学校給食で使用されていた、1クラス分の先割れスプーンの群れ。いったいどこからこんなモンが出てきたのか?という疑問はさておいて、まあ、懐かしいね。使い終わった後は、このように専用のハンガーに吊し、そのまま殺菌消毒していた。この先割れスプーンは、おそらく昭和40年代のもの。かなり年季が入っている。

■先割れスプーン(2013/09/15)

 筆者が小学生の頃は、学校給食のメニューに「ご飯」は無かった。パンのみだった。しかも、給食そのものの質が酷かった・・・食器はアルマイト製であるのは当然として、ハシは無く、スプーンは通称、「先割れスプーン」と呼ばれていたもので、これがまた使いにくかったのである。

 その外観が示す通り、先割れスプーンは汁物を食する時に大変不便だ。同様に麺類に対しても使い勝手が悪い。さらに、食器がアルマイト製である場合には、熱い料理を入れると、食器も熱くなるので、手で口許に持って行くことが難しい。その結果、食器を置きながら先割れスプーンでがっつく、いわゆる「犬食い」と呼ばれる食べ方が蔓延し、食事マナーが極端に低下する。最初からちゃんとしたスプーンとハシを使わせとけば良いのにね。是れ即ち、学校教育の弊害であった。

 今の給食がどうなっているのかは、筆者には判らない。ただ、聞くところによると、ちゃんとご飯が出ているようなので、おそらくはハシと普通のスプーンに変わったのだろう。まあ、色々と問題の多い先割れスプーンなのだが、筆者のような初老のジジイには、昔を思い出して、妙に懐かしかったりする。

 筆者にとって、小学校の給食といえば、全般的に不味かったという記憶しか無い。しかし、そんな中でも「揚げパン」と「ソフト麺」は結構うまくて人気があった。ミルクはいわゆる「脱脂粉乳」で、独特の嫌な匂いがしたものだ。因みにこの脱脂粉乳は、戦後の日本の食糧事情が劣悪であることを知ったアメリカの市民団体からの支援だと言われている。しかし実際は、アメリカで大量に余っていた脱脂粉乳を、支援にかこつけて処分した、との説もあり、なかなか面白い。

 脱脂粉乳は、その後一般的な牛乳に変わっていったが、当時はパッケージが正四面体をした「テトラポッド」形状をしていたのを記憶している。今は絶滅してしまったようだ。テトラポッド表面のシールを剥がして、そこにストローを突っ込んで飲んでいた記憶がある。

 筆者は、小学校低学年の頃、冬期の日照時間が少ない雪国で育ったが、ビタミンA、D不足を予防するために、「肝油ドロップ」の配給があった。銘柄は、確か河合の肝油ドロップと言ったな。毎日午前と午後に摂取させられていた。小学生の興味を引くよう、肝油ドロップの缶には、白亜紀やジュラ紀の恐竜の絵や、世界地図、日本地図などが描かれていた。

 懐かしいついでにもう一つ。給食とは関係無いけど、「ポキール」。これはもう、説明不要でしょう・・・



先割れスプーンコレクション。こんなモンコレクションするなよ!良く見ると、割れ方が異なっている。一番左のスプーンは、昭和40年代のもの。中央と右端は、比較的最近のものである。一般的に、先割れスプーンと言われて、まっさきに思い浮かべるのは、中央のタイプだろう。

先端部分のアップ。

柄の部分のデザインも異なる。中央のプレス加工されたタイプは、見るからに安っぽいので、きっと廉価版だろうと勝手に想像してみる。

昭和40年代の先割れスプーンの刻印。SUS430という型番と、Nakanishiのメーカーロゴが入る。

柄の部分にプレス加工が入った安っぽい先割れスプーンの刻印。こちらはただ単にステンレススチールとしか表記されていない。

比較的最近のモノと思われる先割れスプーンの刻印。お!型番にSUS430とある。昭和40年代のものと同じだ。しかも、漢字で松という表記もあるぞ。

 給食グッズ紹介ついでに、もう一つ。脱脂粉乳を入れていたミルクのポット。何でこんなモノまであるんだよ!でもね、良い形してるよ、コレ。これもおそらく昭和40年頃のものかな?マジックで「二ねん」って書いてあるのが泣ける。このポットに脱脂粉乳を満タンにして、給食当番が各自のアルマイト製食器に注いで回ったのだったよな。

 話しは飛ぶが、筆者は、マイケル・ラドフォード監督、ジョン・ハート主演のイギリス映画「1984」が大好きだ。特に、食堂のシーンは、在りし日の給食を思す。この作品は、マイ・フェイバリットなのであるが、なぜか日本ではDVD化されていない。版権の問題だと思われるのだが、真相は不明だ。因みに、この1984が公開されたのは、1984年。上映は、たしか渋谷のミニシアター単館で、予想を遙かに超える客の入りだった。



先割れスプーンのついでに、その他の給食グッズもご紹介。これは脱脂粉乳を入れていたミルクポット。左に置いた単三乾電池と比較してもお判りのように、かなり大きい。長年の使用により、デコボコになっている所が、また良い。

ミルクポットの蓋は、複雑なプレス形状をしている。ゴツいように見えるが、持ってみると意外と軽いのに驚く。

消えかけているものの、まだマジックで書いた「二ねん」の文字や読める。何組だったのかの記載は無い。

注ぎ口の部分に可動式の蓋が付いているハズであるが、このポットでは外れてしまったらしい。


ポットの取っ手部分に刻印されたメーカーロゴ。Asahiと読める。

加熱された後と思われる焦げ目が付いた底部。ダルマストーブの上で暖められていたのだろうかな?筆者が小学校の頃は、暖房といえばダルマストーブで、毎朝点火係がコークスを補充して火入れしていた。寒い朝にコークス置き場から、その日の分のコークスを運んでくるのが、結構しんどかった記憶がある。

これは、WEB上から拾ってきた「ポキール」の取扱説明書。
( ゚∀゚)<アハハハハハ八八ノヽノヽ

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