リストマーク JR吾妻線郷原駅付近の廃屋(2003年04月)

写真1.廃屋全景


 JR吾妻線と平行に通る国道145号線を走行中、郷原駅にて廃屋を発見した。今回はこの廃屋を取材する予定は無く、川原湯温泉駅付近にある長野原第一小学校の校舎を撮影するつもりだった。ところが、肝心の長野原第一小学校は既に解体された後で、解体業者が使用していたプレハブのみが校庭にむなしく残っているだけであった。この校舎は、2002年8月に放映されたTV番組でその存在を知ったのだが、どうやら2003年春に解体されてしまったようである。因みに長野原第一小学校の校舎は明治44年に建設されたものだったそうだ。こうした歴史的な建築物が、一瞬のうちに無くなってしまうということは、大変残念だと思う。保存することはできなかったのだろうか???在りし日の校舎の様子は、長野原第一小学校のWEBサイトで、その片鱗を見ることができる。

 さて、この郷原駅に隣接する廃屋であるが、素性は全くわからない。JRの関連施設なのかどうかも不明。屋根に換気塔が多数設けられているところから察するに、何らかの工場みたいな感じもする。

Google Maps上での位置は、下記の通り。
JR吾妻線郷原駅付近の廃屋


写真2:廃屋正面

 今回、たまたま立ち寄った郷原という場所は、実は縄文時代のハート型土偶が出土した場所であった。駅前には説明を書いた看板がかかっており、昭和16年の県道工事の際に、駅から50m程度西の場所で発掘されたそうである。歴史の教科書で余りにも有名なこの土偶は、現在国立博物館に陳列されているそうだ。

 JR郷原駅は1時間に1本電車が来る典型的なローカル線の無人駅。駅舎も小さく閑散としており、のんびりとした雰囲気であった。郷原駅後方にある岩櫃山は、弥生時代の遺跡もあり、またハイキングの名所としても利用されているそうだ。偶然通りかかった駅にも、いろいろと話題があるものだ。

写真3廃屋側面 #1


写真4.廃屋側面 #2


写真5.正面玄関付近


写真6.廃屋裏面


写真7.敷地内にあった古井戸の跡


写真8.付近に埋もれていた廃車。ミニクーパーと思われるが、詳細は不明。


写真9.JR吾妻線郷原駅全景。のどかな無人駅である。


写真10.駅舎内部の時刻表と運賃表。電車は原則1時間に1本程度。


写真11.郷原駅付近から出土したハート型土偶についての解説看板。昭和60年に地元の教育委員会が設置したもの。


 郷原遺跡・ハート形土偶出土

 この地は、縄文時代後期のハート形土偶の出土地である。

 ハート形土偶は、昭和十六年の県道工事の時に、郷原駅の西方約五十メートルの地点で偶然に発見されたもので、そのみごとな造形美から昭和四十年に国の重要文化財に指定された。このハート形土偶は、高さ三十・五センチメートルもある大型のもので、その芸術性の豊かさとともに縄文時代の代表的な信仰遺物として教科書にも掲載されており、現在は東京国立博物館に陳列してある。

 土偶は、土で造られた縄文時代の呪術具で女性を形どったものである。狩猟採集社会のなかで、新しい生命の誕生や、豊かな生活を求めて、祈りを捧げたものと言われている。

 郷原遺跡は、その後昭和五十九年に吾妻町教育委員会によって発掘調査がおこなわれ、多くの住居跡や遺物類が出土した。このことによって、縄文時代から平安時代にいたる永い間、生活が営まれていた大集落遺跡であることが判明した。

 また、この地は後方にそびえる岩櫃山には弥生時代の集落である鷹ノ巣遺跡が発見されているとともに、その麓には真田氏ゆかりの岩櫃しろがあるなど、豊かな歴史にはぐくまれたところでもある。

 昭和六十年

 吾妻町教育委員会

 吾妻町観光協会





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