチップ
であるFDC37C665GT(94年50週製造)が使用されている。
キーボードコントローラには、PLCCパッケージのMEGAKEYが搭載
されている。
■使用デバイスは下記の通り。
・S82434NX(ホストPCIブリッジ)
・S82433NX(データバスユニット:2個使用:94年46週製造)
・S82375SB(PCI−EISAブリッジ)
・S82374SB(EISAコントローラ)
・FDC37C665GT(I/Oコントローラ:94年50週製造)
・L4482086(MEGAKEY:キーボードコントローラ)
・PCI0640B(94年46週製造)
・BQ4287MT(BENCHMARQ製CMOSモジュール)
・AS7C3256−15CP(ALLIANCE製SRAMキャッシュ)
■BIOSはAMIBIOSを搭載。
■以下にボードのスペックを示す。
項 目 |
内 容 |
CPU |
intel Pentium P54C/P55CT 3.3V
SMP 対応(最大搭載数:2個) |
CPU Clock |
75、90、100 MHz |
BUS Clock |
50/60/66 MHz |
Cache Memory |
256KB/512KB L2 Cache 搭載
ALLIANCE AS7C3256-15CP を8個搭載(256KB 版) |
Chip Set |
・intel Neptune Chipset
・North Bridge
S82434NX、S82433NX ×2
・South Bridge
S82375SB、S82374SB
|
Momory |
72 Pin SIMM スロット×8
合計最高 512 MB まで搭載可能 |
Bus |
PCI×4本、EISA×6本搭載 |
On Board I/O |
COM1、COM2、LPT1、FDD、Primary-IDE、Secondary-IDE |
BIOS |
AMI BIOS |
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写真3:SMP駆動されるPentium90プロセッサ |
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写真4:ノースブリッジのチップセット群 |
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写真5:ノースブリッジのデータバスユニット |
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写真6:ノースブリッジのホストPCIブリッジ |
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写真7:サウスブリッジのチップセット群 |
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写真8:L2キャッシュ用SRAM群 |
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写真9:I/Oコントローラチップ |
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写真10:キーボードコントローラ(MEGAKEY) |
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写真11:用途不明のチップ |
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写真12:CMOSモジュール(左)とBIOSチップ(右) |
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写真13:PCIスロットと補助電源コネクタ(上部) |
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写真14:72Pin SIMMスロット |
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写真15:EISAスロット |
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写真16:基板上にシルク印刷されたAMI社のロゴマーク |
■コメント
このボードは1994年当時のハイエンドクラスのもので、主としてサーバ
用途に使用されていたものです。intel Neptuneを搭載しており
SMPによるデュアルCPU駆動が可能でした。当時、非常に高価であった
intel Pentiumを2個の使用する環境は、貧乏人にとっては夢の
また夢でした。AMI Titan−IIマザーボードは、1994年秋に開
催されたCOMDEX FallのAMIブースでも、入り口に展示されてい
たのを覚えています。
Titan−IIマザーボードは、今となってはほとんど見る機会の無い、
フルサイズのATマザーボードです。ボード上にはSocket5が2個並べ
て配置され、中央部分にはSIMMスロットが8本整然と並び、なかなか壮観
です。ISAの黒いスロットがこのボードには無く、EISAの茶色いスロッ
トが6本並んでいます。バスクロック8MHzと、PCIに比較して非常に遅
かったEISAバスですが、拡張カードの安定性は抜群であり、サーバ機器に
は良く使用されていました。
アメリカ製造のマザーボードということもあり、品質的にも一級品でした。
製品には非常に詳細に書かれた取り扱い説明書の付属します。台湾製のボード
とは一線を画するもので、マザーボード界のブランド品でもありました。
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