HDDの不良で動作しなくなった初代iPod。Sad iPodマークが表示されている。 |
■初代iPod 其の三【分解!】(2013/06/21) さて、それではさっそく初代iPodを分解してみよう! 、、、って、何て唐突な・・・ 筆者とてエンジニアの端くれであり、元デバイス屋でもあったから、こういうガジェットを見ると、無性にバラしたくなる。特に初代iPodは、いかにもバラしてくれと言わんばかりの形だ。しかし、動作品を分解するほど、筆者はアホでは無い。というわけで、Sad iPodが表示されウンともスンとも言わなくなってしまった不動品を俎板の上に載せることにした。 分解方法はカンタンである。背面金属カバーと全面プラスチックとの隙間にマイナスの精密ドライバーを入れ、そっとこじ開ければ良い。本体と背面カバーとは、12箇所のツメで固定されているだけである。この時、ドライバーを捩るように開けると、プラスチック本体にキズが付いてしまうので、注意しよう。 ツメによる嵌合が外れると、背面カバーがカパッと外れ、板チョコのようなバッテリーが露出する。横から見ると、上部よりバッテリー、1.8インチのHDD、基板の順番でサンドイッチ構造になっており、判りやすい。バッテリーはHDDの表面とゴム状の粘着テープで固定されているので、先ずはこれを剥がす。なお、バッテリーにはSONY FUKUSHIMA製のリチウム・ポリマー・バッテリー、UP325385が使用されている。3.7v出力で、容量は1,230mAh。こことかで、まだ販売されていたりする。 バッテリーを外すとHDD本体が露出する。HDDは特に固定されていないので、I/F部分のフレキケーブルをヒンジとして、そっと持ちあげてあげるだけで、基板を拝むことができる。HDDは東芝製の1.8インチATAタイプ、MK5002MAL(5GB)が使用されている。 基板上には、いくつかのキーデバイスが実装されているが、以下にそれを示す。
・メインプロセッサ(SOC)
・IEEE-1394 Fire Wireチップ
・ヘッドフォンドライバ付きのDACチップ Apple社製品ということで、メインプロセッサは「A1」かな?とか思ってしまうのだが、残念ながらそうでは無い。PortalPlayer社製 PP5002BというSOCは、ARM7TDMIプロセッサ(32 bit デュアルコア構成)をベースにした製品だ。コアの動作速度は90MHzで、プログラマブルなクロック周波数が可能となっており、最低32kHzから動作する。このSOCチップ一つで、E-IDE I/F、USB 1.1、LCD、RS-232C×2系統、SPDIF I/Fおよび周辺コントローラを内蔵し、MP3、WMA、AAC、ACELP.NETフォーマットのデータをリアルタイムにデコードする。 このメインプロセッサを製造していたPortalPlayer社であるが、2006年11月6日に、NVIDIA社に買収されてしまったため、今はもう無い。 基板上で一際目を引くのが、TI社製のFire Wire PHYであろう。メインプロセッサにはUSB 1.1が既に内蔵されているハズだから、普通にUSBを搭載しておけば良いのだが、当時のAppleはFire Wireに拘っていたんだねぇ・・・ というわけで、以上で分解はお終い。なお、分解した初代iPodは、どうやらHDDの不良みたいなので、取り換えれば生き返るということも有りうる。但し、今となっては、当時モノの5GBのHDDなど入手不可能なので、ダメモトで、もう少し高容量のモノに換装してみるつもりだ。 なお、お約束であるが、分解するんだったら自己責任でね。アタリマエだけど、一応書いとかなくっちゃ・・・
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初代iPodの裏蓋の開け方。このように、マイナスドライバー等を隙間に入れて、少しずつこじ開ける。金属製のドライバーだと、本体にキズが付くため、ホントウならば柔らかい素材で出来たドライバーの方が良い。ツメは12箇所有るが、意外と外し易い。 |
裏蓋を外したところ。バッテリーが露出する。 |
内部構造を横から見たところ。一番上にシート状のバッテリー、中間層に1.8インチのHDD(厚さ5mm)、その下に基板と、3層サンドイッチ構造になっている。 |
バッテリーを取り外す。バッテリーはHDDの表面に2枚のゴムシートを介してマウントされている。ゴムシートは緩衝用であると共に、HDDの発熱を逃がす空間を確保していると思われる。 |
バラしている最中。液晶にはバッテリー切れ警告が出ている。よゐこは、ちゃんとバッテリー外してバラさないとイケナイよ! |
SONY FUKUSHIMA製リチウム・ポリマー・バッテリー、UP325385。板チョコを想起させる。思うに撮影時、よほど腹が減っていたのであろう。 |
アジの開き状態。 |
HDDは東芝製の1.8インチATAタイプ、>MK5002MAL(5GB)。ATA接続の製品である。 |
メイン基板。バーコードが貼付されているデバイスの下には、SDRAMがある。SUMSUNG社製K4S561632Cという石で、4M x 16bit x 4 Banks の 256Mbit SDRAMだ。その隣りには、TI社製19C93FKという石が搭載されている。この石については、詳細不明。 →拡大 |
HDDとの接続部分。フジクラのフレキケーブルが使われていた。 →拡大 |
I/Fサイドの部分。左側奧にはDAC、右側には大きなFire Wire PHYチップが搭載される。 →拡大 |
基板上にシルク印刷された、Appleのコピライト表示。 →拡大 |
メインプロセッサのPortalPlayer社製 PP5002B。ARM7TDMIコアをデュアルで搭載し、各種I/Fを内蔵した、SOCである。因みに同社はNVIDIA社に買収され、今はもう無い。 →拡大 |
TI社製 TSB43AA82、1394 PHY and Link-Layer コントローラチップ。なぜUSBにしなかったのだろうか?こんな巨大な石を入れなくてはならないなんて、場所が勿体ないよ。 →拡大 |
Wolfson社製 WM8271 DAC。ヘッドフォンドライバも内蔵された石である。 →拡大 |
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