Commodore Amiga A-500 本体

■Amiga A-500でメガデモを見る (1999/08/28)

●1999年08月28日(土曜日)
 どうしてもAmiga A-500でメガデモを見たくなった。メガデモの類は、IBM PC/AT互換機にもあるが、Amiga A-500で元祖メガデモを見たくなったのだ。そりゃ、ATマシンのデモは半端じゃない。3Dテクスチャマッピングした画像がリアルタイムでグリグリなんてのは当たり前。最近の高性能グラフィックスチップの威力もあり、ちょっとした映画みたいな迫力だ。それでも、Amiga A-500のメガデモが見たくなったのだ。あの68000 8MHzのAmiga A-500上に、2DDのメディア1枚のデータをメモリに展開して走らせるメガデモを、である


 とりあえず、A-500本体はMadam Fatale氏が貸してくれた。Amiga用のモニタTVは、SONYの定番であるGVM-1411を納戸から引っ張り出してきて設置する。Amigaは水平同期周波数が低いため、現在発売されているAT互換機用のモニタTVでは使用できないのだ。このGVM-1411や、NECのPC-TV454などは、Amigaヲタクにとっては無くてはならないモニタなのである。捨てなくて良かった!モニタへの接続は、専用のケーブルを使用する。これもまだ残っていた。こうして、Amiga A-500用のメガデモシアターが完成した。


完成したAmiga A-500メガデモシアター

 さっそくメガデモの傑作と言われている作品を鑑賞する。Amiga用のメガデモはヨーロッパ製が圧倒的に多いため、NTSC文化圏の人間が見る場合には、PAL→NTSCコンバーターという常駐ソフトをかまさないと、正常に見ることができない。そこで、このコンバータソフトを内蔵した専用のブートディスク(Boot PAL)で、Amigaを起動させる。しばらくすると、OSが立ちあがりPAL→NTSC変換ソフトが常駐されるので、この状態でメガデモFDを挿入し、再度起動をかければ、後は自動的にデモが開始される。

 やはり、Amigaのメガデモは元祖だけあってスゴイ。とても8 MHz 68000 CPU のマシンとは思えない。しかも驚いてしまうのは、これらメガデモは2DDのFD 1枚で供給されているのである。AmigaのファイルシステムはWindowsマシンと異なるため、2DDといっても800KByte程度の容量だ。しかし、いかに圧縮していても、あれだけの内容のデモが2DDフロッピーディスク1枚に格納されてしまうというのは驚きだ。当然、今から10年くらい前のハードウエアを対象としているため、グラフィックス性能は現在とは比較にならないが、十分に見ごたえがあるのは、作者のセンスとコンセプトが良いからであろう。現在のリソース馬鹿食いのデモが、新宿プラザで上映されるスター・ウォーズエピソード4だとすれば、Amigaのメガデモは、場末のミニシアターで上映される天使といったところだ。とにかく、全編カルト色ぷんぷんなのが、また良い。因みに、筆者のお気に入りは、以下のタイトルである。

 ・MAYDAY RESISTANCE
 ・Wild Fire TEKK-NO(17 bit 1501)
 ・KGB HIT
 ・CRYONICS HARDWIRED(17 bit 1562)


Amiga A-500のマザーボード

Amiga A-500のマザーボード(I/Fコネクタサイド)

 さて、Amiga A-500に使用されているマザーボードとは、一体どのような構成となっているのだろうか?上記に掲載した写真が、そのボードだ。当然ながらIBM PC/AT互換機のマザーボードとは似ても似つかぬ格好をしている。

 このボードは1988年に設計されたREV 6Aである。Amigaのボードは静電気に非常に弱く、このボードも破壊されてしまったものだ。ネット上ではボード単体で販売されているため、静電気で破壊されても簡単に交換することが可能となっている。ボード上にビデオ出力やオーディオ回路も内蔵されている割には、意外にすっきりとした構成だ。CPUにはもちろん、モトローラ社製 MC68000P8 DIPが搭載されているが、その巨大なDIPパッケージは圧倒的存在感がある。

 基板上に確認できるLSIは、下記の通りである。


Motorola MC68000P8のアップ

コードネーム 品  番 製造年
DENISE 8362R8 1991年38週
PAULA 83364R7PD 1991年41週
GARY 5719 1991年04週
ROM 3315693-02 1991年34週
ODD CIA 8520PD 1991年41週
EVEN CIA 8520PD 1991年41週

 いずれも68系のチップセットであるため、筆者にとっては馴染みの薄いものばかりである。

 というわけで、メガデモを堪能した一日であった。しかし、この画像をなんとかキャプチャして CD-Rに焼きたいものだ。一々メガデモシアターで見るというのも面倒だし、PC/ATマシン上でも好きな時に見たいしね。気になったので、秋葉原に行ってAmigaを販売していたショップをチェックしてきた。案の定、ほとんどのところが店を閉めており、わずかに残ったTWO-TOPですら、本体の在庫は無しといった状況である。これで、Amigaは筋金入りの物故パソコンとなってしまった。

 秋葉に行ったついでに、昨日買い損ねたAdaptecのSCSIホストアダプタ、AHA-2940バルク品を、Flip-Flapで購入する。価格は6800円。昨日行った時には品切れであったが、今日ダメ元で覗いてみると、山のように入荷していた。


AdaptecのSCSIホストアダプタ、AHA-2940バルク品

【2014年の追記】
1999年当時にAmigaのメガデモを鑑賞するのは、今よりも大変だった。こう書くと、なにやら奇妙に思えるかも知れない。Amiga本体はとうの昔に物故PCになってしまったし、月日が流れて元祖メガデモなど知らないヒトが増えているにも関わらず、なぜ現在の方が便利になっているのか・・・

一つには、Amiga Foreverというエミュレーションソフトが登場したことによる。Amigaのユーザは極めて少なかったものの、皆熱狂的なファンだった。その人達がAmigaというマシンを仮想マシンとして永遠に残そうと作成したのが、このエミュレータなのだ。

このエミュレータソフトは、バージョンを重ねるに従い、大幅な機能強化とエミュレーション精度の向上がはかられた。また動作するホストマシンの性能もアップしたため、壊れやすかったAmiga本体よりも出来は良くなってしまったという、恐ろしいソフトになってしまった。当然、ほとんどのメガデモが動作する。一見アタリマエのようだが、実はこれって物凄いことなのだ。Amigaのメガデモは、その性能を徹底的に引き出すため、プログラミングはハードウエア直叩き等の掟破りのコーディングがアタリマエだったのだ。それをエミュレータで再現してしまうのだから、すさまじい・・・

さらに、Amiga Foreverで再生したメガデモの数々を、動画ファイルとしてまとめるサイトも出来たので、懐かしのメガデモもすぐに鑑賞することができる。この手のサイトとしては、知人である紫隠上人稀瑠冥閭守氏が運営しているサイト、AMIGA Megademo Theaterを参照して欲しい。Amigaのメガデモとして有名どころはほとんど抑えてある。便利な世の中になったものである。




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