玄関の軒は堂々としている｡軒下には、あまり良くは読めないが「○○協会」といった表札が見える｡かすれていて良く読めないが､｢協働会館｣と書かれている｡軒下の照明もアンティークだ。この建築物は､現在は港区文化財保護対象となっている｢旧協働会館｣である｡

　港区のHP上には､本建築物についての記載がある｡建造は昭和11年で､芝浦の｢見番｣として作られたという｡見番とは､芸者の取次ぎや遊興費の清算をする施設のことをさすそうだ｡旧協働会館は､平成12年に閉鎖されたまま､現在に至る｡

　2014年05月､再び｢旧協働会館｣を訪れた｡最後に見たのは1999年09月であったが､驚いたことに､15年経過しても一部がまだ残っていた｡両隣にあった古い木造建築は解体されていたが､堂々とした軒を持つ母家は建物全体にネットが張られ､何らかの保存措置が取られているようだった｡おそらく､港区での保存が決まったのであろう｡

　以下､港区の文化財保護のHPより引用しておく｡

　旧協働会館は、昭和11年に芝浦花柳界の見番として建設されました。見番とは、三業組合事務所のことで、「置屋」「料亭」「待合」からなる「三業」を取りまとめ、芸者の取次ぎや遊興費の清算をする施設です。間口10尺、奥行60尺ほどの棟の後方にL字型に30尺弱張り出した平面構成です。正面玄関には銅板葺の唐破風を付け、1階に事務所、2階に桧板敷舞台のある「百畳敷」と呼ぶ大広間を設けました。棟梁は、目黒雅叙園も手がけた酒井久五郎であり、良材をふんだんに使っていて、扉の卍崩しや、階段の手すりなどに、その技巧を見ることが出来ます。

　第二次世界大戦中に花柳界が疎開し、戦後は港湾労働者の宿泊所「協働会館」として使用され、2階だけは日本舞踊の稽古場、集会のために貸し出していましたが、平成12年に閉鎖されました。

　しばらく放置されていたために、部分的に傷んだ箇所もありますが、華やかな花柳界の面影を伝える建築として、大変に貴重ということが出来ます。

(以上、港区の文化財保護HPより引用)

Google Maps上での位置は、下記の通り。
旧協働会館