もともとこのバスは、松崎から湯ヶ島へ向う途中に偶然発見したものだ。県道を走っていると、完全に変色してしまった不気味なフロントガラスが視界に飛び込んでくる。バス全体が、一種異様な迫力を呈しているため、いやでも目を引く存在となっている。左側面は半ば林に埋もれてしまっているため、湯ヶ島→松崎の方向で進んで行くと発見できないが、逆に松崎→湯ヶ島方面へ向う場合には良く見える。バスそのものは、一世代前の東海バスと思われ、それほど古いものでは無い。しかし、このように放置されてからかなり時間が経過しているようで、痛みは甚だしい。
運転席横の乗降口が開いていたので、中をのぞいてみた。ステップに足をかけようとして、思いとどまる。鉄板が腐って、グサグサになっているのだ。あのまま足をかけていたら、確実に踏み抜いてケガをしていたであろう。このように、一見何の危険も無いような所でも、意外なところに落とし穴があるのが廃墟の恐ろしいところである。改めて言うまでも無いが、あくまで自己責任において行動してもらいたい。バスの内部は、座席が全て取り払われており、物置のようになっていた。しかし、実用として使用されている様子は無い。前輪にはツタがからまり、なかなかアートしている。サビの色と東海バスのオレンジ色とがマッチして、前衛芸術作品のような感じすら受けた。
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