診療後、速攻で付けられた点滴「ラクテック注 500ml」。大塚製薬製造の電解質輸液(乳酸リンゲル液)だそうで、細胞外液(血液や組織間液)を補給または補正する働きがあると言うこと。何げなく点滴を付けたのだが、その後検査入院が終了するまで、点滴バッグと行動を共にするとは、神ならぬ身、知る由も無かったのだ・・・

■闘病日記 其の一 【青天の霹靂】 (2013/11/09)

 数日前から横腹が痛かった。大したこと無いと、タカくくっていたのだが、そのうち痛くて夜も眠れなくなってきた。いくら鈍感な私でも、さすがにこの腹痛は尋常じゃ無いと感じる。医者はキライだが、さりとてこれ以上我慢することもできなくなり、近所にある診療所へ出向いた。

 当初は盲腸だと思っていた。痛い部位は盲腸の位置とは異なるが、盲腸は全く関係の無いところから痛み出すって聞いたことがあるし。。。しかし、問診を受けたら、すぐに地域中核病院を紹介された。「今行け直ぐ行けすっ飛んで行け!」という医者の指示で、私は速攻でタクシーに飛び乗った。

 その日は土曜日で、午前中しか診療していないということもあり、地域中核病院は猛烈に混雑していた。初診受付で症状を説明し、何科の外来が良いか相談する。受付嬢は、内科か外科か、どちらにするかを結構長い時間悩んだ末、外科を指定した。

 それから待つこと4時間。「新幹線なら余裕で岡山まで行けるなぁ。」と思っていた頃に、漸く診療を受ける。触診している最中に、外科医先生が「うん、大体判りました!」とキッパリと言い放った。何がどう判ったのか、私は今一つ判らないまま、血液検査と造影剤入りCT検査を受けることになった。

 採血では、採血管に6本も採られた。これじゃ、

採血じゃなくて献血だよ。

 私は血の量が少なく、ただでさえ血の巡りが悪いのである。こんなに採られちゃモッタイナイ。。。

 因みに私は、本業で検体医療管理システムの開発と設計および知財創出を手掛けている。よって、病院での検体検査システムについては、並のヒトよりは詳しい。しかしなあ。。。よりによって、検体システムを構築している人間が検体になるとは、思ってもみなかったよ。まさに、

検体取りが検体になる。

って感じでしょうかね?

 ところで、CT検査の際に使う増影剤の量は、血液検査の結果から肝機能をチェックした上で決めるのだということを、今回初めて知った。


コンピュータ断層撮影装置(CT)は、比較的身近な検査装置であるが、その中身がどうなっているのかを知っているヒトは、案外少ないんジャマイカ?かく言う私もそうだった。あの滑らかな円筒形の筐体の中で、こんな装置がグルングルンと回転しているとは、正直思わなかったよ。最先端の医療機器って、中身を見ると、やってることが結構アヴァンギャルドなんだなぁ。。。
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CT検査中の造影剤の注入方法は、まるで映画「ターミネーター4・サルベーション」の冒頭に出てくる、薬物投与による処刑シーンそのもの。検査技師の操作により、CTの横に設置されたシリンジが自動的に押され、放射性物質が点滴ラインを通って体内に入ってくる。

 この病院で使用しているCTは、ジェネラル・エレクトロニクス社製の「Light Speed」という、これまた厨二病的なブランドネームで、結構笑える。造影剤の注入方法は、まるで映画「ターミネーター4・サルベーション」の冒頭に出てくる、薬物投与による処刑シーンそのものだった。造影剤の入ったシリンジをCTの横にある機械にセットすると、自動的にプッシュ・ロッドが造影剤を押し出す仕掛けになっているのである。まあ、良くできている小道具だ。頭の中に、思わずBGMが流れたね。

 デデン・デン・デデン・・・

 ベッドの上で横になっていると、検査技師が耳元で囁く。「造影剤注入に伴い、体が暖まってくる感じがしますが、それが正常ですので、気にしないように。」放射性物質を注入するからでしょうな。広島への原爆投下までをタイムラインで記載した傑作、「カウントダウン・ヒロシマ(スティーヴン・ウォーカー著:早川書房刊)」の冒頭(P54)の記述を思い出す。世界で初めて製造されたプルトニウム半球が、マンハッタンプロジェクトのトリニティ実験チームに届けられるシーンだ。手に持っプルトニウム半球は、「ほんのりと暖かかった」という。以下、多少長いが、同書よりの抜粋である。

 ・・・モリソンら九名の男たちが、テーブルを囲んで立ち、茶色の紙の上に置かれたプルトニウムの半球を見おろしていた。全員が外科医用の白衣を着ている。モリソンの同僚のひとり、ロバート・バーチャーが陸軍将官のほうを向き、数百万ドルはくだらない貴重なプルトニウムの受領書に署名するように頼んだ。トーマス・ファレル准将は、買ったものは手で確かめたいので、こいつを持ってもいいかと冗談混じりに言った。将軍はゴム手袋をはめ、半球のひとつを摘みあげた。表面は滑らかでずしりと重く、まるで生きているように妙な生暖かさを伝えた。・・・

 すっかり脱線であるが、CT検査はあっという間に終了し、再び外来で問診を待つ。もうお昼もとうに過ぎ、待合室には私のみ。寂しいもんだね。午後も2時になろうとする頃になって、ようやく今回の検査結果に基づく見立てが医者より説明される。

大腸癌であった・・・

(つづく)




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