■ FIAT 500L Overhaul #12■

エンジン組み立て開始!(その1)


写真0.組み立て途中のクランクケース
既にタイミングチェーンやデストリビュータが搭載されている。ケースから飛び出ているのは、オイルピックアップパイプ(ストレーナー)。写真撮影時以外は、ホコリの付着を防ぐため、クランクケース全体をクロスで覆うといったように、細かいところにも配慮して進められている。大変徹底した作業である。 ヽ(´ー`)ノ


 この特集も今回で12回目を迎えた。オーバーホールの最終段階、いよいよエンジンの組み立てに突入する!既に必要となる部品類は全て整い、後は組み上げるだけの段階に入っている。オンタリオのY口J郎さんによれば、「シャカリキになって作業すれば3時間程度で終了する」ところまで来ているのだ!今回取材させて頂いた時は、クランクケース内部にクランクシャフトとカムシャフトが搭載された状態となっており、ボアアップされたピストンも組上がっていた。また完全にオーバーホールされたデスビも、クランクケースに搭載されていた。

 さて、今回はチンクェチェントに使用するエンジンオイルについて、色々とお伺いした。推奨するオイルは鉱物型であるが、現代のクルマと異なり、夏季は60番程度の堅めのオイルを使用するのがお勧めとのこと。また冬季は少し柔らかい50番程度のものにするのが良いそうだ。オーバーホール終了直後は、スラッジ等が多く出るので、数百キロ程度で一度オイル交換をして、内部を洗浄した方が良いそうだ。また、1ケ月後くらいに一度メンテナンスを実施し、タペット調整とボルト類の増し締めを行うとのことであった。

写真1.ピストン側から見たクランクケース
既に660cc用ボアアップピストンと、ボアアップシリンダーも搭載されている。

写真2.クランクケースの内部
手前に突き出ているオイルピックアップパイプ(ストレーナー)が目立つ。クランクシャフトとカムシャフトがマウントされており、デストリビュータも接続されている。写真では判りにくいが、各ユニットにはオイルが塗布されており、たいへん丁寧に組み立てられていることが伺われる。

写真3.デストリビューターシャフトとクランクシャフト
デストリビュータとクランクシャフトとは、クランクケース内部でこのようにギアで接合され、点火タイミングを得ている。

写真4.ベアリングとクランクシャフトとの接合部
ビッグエンド・ベアリング部分をアップで撮影。ベアリングとクランクピンの接合状態が良くわかる。右に見えるのはカムシャフト。共に丁寧にオイルを塗布し、組み立てられている。

写真5.タイミングチェーン側
オイルフィルターとカムスプロケットが見える。カムスプロケットを固定している4個のボルトは、ロックワッシャーによってしっかりと固定されている。遠心分離式のオイルフィルターは洗浄済みであるため、このようにピカピカの状態! ヽ(´ー`)ノ

写真6.タイミングチェーン部分のアップ
ロックワッシャーによって固定されたカムスプロケットと新品のガスケットが見える。

写真7.シリンダー側から見たところ
上側のシリンダーにはガスケットが搭載されている。660cc用のピストンが、シリンダーに収まっている。

写真8.ピストン上面のアップ
660cc用ボアアップピストンの上部。良く見ると、「77」という打刻が見えるが、これはφが77mmであることを示す。実に縁起がよい!!!

写真9.デストリビュータのアップ
搭載した後では絶対に見ることのできないアングルから撮影した、デストリビュータ。中央下にあるボルトは、タイミング調整用。手動でタイミング調整を行う時には、手探りでこのボルトを緩め、デスビ全体を前後に振って最良点を探す。

写真10.デストリビュータ本体
クランクケースに搭載されたデストリビュータ本体。

写真11.オンタリオオリジナルステンレスマフラー
今回は排気系にも手を入れることにした。思い切ってオンタリオさん特製のオリジナルステンレスマフラーの搭載を決断!今まで使用してきた、元々チンクエチェントの純正品として搭載されていたマフラーでは、ちょっと物足りないと思っていたところだった。前回訪問時に、幸運にもオンタリオさんオリジナルマフラーを搭載したチンクェチェントが入庫しており、実際に音を聞いてみたところ、なかなか味わいのあるエレガントな低音を出していたため、搭載を決意した次第。これで排気系にも手を入れることができた。エンジン全体の仕上がりが楽しみである!!!

写真12.ステンレスマフラーの排気管のアップ
オンタリオさんオリジナルのステンレスマフラーには、1本出しと2本出しの2種類がある。今回は音量が若干静かである細身の2本出しを選択した。ステンレスだから錆びないし、焼け具合も楽しめるそうで、なかなか魅力的なアイテムである!!! ヽ(´ー`)ノ

写真13.オンタリオさんの作業現場全景
最後になったが、今回オーバーホールを行なって頂いた、オンタリオさんの作業場というのはどんな所なのかという質問があったので、ここに内部写真を掲載しておく。ご覧の通り、チンクェチェントがずらりと並んでいる。一目見て、大変整理整頓が行き届いているという感じを受ける。奥にはエンジンの組み立てを行う際の作用台や、旋盤等の工具類が並んでいる。作業場自体はかなり広い。1階の作業場にも、エンジン関連やボディ関連の部品が多数保管されているが、2階の倉庫には、チンクェチェントのパーツが、それこそ「山のように」在庫されている!正直、初めて見た時は、この光景に驚いたものだ。


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取材協力
オンタリオさん


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