今回比較撮影を行ったデジカメたち。左端からKodak M532 easyshare、Kodak DC4800、Canon IXY 600F。なお、この写真は、第4世代iPodTouchのカメラ機能で撮影したので、若干粗くてエッジが立ってない。

■デジカメ比較 (2014/03/08)

 約10年振りにKodak DC4800が復活した。押し入れの奥底に眠っていた名機は、リチウムイオンバッテリーを再充電しただけで、以前のように動きだした。西暦2000年に発売された、このたかだか330万画素のカメラを、2014年の現代で再度使用してみたくなった。あの「コダック・ブルー」と呼ばれた深い青色を、また見たくなったのだ。今日はチト寒いが、幸い天気が良い。500を被写体にして、撮影会を行うことにした。

 ついでだから、各種デジカメの撮り比べを行ってみよう。そこで選定したのが、Canon IXY 600Fと、Koadk M532 easyshareである。おまけで、第4世代iPodTouchも、せっかくだから加えることにした。もっとも、第4世代iPodTouchのカメラ機能は、70万画素というオモチャみたいなものなので、というかオモチャなので、比較する以前の問題だが。

 Canon IXYは、筆者が常時持ち歩いているデジカメで、HD動画も撮影できるし、画質もそこそこキレイに撮れるのだが、今一つ面白みに欠ける。学校に良くいた、「優秀だけど、ツマンネェ奴」に、どことなく似ているのだ。撮影に失敗することは滅多に無いが、撮った写真に感動するこも滅多に無い。まあ、このレベルのコンデジに、多くを期待する方が間違っていると言われればそれまでなんだけどさ。。。因みに、持ち運び易さと機動性については、最大限評価している。

 一方、KodakのM532は、日本では超マイナー、というか知ってるヒトがほとんど居ない機種であるが、その茶目っ気いっぱいの機能で飽きさせない製品だ。所詮トイカメラなのだが、なかなかどうして、侮れない仕掛けがある。詳細は別途取り上げるが、こんなに面白いデジカメが実売1万円ちょっとで投げ売りされていたという所に、Kodakという会社の末期を垣間見るようで悲しい。画素数は1450万画素で、トイカメラとしては多い。この製品は2011年の製造で、Kodakが発売した最後のデジカメとして記録されている。


最初は、このアングルから4種類のカメラで撮影してみた。Kodak M532には、いくつかのフィルムモードが有るが、今回はその中でも最も発色が濃いと言われている「Ektachrome」を使用してみた。画像は小さいが、こうして4枚並べてみると、Canonは寒色系、Kodakは暖色系ということが判る。iPodTouchは論外系といったところですかな?

おチープなデジカメから掲載しよう。先ずiPodTouch第4世代のカメラ。何が写っているのかが判るレベルですな。もともと音楽プレーヤーなので、カメラはオマケと完全に割り切っているのが良く判る。
等倍画像(960×720)

Canon IXY 600F。ごく普通の写りですな。可も無く不可も無し。全体的にちょっとくすんで茶色っぽい。
等倍画像(4000×3000)

さて、ここからがKodakワールドの始まり。2000年に発売された骨董品、DC4800の画像。CCD素子を使用した特徴が良く出ている。色も濃く暖かい画像に仕上がっている。330万画素しか無いが、WEBに縮小して掲載する分には、充分過ぎてお釣りが来る。
等倍画像(2160×1440)

Kodak M532をEktachromeのフィルムモードで撮影。背景の樹木の緑が、こってりと出ている。色乗りが濃い。濃厚。この濃くて暖かい画像が好きだなぁ・・・
等倍画像(4288×3216)

次の比較撮影は、この画像。サムネイルを見るだけでも、M532 Ektachoromeの尋常では無い発色ぶりが伺える。青空部分に注目しよう。DC4800の「コダック・ブルー」が美しい。これが14年前のデジカメとは思えない出来である。

iPodTouch第4世代のカメラ。ここまで酷いと、何か撮影方法を間違えたのかと悩んでしまうほどの画質だ。世代も古いし、そもそも音楽プレーヤーであることを考慮すると、こんなモノなのかもしれないが。
等倍画像(960×720)

Canon IXY 600F。ソツの無い写りだけど、今一つインパクトに欠ける。
等倍画像(4000×3000)

Kodak DC4800の画像。青空の部分が、「コダック・ブルー」になっている。この青を見たかったのだよ。14年振りに復活したデジカメで見る、懐かしい画質だ。
等倍画像(2160×1440)

Kodak M532をEktachromeのフィルムモードで撮影。空の青さはDC4800ほどコダックブルーしていない。撮像素子の違いからかな?色はこってりとして濃く、非常に暖かい。
等倍画像(4288×3216)

少し時間を置き、日が傾いてきた時刻に撮影したアングル。4機種の画像を並べてみると、IXY 600FとKodak M532の2機種が、背景の塀のハレーションが少ない。特にIXY 600Fは、全体的にかなり良好に写っている。夕方近くということもあり、DC4800のコダック・ブルーは、さほど現れてはいない。

iPodTouch第4世代のカメラ。ピンが来ていなくて、全体的に甘いな。
等倍画像(960×720)

Canon IXY 600F。このカメラの最大の長所である、いかなる情況でもそれなりに写るというのが良く現れている。背景の塀には、傾いた日射しがモロに当たり、通常ではハレてしまうところを、しっかりと抑えているのは、さすが。
等倍画像(4000×3000)

Kodak DC4800の画像。青空部分は、日が傾くとそれほどコダック・ブルーは出ない。それにしても、これが14年前の骨董デジカメで写した画像だとは思えない。
等倍画像(2160×1440)

Kodak M532をEktachromeのフィルムモードで撮影。期待を裏切らないこってり感満載の画像に仕上がっている。
等倍画像(4288×3216)

 とまあ、こんな具合なのだが、いかがだろうか?最も、筆者のアタマの中には、「Kodakは特別」みたいな先入観があるので、Kodak贔屓のコメントになってしまったのは、御容赦願いたい。デジカメの画質にも好き嫌いは有る。バカ正直に良く写るモデルよりも、特徴のある絵作りをしているモデルの方が、個人的には好きなのである。Kodak M532のEktachromeのフィルムモードは、確かに現実とは異なる写りになっているが、その分非日常的な風景に仕上がるので、見ていて楽しい。

 そして、何よりもうれしかったのは、14年振りに屋外へ持ち出したKodak DC4800が、見事にコダック・ブルーを再現してくれたことである。このカメラとは、色々な所へ出かけた思い出がある。カメラ本体もキズだらけでボロボロだ。しかし、当時の製品は頑健だった。中身は日本のチノンがOEM提供したものだから、しっかりしている。14年くらいのブランクは屁でも無い。そして、Kodak開発者が作った画像処理のファームは、他社と一線を画す。フィルムメーカーがデジカメを作ると、こういった懐の深い製品ができるのだ。

 ともすれば性能本位の見方しかしない日本のデジカメ業界において、今必要なのは、多少常軌を逸脱しても特徴的な絵作りをするモデルなのだと思う。写真の良し悪しは画素数では決まらない。


Kodak DC4800の画像。ナンバープレートの照り返しのせいか、背景の青空の青さは「ほどほど」になっている。
等倍画像(2160×1440)

Kodak M532をEktachromeのフィルムモードで撮影。紛う事なきコダック・ブルーの青空だ。
等倍画像(4288×3216)




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