フランス領事館跡 (2014年05月) |
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横浜、港の見える丘公園に「フランス山」と呼ばれている区画がある。そこに、廃墟としては極めて良く整備・保存された「フランス領事館跡」が残っている。 みなとみらい線元町中華街駅の5番出口を降りるとすぐに、港の見える丘公園の入り口がある。エントランスから続く階段を登ると、小規模ながら立派な廃墟が残っている。現在は公園として整備されているこの廃墟は、旧フランス領事館の跡である。 「フランス山」は、かつて日本へ居留したフランス海兵隊の駐屯地であった。1863年06月から1875年03月の期間、フランス海兵隊はこの山に兵舎を建てて駐留する。その後、海兵隊当局がこの地区の借地権をフランス駐日外交代表部に譲渡し、1894年にフランス人建築家サルダの設計により領事館と領事官邸が建設された。この時に作られた領事館は、関東大震災で倒壊し、1930年にスイス人建築家ヒンデルの設計で再建されている。しかし、この建築物も1947年に火事で焼失してしまう。 現在残されている廃墟は、この1947年の火事の際に焼け残った1階部分である。サルダが設計した当時の領事館は、建坪約24m×18mの規模でレンガ造りの2階建て建造物だったそうだ。フランス山には当時、上水道が無かったため、揚水用の風車で水を汲み上げていたそうである。この風車の基礎部分も、廃墟の隣りに残っている。 当時使用されていた揚水用風車の外観は、資料が残っていないために詳細は判らない。しかし、同時期に使用されていた風車から想定し、多翼式の風車であったろうと思われている。現在、同廃墟には、復元された多翼式風車が建っている。 フランス領事館の跡として残されている建築物は、小規模ながら当時の生活を髣髴とさせる造り込みだ。天井は全て無くなってしまい、壁が剥き出しの状態であるが、ある種の美しさを感じさせる。内壁に使用されているタイルも、高い品質のものが使用されているのが判る。建物跡には、おそらく2階へ上がるためのコンクリートの階段や、浴室もしくは洗面所として使用されていたと思われる白いタイル貼りの壁が残っている。
廃墟というと、暗く危険で恐いという印象が強い。しかし、このフランス領事館跡は、丘の上の高台にあり、公園としてきれいに整備されているので、廃墟という印象は少なく、芸術作品と言っても良いだろう。おそらく、日本でも数少ない、安全で安心して見学できる廃墟である。 |
Googleマップ上でのフランス領事館跡の位置。元町中華街駅を降りてすぐ、フランス山の中にある。
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木立の中に佇むフランス領事館跡の廃墟。後ろに見えるのは、復元された多翼式の揚水用風車。
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フランス領事館跡の外観。1947年の火事で焼け残った部分しか保存されていないため、廃墟の規模は小さい。
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建物内部。タイル張りの壁面が美しい。
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フランス領事館跡の廃墟は、天井が無いため、廃墟とは思えない明るい空間になっている。壁面の上に伸びた蔦の模様がきれいだ。
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敷地内部には、2階へ登るための階段の基礎部分と、洗面台の跡と思われる白いタイル貼りの壁が残されている。
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浴室もしくは洗面台の跡と思われる、白いタイルが貼られた壁。
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フランス領事館建物内部への入り口上部。
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揚水用風車の基礎部分。レンガ造りである。
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建物内部の壁面の造作。細かい模様が入ったタイルが貼られている。
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敷地内の案内版。「フランス領事館時代」
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敷地内の案内版。「仏軍駐屯時代のフランス山」
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敷地内の案内版。「フランス山の歴史年表」
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敷地内の案内版。「フランス山の歴史」
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敷地内の案内版。「フランス山の風車」
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敷地内に再現された、当時の揚水用多翼式風車。
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旧フランス領事館跡 【NIKON COOLPIX P330】 (動画)
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