■ショップ訪問から購入まで (1998/08/15 - 1998/11/18)

●1998年08月15日(土曜日)
 吉祥寺にあるFIAT 500専門店を初訪問する。このショップは、たまたま筆者自宅の近所にあり、以前にも自転車で何回か前を通ったことがあった。本年05月30日(土曜日)にホンダBEATが納車されたばかりで、この上さらにFIAT 500を購入しようとは考えてもいなかったのだが、何となく気になるので立ち寄ったのである。このショップであるが、通常の中古自動車販売店とは雰囲気が全く異なり、店内はまるでブティックのようだ。古いラジオがディスプレイされていたり、ビートルズのLPレコードがかかっていたりと、演出はなかなか凝っている。ショップ中央には、展示用に整備されたFIAT 500が鎮座している。ショップのオーナーは非常にフレンドリーな方であった。今回は、いろいろと話しをお聞きするだけに止める。しかし、いきなりショップの前に停まっているこげ茶色のFIAT 500Lを指差して、「今、これを買ってくれるんだったら100万円でいいよ!」と言われたのには驚いた。なんてラテンなノリの店長さんなのだろうか!

【2014年の追記】
本文では、ショップ初訪問となっているが、実は自転車でショップの前を何回も通っていた。従って、ショップの中に入ったのが、今回初めてということになる。もともと、小さくて古いクルマには興味があったのだが、ガラス越しに見たFIAT 500の展示車が忘れられずにいたワケである。購入する要因は、潜在的に既に充分有ったということだ。そんな状態が顔に出ていたので、いきなりこげ茶色のクルマを勧められたのだろう。今考えると、この時このこげ茶色のクルマを衝動買いしなくてホントウに良かった。


●1998年08月22日(土曜日)
 再度吉祥寺のFIAT 500専門店を訪問する。今回は、ショップで用意されている車のグレードについて、いろいろとお聞きした。このショップでは、イタリアよりベース車となるFIAT 500を船便で輸送し、日本で整備して販売している。整備のグレードにより、78万円コースと128万円コースの2種類が用意されているとのことだった。この価格は車両本体価格でありこの他に諸手続き費用や消費税が入るため、128万円コースは実際には150万円必要となる。128万円コースでは、基本的な整備が含まれるため、購入するとしたらこのコースが良いと勧められる。

【2014年の追記】
78万円だの128万円だの150万円だのと、随分と景気の良い数字が並んでいる。そう、1998年は、まだ今ほど不景気では無かったのだ。当時筆者は、大手電機メーカーに勤務しており、毎日死ぬほどつまらない仕事に朝から深夜まで従事する、いわゆる現在で言うところの「社畜」であった。元々エンジニアであったにも関わらず、業務のマネジメントばかりをやらされて、実際に手を動かすことが無かったので、鬱憤が溜まっていたのだ。ガス抜きが必要であった。そのガス抜きには、「非日常」を感じさせる何かが必須だった。それがFIAT 500というクルマだったのだ。


●1998年10月01日(木曜日)
 再度ショップを訪問、しかしこの日は定休日であった。仕方なしに、店内にディスプレイされている青のFIAT 500Fを鑑賞して帰る。

【2014年の追記】
もう、ここまで来れば、購入を決意したことと同じである。正直、気になって気になって眠れなくなっていたのだよ、と書くと大袈裟になるな。筆者はモノを購入する時には、事前に良く考える方だ。なので、幸いなことに、あまり散財をしないタイプである。しかし、当時の意思決定は、予想以上に早かった。今から思えば、ほぼ衝動買いと言っても差しつかえないだろう。


●1998年10月02日(金曜日)
 再度ショップを訪問。この日は費用の件について、若干突っ込んだ話しとなった。希望の色を手に入れるのなら、やはりオールペイントが良いとのこと。しかし、オールペイントを施すと、予算より10 〜 15万円ほどアップになってしまうとの話しであった。車両本体価格128万円、諸費用込みで150万円でもかなりキツいものがあるため、それ以上の出費は不可能である。上記費用の中にオールペン代金を含めてもらうよう、時間をかけて交渉することにし、この日はとりあえず帰宅した。なお、オーダーカラーで最も人気が高い色は、色番号222番のアイボリーであるとのこと。購入するお客の中には、いわゆるルパンカラーを指定する人も多いようだ。ルパンカラーは、222番の色をもっと少し黄色っぽくした感じになる。
 打ち合わせを行っている時に、いきなりスズメバチがショップの中に入ってきたのには驚いた。必死で逃げ回る。結構楽しい経験であった。ショップの方から、エスプレッソ用カップを頂く。また、FIAT 500F用フロントエンブレムを4,800円で購入した。部屋にディスプレイすると、なかなか恰好が良い。

【2014年の追記】
いよいよ購入意思が固まり、具体的な価格の話しになってくる。1998年当時では、簡易整備済みのFIAT 500の価格は、程度にも依るがだいたいこれくらいが相場になっていたように記憶している。最も、程度にもピンキリがあり、相場も有って無いようなものだったが。色については、最初から222番のアイボリーを指定した。この時は、それ以外の色は考えてもいなかったのだ。なお、購入したエンブレムについては、未だに保存している。




●1998年10月05日(月曜日)
 他のショップはどんなものなのかを調査するため、会社の帰りに都内某所にあるFIAT 500専門店を訪問する。

●1998年10月06日(火曜日)
 外出ついでに、神奈川県某所にあるFIAT500ショップを訪問する。ここはかなりの規模であったが、雰囲気が合わず早々に退散。

【2014年の追記】
FIAT 500の購入は、ほとんど衝動買いに近いものだったとは言え、一応他店の情況も収集しておくことになった。当時はインターネットが普及しておらず、ショップも自身のホームページを持っていなかったので、リアルな店舗へ足を運ばなくてはならなかった。また、筆者自身も500専門店については知識が無かった頃である。結局、上記2店舗は、購入前に一度訪れただけで、その後は一回も行っていない。両店共に雰囲気が合わなかったのだ。特に神奈川県の専門店は、店長がやたらと説経&自慢するので、辟易した覚えがある。ショップ選びも大切だと感じたものだった。

●1998年10月11日(日曜日)
 BEATで吉祥寺のショップを訪問。予算アップ無しでオールペイントをやってくれそうな気配になってきた。これ以上の予算交渉は、購入意思を示さないと進められそうにないと判断。数回通ったおかげで、結構良い線になってきたような感じである。11月初旬にまた来ますと言って帰宅する。

【2014年の追記】
価格交渉も大詰めを迎え、ほぼ売る側、買う側の落とし所が決まってきた。最も、販売する方としては、切り札として、予算アップ無しのオールペンという案を最初から想定していたのかもしれないが、その辺については、腹の探りあいになるので判らない。次回の訪問を11月初旬まで延ばしているが、当時筆者は、会社で進攻中のプロジェクトにかかり切りとなり、死にそうなくらい忙しかったのだ。そのため、いかにガス抜きの買い物とはいえ、すぐに購入する余裕が無かったのである。また、10月末日でこのプロジェクトも終了するので、自分へのご褒美として考えていたことも事実。ご褒美にしちゃぁ、随分と高額な買い物ではあるが・・・

●1998年11月15日(日曜日)
 吉祥寺のショップで、ついにFIAT 500 L-Type購入の契約を行った。ショップを最初に訪れてから、約3ケ月が経過していた。もともとこの日は、商談をキメるために訪問した。車両本体価格128万円、諸費用込みで150万円での購入である。ボディーカラーは、人気の高い222番のアイボリーを指定。店長さんの話しでは、222番の色に一番良く似合う内装はエンジとのことなので、内装カラーはエンジを指定した。購入した車のスペックを下記に示す。


項 目 内 容
タイプ FIAT 500L 1971年製造モデル
ボディカラー アイボリー 222番
整備及びオプションの内容 ・3年車検取得済み
・外装:オーダーカラーでオールペン
・内装:張替え処理(エンジ)
・機関の基本的な整備
・足回り点検整備
・オープントップAsseyを新品に交換
・タイヤ4本新品交換
・バンパー新品交換(オーバーライダー込み)
・フロント及びサイドのウエザーストリップ新品交換
・ガーニッシュ新品交換
・フロアカーペット新品交換
・サイドフラップのトップコート無し
・プラグコードスペアサービス添付
・ダイナモ及びスターターモーターのブラシ交換
・バッテリーを日本製新品に交換
費用明細         
車両本体価格 1,280,000 円
車両本体消費税 64,000円
輸入新規登録費用 35,000円
車検整備費用 45,000円
諸費用税 4,000円
自動車重量税(36ケ月分) 37,800円
自賠責保険料(37ケ月分 38,450円
自動車税 実 費
値引き ▼4,250円
合 計 1,500,000円

 イタリア・ジェノバの提携工場でベース車の基本的なメンテナンスを行い、その後船便で輸送してくるため、車が日本に届くのは、来年(1999年)02月くらいになる予定。その後、ショップで細かいメンテナンスと整備を行なうため、納車は予定では1999年03月くらいになりそうとのことである。L-Typeを購入した理由であるが、比較的程度の良い車が多く残されており、メンテナンスが楽で信頼性が高いから。F-Type は、白いハンドルと丸型のスピードメーターを採用しており、L-Typeは黒いハンドルと角型のスピードメーターとなる。レトロな雰囲気という点ではF-Typeの方に軍配が上がるが、稀少性が高い分、価格も約20万円程度アップしてしまうとのことであったので、L-Type を選定した。

【2014年の追記】
FIAT 500の購入契約を行ったのは、1999年11月15日であった。買い物全般に言えることだが、何を購入するかを検討している時が一番楽しい。旅行もそうだね。どこに行くかを検討している時が、一番だ。価格や整備内容については、既に何回も話し合っていたので、問題は無かった。ただ、当時筆者はF-Typeが欲しかった。レトロな雰囲気が濃厚だったからだ。しかし、今思えばL-Typeを選択しておいて正解だった。L-Typeは、燃料系がメーターになっており、残量の把握が容易である。また、レトロ感もF-Typeに劣らない。内装をエンジにしたのも正解だった。最初はちょっと派手過ぎるかな?とも思ったが、実に良い色だったからだ。結局、外装は2007年に再度オールペンをした際、色を変えたが、内装はエンジのまま乗り続けている。

●1998年11月18日(水曜日)
 ショップより連絡が入り、イタリア・ジェノバの提携工場でベース車の選定が終了し、作業に入ったとのことであった。ベース車の状態は、フロア周り・バンパー共に非常に良好とのこと。

【2014年の追記】
購入契約を行った時に、店長さんはさっそく提携工場へ電話をかけてくれた。ちょうど1台、程度の良いベース車があったハズなので、それを使えないかを現場に聞いてくれたのだ。このベース車、大変状態が良い個体だとのことであったが、当時の筆者は当然、自分の目で見て確認することができなかったので、言葉を信用するしか無かった。その後、2007年になって、現在お世話になっているオンタリオSSさんにオールペンをお願いした際、シャシーの状態を見て頂いた。当時の言葉通り、車体の状態は非常に良いとのお墨付きを頂いた。これでようやく、第三者の専門科による追認ができたのだ。




<< Menu Page



Copyright (C) Studio Pooh & Catty
1996-2014