復刻版「コンサイス東京都35区区分地図帖」外ケース
1985年に日地出版株式会社より復刻された、昭和21年発行の「コンサイス東京都35区区分地図帖」外ケース表紙。
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■東京都35区区分地図帖(2011/11/04)

 筆者は軽度の地図マニアだ。地図を眺めているだけで気分が休まる。ドライブもカーナビよりは地図帳持参の方が、何となく安心だ。仕事でもプライベートでも、どこかに外出した時は、必ずといっていいほど後で地図を見て、その日の足どりを確かめる。歴史モノの地図も好きで、江戸時代や明治時代の路地がまだ残っているところを確かめたりしている。

 さて、今回取り上げた地図帖は、極めて資料的価値の高いものだ。正直、このような貴重な資料が復刻されていたとは、知らなかった・・・真の地図マニアだったら当然知っているであろう。だから筆者は「軽度」の地図マニアなのである。

 この地図は、東京大空襲で壊滅的な打撃を受けた東京都心の焼失状況を、終戦翌年の昭和21年9月という極めて早い段階で地図帖にして出版したものだ。ただでさえ混乱を極めた時期に、戦災焼失区域を詳細に調査して地図に残した労苦は、想像を絶するものがある。地図帖では、戦災焼失区域を赤で、強制疎開区域を緑で表示している。復刻時に際して原本と異なる点は、見やすさを重視し、地図を1.41倍に拡大印刷しているところだ。縮尺は、1/20,000と1/18,000となっている。

 本書には、東京大空襲の様子を6ページにまとめた前書きが付いているが、これがまた名文だ。ここに述べられているように、壊滅的打撃を受けた本所区、深川区、城東区、浅草区の地図は、まさに真っ赤に染まっている。オソロシイ。

 「過去の教訓を学ばぬものは、かならず、同じあやまちを繰り返すだろう」

復刻版「コンサイス東京都35区区分地図帖」外ケース
1985年に日地出版株式会社より復刻された、昭和21年発行の「コンサイス東京都35区区分地図帖」外ケース裏表紙。
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復刻版「コンサイス東京都35区区分地図帖」当時の表紙
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復刻版「コンサイス東京都35区区分地図帖」当時の裏表紙
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麹町区、神田区
半蔵門にあるイギリス大使館だけが、見事に焼け残っているのが判る。
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淀橋区
新宿駅周辺も徹底的に空襲を受けている。
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杉並区
都心からここまで離れると、さすがに赤の戦災焼失区域は少ない。
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