病棟での通信環境整備。ノートパソコンは適切なものが無かったので、iPad miniとApple Wireless英語キーボード、およびdocomoのXiモバイルWiFiルータのセットで構築する。鉄筋コンクリートの奥深くにある病棟でも、快適な通信環境を得ることができる。

■闘病日記 其の三 【大部屋】 (2013/11/09)

 入院に際して、私は大部屋を希望した。単に金が無かったのが主たる理由だが、大部屋の方が、さまざまな人間模様を観察することができるため、退屈しないで済むだろうと考えたからだ。

 この病院では、現在病棟の改装工事が行われている最中で、ベッド数のキャパシティーが結構パッツンパツンになっているようだった。そこへもってきて、今回の緊急入院と相成ったので、本来ならば外科の病棟があてがわれるハズなのだが、比較的空きが多い整形外科の病棟に突っ込まれた。そのようなワケで、同じ外科とはいえ、私は他の患者とは、ちょっと違っていたのである。

 部屋は定員8人で、入院時には私も含め6名の患者が入っていた。翌日には残り2名分のベッドのふさがり、これで目出度く満員御礼となる。整形外科以外の部外者は、私と、私よりも5歳くらい若いオッサンで、この方は急性肺炎で入院したとのことだった。

 さっそく、同室の患者を観察してみることにする。整形外科の入院患者は、見たところ2種類に分類できそうだ。一つは御多分に漏れず加齢に伴う足腰の不調で、65歳以上のご老人がほとんだ。この方たちは、リハビリに時間を要するので、比較的長期間滞在する場合が多い。

 もう一つは高校生から大学生程度の若者で、彼らはほぼ例外なく体育会系の部活をしている面々だ。ラグビーありアメフトありと、結構ヘビーに体を使っている、体格の良いヒトが多い。こちらは、老化では無く怪我での入院なので、だいたい2泊3日の温泉旅行コースのような感じで、入れ替わる。

私のような50台半ばのオヤジは、整形外科としては珍しい年齢層のようで、入院中は、余り見かけなかった。

 吾妻ひでおの「疾走日記」なんか読んでいると、大部屋の患者には随分と正規分布を逸脱した性格の方が多そうに思えたのだが、そこはまあ、アル中病棟では無いということもあり、意外とマトモな面々しか居なかったのが、残念と言えば残念なところだ。もう少しトンデモ無い出演者を予定していたんだけどなぁ。。。

 ・・・と、この時にはそう思っていた。実は、その後、手術のために再入院し、ちゃんとした外科の広い病棟に入院することになるのだが、そこはまさしくジャングルであったのだ!ジャングルですよ、ジャングル!!!今回、検査入院した病棟は、まだまだ甘かったのである!

 良く知られているように、病院での夕食はクソ早い。午後6時には配膳が終わる。患者の楽しみは、ほぼ食事だけなので、美味かろうが不味かろうが、皆関係なくガッツき、ものの10分程で下膳となる。大腸癌で入院した私は、これから各種の検査を控えている身であるため、当分は点滴のみの絶食処方。よって、隣近所から漂う味噌汁の匂いやタクワンを噛む音をBGMに、食事時間を過ごさなければならないという、上等の罰ゲームを味わうことになった。

 夜は夜で、ご老人が多い部屋だけのことはあり、イビキの大合唱となる。まるで田舎の畑で鳴くカエルだよ。消灯は9時。また夜中に腹が痛くなるのが不安だったので、鎮痛剤を処方してもらう。イビキの大合唱も、私が常用している強力眠剤と、処方された強力鎮痛剤の前には効果が無く、横になってものの10分もしないうちに、熟睡状態となった。実に3日振りの睡眠だった。

(つづく)





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