500に取り付けたクリップタイプのドアミラー。まだ背面の保護シールを貼ったままだ。

■満開の桜と500&ブレーキ調整完了 (1999/04/03)

●1999年04月03日(土曜日)
 修理に出した500を受け取りに行く日である。午後1時過ぎに、吉祥寺のショップに入る。店内は、入荷したFIAT 500用パーツで一杯になっていた。しかし、本当にFIAT 500関連の部品は潤沢に供給されている。ワイパーブレードから新品のバンパー、燃料ポンプ、オルタネーター、クラッチワイヤー、果てはボアアップのエンジン部品まで、およそ考えられる限りの部品が入荷していた。店長さんに聞くと、入手困難なパーツは燃料タンクくらいなものであるとのことである。その燃料タンクも、どこかで新品が作られているようである。

 本来ならばすぐに500を引き取るところであったが、調整に必要なグリスが入荷したのが昨日とのことで現在もまだ作業中だった。よって、しばらく店内で暇を潰す。2時間ほどだべって時間を潰していると、調整が終了した500が戻ってきた。ドアミラーを付けてもらったのであるが、ミラーが安物であったため作業途中で片側が折れてしまい、急遽代替品を購入することになった。ブレーキは、ブレーキシューを新品に交換したため、音は全くといっていいくらい出なくなった。しかし、若干効き目が甘くなったため、踏力は以前よりも大きくなったように感じる。

 直ってきた500で、近所を運転する。


満開となった桜と500


 東京では4月1日に桜が満開となったので、一週間前に撮影した桜の大木の前で再度撮影を行う。撮影は午後5時過ぎになってしまったため、若干薄暗く写っている。ところで、桜が満開となった4月1日は、かのカルトPC互換機雑誌、PCWAVEの編集長が夜逃げした日でもある。

【2014年の追記】
1999年04月01日といえば、PCWAVEの夜逃げ倒産劇が有った日だ。当時、同誌に連載を執筆中だった筆者は、04月02日の夜に送られてきた仲間のライターさんからのメールで、初めてコトの重大さを知った。メールには「編集長の行方を調査中です。お心当たりのある方は、何でも良いのでご連絡して下さい。」と書かれていたのだ。この頃は、まだ同社が劇的とも言える倒産を遂げるとは、思ってもみなかったのだ。
ついでだから、PCWAVE倒産時の詳細について、触れておこう。編集長は、前日の03月31日に、編集部員全員に対して「私物は持ち帰るように」、「明日04月01日は臨時休業とする」と申し伝えていたそうだ。通常のスケジュールであれば、月始めのこの頃は、次号のゲラ刷りが上がってきて編集部は上を下への大忙し状態になるのであるが、いきなりの臨時休業に社員全員不思議な感じを受けたと言う。
翌04月01日、当然社員は出社しておらず、事務所の扉は閉まっていた。そこへ、何も知らない専属カメラマンのN内氏が、次回撮影の打合せを行うために事務所へやってきたのだ。氏は平日なのに締まっている事務所のドアと、そこに貼られた1枚の通告文を見て、タイヘン驚いた。通告文は、裁判所からの差押えを伝えるものだったからである。さらに事務所扉のポストには、入りきれないほどの手紙や宅配伝票の山がはみだしていたそうな。
プロのカメラマンであったN内氏は、沈着冷静な方である。自身の愛機を取り出すと、裁判所からの通告文を激写した。皮肉なことに、氏のPCWAVEでの最後の仕事が、この差押え文書の撮影となる。
氏からの連絡を受け、ライター連中に不安が広がった。比較的のんきなライターは、丁度花見の季節でもあるし、編集部みんなが千鳥ヶ淵にでも行って一杯ひっかけているのではないか、と楽観視していたものだ。しかし、翌04月02日になり、社員が出社してきても、ドアは閉まったままだ。ことここに来て、編集長が夜逃げ屋本舗になったことが判明した次第であった。ライターからの調査結果も続々と集まってきた。編集長の自宅アパートは、既に表札が取り外されており、電気も止められていたとのこと。桜が満開のこの時期に起こった突然の倒産劇に、関係者一同、深く驚いたというワケである。
ところで、ライター諸氏は夜逃げ屋本舗となった編集長に対しては、極めて好意的であった。逆に、良くここまで頑張って出版したものだと、感謝すらしていた。ほとんどのヒトが原稿料未払いになっていたにも関わらず、である。そう、編集長には人望が有ったのだ。提灯記事ばかりのPC雑誌業界で、広告が取れなくなるのも構わずに、メーカーに対して歯に衣着せぬ辛口の記事を掲載していた、ただ一つのカルト雑誌を出版するということは、普通の編集長では無理なことだったのだ。
筆者も原稿料を食いっぱぐれたクチだ。しかし、書きたいように書かせてもらったことに対しては、有難く思っている。その後、東京地方裁判所から、被害額を申告するよう文書が送られてきて、ライター各氏はそれぞれ未払いであった金額を記載した。裁判所は破産宣告を出し、債権者には、とりあえず会社で現金化できた金額が返却された。その額の平均値は、焼き肉屋で一回宴会をすると全て無くなってしまう程度であった。因みに筆者は、書くのがめんどくさかったので、この債権申請書を出していない。


装着したドアミラー。背面の青いシートは保護用のもの。剥がす前に撮影してしまった。

 今回装着したドアミラーは、視認性も良く満足している。右側が折れてしまい、現在部品を取り寄せ中であるので、とりあえず左側のみ付けた状態となっている。このカマセ式ドアミラーは、装着するためにはドアの一部をグラインダーで削る必要があり、お手軽装着とはいかないのが欠点である。




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