九段下の廃アパート(竹平寮)外観

■九段下の廃アパート(竹平寮) (1999/12/04)

●1999年12月04日(土曜日)
 九段下にある廃アパートを見学に行く。このアパートであるが、以前より目をつけていた物件だ。3年ほど前、首都高速を走っていた時である。東京駅の近くを通過し神田橋のインターを過ぎたあたりで、左下におそろしく古いアパート群を発見した。高速高架のすぐ近くにあるので屋上は良く見えるのであるが、雑草が生い茂ってまるで空中庭園の様相を呈している。東京のど真ん中とはとうてい思えない。まるでその部分のみ時空間が歪んでいるとしか思えないような光景なのだ。行こう行こうと思っていたのだが、こう近いとかえって行く機会が無いものである。ようやく今日になって取材に行こうと思い立った。


九段下の廃アパート(竹平寮)外観

 さて、この廃アパートの場所であるが、高速上から見た時には神田橋インターのすぐ近くのような気がしていた。そこで東京駅で下車し、高速沿いに歩いて探すことにした。ところが、自動車に乗っていると、短時間でも結構長い距離を移動するものである。行けども行けども目的のアパートは見えず、取り壊されたかとあきらめかけた頃、ようやく九段下を越えたあたりで発見することができた。最初から判っていれば、地下鉄東西線九段下駅経由で行けば、ものの5分で到着したところを、30分以上かけてしまったことになる。場所は内堀通りに面したところで、さくら銀行本店と関東信越国税局総合庁舎との間になる。

 地図上には、この場所は何も書かれていないが、非常に古くて廃墟然となった3階建てのアパートが4棟建っている。雰囲気的には、同潤会アパートに似ている。敷地内への入り口は2ケ所あり、いずれも鍵こそないものの扉が閉まっている。基本的には立ち入り禁止で、居住者以外が進入した場合には、直ちに警察に通報する旨の看板が、入り口脇にかかっている。ということは、このようなアパートでも、まだ人が住んでいるということらしい。看板には「大蔵省管財」とあったので、庁舎か官舎のようなものなのであろう。しかしその他には一切の表示が無いため、詳細は依然不明である。

 今回は訪れた時間が遅く、すでに夕暮れが近ずいていたため、外観撮影だけを行った。加えて「大蔵省」とかいう表示やら「進入者は直ちに警察に通報」やらという看板もかかっていたので、さすがに敷地内に入る勇気は無い。だが、内部構造がどうなっているかは、非常に気になるところである。アパートの各棟の間は、雑草だらけの荒れ果てた通路になっているが、きれいな国産セダンが駐車しているところを見ると、やはり何らかの目的でまだ利用されているようだ。その証拠に、新聞配達の人が夕刊を届けに、敷地内に入っていくのを目撃した。

 このアパート、外観だけ見ても相当「スゴイ!」特に内堀通りに面した棟の壁面など、破損したガラス窓の間をツタがからまり、まるでベルギー象徴派の絵画を見ているようだ。廃墟マニアとしては是非チェックしておきたい物件だ。

【2014年の追記】
このアパートについては、当サイト「廃墟系」「九段下廃アパート(竹平寮)」に掲載している。取材当時はどのような由来の建造物なの不明であったが、その後判明した。このアパートは、戦前に憲兵隊詰め所として建設され、戦後はGHQの日本人従業員の宿舎として利用、さらにその後国営のアパートになったそうである。2000年に完全に解体された。



九段下の廃アパート(竹平寮)
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