■ FIAT 500L Overhaul #11■

クロメートメッキ加工終了!


写真1.クロメートメッキが終了した部品類
ボルト、ナット、ワッシャー等の細かい部品のメッキが終了。ダイナモプーリーやエンジンマウント用ボルトもメッキ処理が施された。細かいパーツになってしまうと、実車のどこに使用されているのか、なかなか見当が付かない。。。


 今回の作業では、細かいボルト類のクロメートメッキが終了した。ここでクロメートメッキについて簡単に解説しておく。
メッキでは「亜鉛メッキ」が一般的に広く知られているが、「クロメートメッキ」は、この亜鉛メッキ処理を行った後でクロメート被膜を持たせものとなっている。正式な名称は「有色クロメートメッキ」と言うそうで、クロメート被膜のために黄色もしくは黄褐色に輝くのが特徴。耐食性が非常に優れた処理だそうだ。ヽ(´ー`)ノ

 今回、フライホイールやエンジンの固定に使用するボルトやナットといった細かい部品が、クロメートメッキ処理された。これらの部品は、いずれもFIAT純正を示す打刻が施されており、部品自体は小さいものの、貴重なものである。処理が終了した部品類を撮影したものが写真1であるが、このようにパーツとしてバラバラになってしまうと、実車でどこに使用されているのか、なかなか判断が付きにくい。

 さて、ここまでの工程で、組み立てに必要な部品の処理は全て終了した。一部クランクケースにはクランクシャフトが組み込まれていたが、残すはエンジンの組み立てのみである。2005年2月19日に開始した世紀のオーバーホールも、いよいよ終盤を迎え、予定では5月連休に入る直前には完成するものと思われる。

写真2a.エンジンマウント用ロッドとダイナモ用ボルト類
写真中央にある2個の穴が空いたロッドは、エンジンマウント時に使用するもの。その下には、ダイナモをベルトに固定するためのボルトがある。写真右端に縦に置かれている金属製のプレートは、エンジンスロットル部分に用いられるもの。写真上部右には、ダイナモプーリー用のプレートが、またその左側にはスロットルリターン用バネとダイナモ固定ベルトの一部がある。写真左端にある小さな金具は、デストリビュータのキャップを留めるためのもの。このような小さい部品も全てクロメートメッキ処理される。

写真2b.実際の使われかた
写真2aのエンジンマウント用ロッドは、実車では写真中央の四角い部分のように搭載される。ロッドは、2本のボルトを介して、リアパネルに固定される。左右両端にあるワッシャーも、今回クロメートメッキされたものが使用される。

写真3.ダイナモプーリー
ダイナモプーリーの裏面には、このように打刻が施されている。

写真4.エンジンマウント用ボルトの打刻
驚いたことに、ほとんどのボルト類には、このような打刻が施されている。洗浄前には気が付かなかったのだが、ボルト1本1本に「FIAT」や「110」といった刻印が見受けられる。純正の証!!!

写真5.フライホイール用ボルト
「FIAT」「100」の打刻が付いている。このような部品はオリジナルの貴重品であるため、問題が無い場合にはクロメートメッキを施して使用し、くたびれているものについては新品と交換する。

写真6.ワッシャー類
エンジンをマウントする際に用いるワッシャー類もメッキ処理された。

写真7.エンジンマウント用ボルトとプレート類
写真右側には、エンジンをマウントする際に使用する2本のボルトが見える。その上にある捻れた金属製の板は、燃料ホースを固定する際に使用するもの。写真中央にある「>」の型をしたプレートは、エンジンをマウントする際に挿入するスペーサーのようなもの。

写真8.組み立て中のクランクケース
クランクシャフトがマウントされたクランクケース。タイミングチェーン側から撮影したところ。

写真9.クランクケース内部
恐ろしくキレイな姿になり、分解前の状態に戻りつつある光景。クランクシャフトのバランサ部分とクランクケースとの隙間は、驚くほど少ない。エンジン・ユニットは非常に精密に構成されていることが判る。

写真10.タイミングチェーン側から見たクランクケース
メインベアリングが取り付けられた状態。

写真11.クランクシャフト側から見たクランクケース
こちらもメインベアリングが取り付けられている。

写真12.シリンダーを固定するロッド
シリンダー固定用のロッドは1気筒に付き4本ずつ、計8本付いているが、これらもクロメートメッキされた。


▲前ページへ                           ▼次ページへ

Overhaul Menu


取材協力
オンタリオさん


Copyright (C) Studio Pooh & Catty
1999-2005