「YB-49 PILOT'S FLIGHT MANUAL」表紙
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■YB-49 PILOT'S FLIGHT MANUAL (2014/06/15)

 米Amazonより、「YB-49 PILOT'S FLIGHT MANUAL」が届く。2010年 Periscope Film LLC発行。

 YB-49はアメリカの航空機メーカーであるノースロップ社が、第二次世界大戦終結直後にアメリカ空軍のために開発した全翼重爆撃機の試作機である。YB-49の前に、同じくノースロップ社が製作したレシプロエンジン搭載のYB-35という全翼型機があったが、YB-49はそのジェットエンジン版だ。YB-49の初飛行は1949年10月01日。目立った垂直尾翼を持たない独特の構造は、その後ステルス爆撃機であるB-2の開発に活かされた。

 で、なぜYB-49のパイロット・マニュアルを取り上げたのかと言うと、このマニュアル、とても「変」な所があるので有名なのだ。一見、軍用機のマジメなマニュアルのように見えるのだが、SECTION U、「Normal Operating Instructions」の章に描かれている挿し絵が、アメリカン・コミックしていて和むのである。

 例えば、「ジェットエンジンのエアインテーク周囲はキレイに!」という注意事項には、エアインテークに吸いこまれそうになっているエンジニアを必死に引っぱり出している光景が描かれている。また「機体の転回は穏やかに」の項では、通りすがりの美人に気を取られたパイロットが、機体を急旋回している絵になっている。。。。といった具合なのだ。

 お堅い軍の制式マニュアルにしては、随分と洒落っ気がある。YB-49は、機体そのものも特徴的な格好をしているが、マニュアルもそれに劣らず変なのであった。

 ところで、このYB-49の実機は、操縦が大変難しかったそうである。当時はコンピュータによるフライ・バイ・ワイヤの技術が無かったことも一因だが、元となったYB-35との違いを良く認識せずに設計してしまったことが原因だそうだ。
 YB-35はレシプロ機なので、当然プロペラがあった。このプロペラが疑似的に垂直尾翼のような働きをしていたため、機体が安定していたのだ。ところが、YB-49でジェットエンジンを搭載したものだから、機体の安定に寄与していたプロペラが無くなってしまった。というワケで、とても不安定な機体になってしまったというコトだそうだ。言われてみれば成る程なぁと思う逸話であった。



「YB-49 PILOT'S FLIGHT MANUAL」裏表紙
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「YB-49 PILOT'S FLIGHT MANUAL」より
AC電源システムの回路構成が書かれている。
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「YB-49 PILOT'S FLIGHT MANUAL」より
エンジンの電子制御パネルを示したもの。
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「YB-49 PILOT'S FLIGHT MANUAL」より
エンジン制御パネルの写真。これなんかメカメカしくて、見ているとゾクゾクしてくるなぁ。。。
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「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
燃料系統を熟知しよう!

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
エンジンのエアインテーク周囲はキレイに!

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
翼の端に注意すること!電柱折っちゃってるし・・・

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
機体の旋回は穏やかに!

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
離陸時の機首の角度に注意せよ!とでも訳すのかな?

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
時速160mph以上ではフラップを下位置にするな!

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
エンジン始動時のテールパイプの温度に注意!

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト
離陸時にブレーキ替わりにラダーペダルを使うな!

「Normal Operating Instructions」に描かれたイラスト

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