MOONSE MS-E7001のパッケージ内容。MOONSEはシンセンに生産拠点を置くPCメーカーで、今回取り上げたようなスレートPCの他に、ノートPC、デスクトップPC等を手がけている。Android系スレートPC、いわゆる「謎ロイド」は、現状では今回ご紹介するMS-E7001一機種のみがリリースされているようである。
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■謎ロイド#4 MOONSE MS-7001(2010/07/12)

 これまではVIAのCPUを搭載したEKEN社の系列商品を取り上げてきたが、今回ご紹介するのはCPUにRock Chip RK2808(ARM 9:600MHz+DSP)を搭載したAndroid 1.5スレートPCである。メーカーはシンセンに製造拠点を置く「MOONSE」という会社で、PC全般の製造・販売を行っているところだ。このMS-E7001は、MOONSEのHPでは1,280元(7/11換算レートで約16,377円)で販売しているが、これはあくまでカタログ価格であり、実際はもっと安い。この端末は2010年7月3日付け「AKIBA PC Hotline」で取り上げられているが、販売価格は15,800円となっていた。

 純粋にデザイン的に評価した場合、MS-E7001はかなり良い線を行っている。評価したブツはブラックモデルであったが、マット仕様でないため指紋べたべた付きまくりになるのを別にすれば、なかなかシックで良い。クールである。細部の作り込みも相応に行われており、MS003とは比較にならない。惜しむらくはAndroid OSのバージョンが1.5と少し古い点であろう。もちろんアップデートは可能であるが、シロウトには敷居が高い。Android 1.5には固有のクセがある。それも含めて今回レポートしてみよう。例によってこの謎ロイドのスペックは下記の通りと想定される。

項 目
内 容
OS Android Ver. 1.5
カーネルバージョン Ver. 2.6.25
Rockchip バージョン Ver. 1.2.7
CPU Rockchip RK2808(600MHz)
システムメモリ 128MB DDR2
内蔵メモリ 1GB Nand Flash
液晶サイズ 7インチ TFT タッチパネル
解像度 800 dot × 480 dot
カメラ フロントパネルに搭載(130万画素)
有線LAN 無し
無線LAN WiFi 802.11b/g対応
バッテリー 充電式:使用時間 2〜3時間程度
本体サイズ 約 192 x 118 x 13 mm
重量 332g
付属品 本体・ACアダプタ・イヤホン
ミニUSB変換ケーブル・ミニUSB変換コネクタケーブル
メモリカードI/F micro SDカード×1(2GB〜32GB)
ボタン・スイッチ Power、Menu、Home
マイク 内蔵
スピーカー 内蔵(ステレオ:出力端子付き)
バイブモード 無し
USBコネクタ ミニUSBコネクタ×2基内蔵
ACアダプタ仕様 IN:AC100 〜 240V、OUT:DC9V、1,500mA


既出「7" MID(iRobot)」の箱との比較。厚さが少しだけ異なる。表面の画像はAndroidのバージョンが異なるため、かなり表示が違う。MS-E7001には、Androidのマスコットキャラクターが箱側面に印刷されている。
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箱の上面写真の比較。左が「7" MID(iRobot)」で、右が「MOONSE MS-E7001」。OSバージョンの違いがはっきり判る。
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MOONSE MS-7001本体。驚くほどスリムなのは、周囲が薄くなったデザインに依るところが大きい。
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背面。銘板シール等一切無い。これぞホントウの「謎ロイド」だ。黒一色で写真撮影しても面白味に欠けるね。。。
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M003本体下部に並んだ各種スロット。左側からACアダプタコネクタ、ヘッドフォン出力、ミニUSb端子#1、電源スイッチ、ミニUSb端子#2、マイクロSDカード、マイクの順になっている。
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本体裏面。各インターフェス端子には、ちゃんとマークが印刷されているので、迷わなくて済む。もっともこれが一般的なんだけどぉ。。。中央の電源スイッチが目を引く。
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本機で唯一違和感があるのが、この電源スイッチ。スライドスイッチを採用している。ちょっと垢抜けないな。全体がせっかくここまでまとまっているのに、この一点だけで随分と損をしている。なんか、開発者にこだわりみたいなものがあったんでショ、きっと。。。
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本体にマイクロSDカードを挿入する。この辺は他の「謎ロイド」端末と同じだ。
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これも本機特有の点。ACアダプタコネクタに、非常に細いタイプを使用しているため、本体には写真のような「変換コード」が付いてくる。極細のコネクタを有したACアダプタを用意するより、一般的なサイズのコネクタを持つACアダプタを流用し、コードで変換した方が安上がりだったのだろう。おかげで、「豚の尻尾」のようなものを装着するハメになってしまう。
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 MOONSE MS-7001は、この手のスレートPCの初期の製品と思われる。スライド式の電源スイッチ等、若干時代錯誤的な物も付いており、それはそれで香ばしい。この電源スイッチであるが、本体を完全にシャットダウンする際に使用する。ハイバネーションモード時に電源スイッチをOFFにすると、故障の原因になる場合があると注意されている。起動の手順は、まず電源スイッチをONの側にスライドし、ホームボタンを長押しすれば良い。画面左上にLinuxのペンギンマークが表示され、カーネルのロードが開始される。起動画面はVer 1.6と全く異なっている。「ANDOID」という文字が出てくるが、Ver1.6のような凝ったものでは無く、ショボい。。。

 OSが立ち上がったら、本体上部のロック解除ボタンを押すとメインウインドウが開く。目に付くのが、大きなGoogle検索入力ボックスだ。ファームが他社製品とかなり異なっているのが判る。日本語入力であるが、Ver 1.6のAndroidではsimeji 3.9.9.9を用いることが出来たが、Ver 1.5では使えない。この場合、simeji Classicを導入することになる。simeji Classicは、ここら辺からダウンロード可能だ。

 本機には「YouTube」アイコンは無い。WEBブラウザでYouTubeにアクセスしても、閲覧は出来なかった。ファームのアップデートで対応可能かどうかは、やっていないので不明である。その他は、既出の「謎ロイド」端末とほぼ同等の使い勝手だ。使用しているCPUがVIAでは無いし、動作クロックも600MHzと、既出謎ロイドの533MHzよりも若干速いが、目に見えた高速化は体感できていないように思われる。

 さて、いつものように画面のキャプチャを行おうと思ったが、キャプチャソフトが内蔵されていない。どうしたものかとWEBを調査していると、ここらあたりに情報が転がっていたので参考にする。

MS-E7001のメイン画面。大きなGoogle検索窓が特徴的。Androidのバージョンは1.5とやや古い。
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MS-E7001のコントロールパネル画面。Ver 1.6以降にはYouTubeアイコンも搭載されているが、Ver 1.5では無い。WEB IME simeji Classicがインストールされている。
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MS-E7001搭載のブラウザでHPをアクセスしたところ。フラッシュは使えない。
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Android Ver 1.5用のIME、simeji Classicの使用解説画面。
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ES File Explorerで、本体内部のファイルシステムを表示させたところ。内部ファイルシステムが見えるというのは、安心感があって良い。
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Google Mapも問題無く表示できる。
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設定画面一覧を縦表示で。
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Android Marketのトップ画面にアクセスしたところ。
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 さて、画面キャプチであるが、キャプチャソフトをインストールする方法とAndroid SDKを使用する方法の二通りがある。ここでは後者にトライしてみよう。先ず、ここらあたりからAndroid SDKをダウンロードしてPCにインストールする。

Download the Android SDK

 実際には、このSDKの中に含まれる「DDMS(ddms.bat)」というバッチファイルを起動させ、画面キャプチャを実行するのだが、そのためにはPC本体にJDK(Java Development Kit)もしくはJRE(Java Runtime Environment)がインストールされている必要がある。dddms.batのみを使用するのであれば、JREだけで良いが、開発を行うにはJDKをインストールしておこう。JREはここからダウンロードできる。

 因みにAndroid開発環境はDalvik仮想マシン上で動作する。詳細はここら辺を読めば良いが、厳密に言うとJava仮想マシンとは少し異なるアーキテクチャーだ。

 最後に、ちょっとやっかいなドライバを導入しなくてはならない。Android端末をUSB接続するためのドライバだ。まずAndroid SDKを起動させて、SDKに含まれる標準のドライバ(Android Composite ADB Interface Driver)を導入しておく。Android端末は、謎ロイドの他にも携帯電話各社が使用しており、厳密に言うとそれぞれのメーカー用のドライバが必要になる。ドライバの入手方法についてはここら辺りが詳しい。なお、自分で「inf」ファイルを書き換える場合には、下記のような手順になる。

・C:\android-sdk-windows\usb_driverフォルダを開く。(ここではCドライブにSDKをインストールした場合を示している。)

・テキストエディタで「android_winusb.inf」を開く。

・infファイルの以下のセクションに、以下の文字列を追記する。

 [Google.NTx86]セクションの最後に追記
 ; HTC Desire
 %SingleAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_0BB4&PID_0C87
 %CompositeAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_0BB4&PID_0C87&MI_01

 [Google.NTamd64]セクションの最後に追記
 ; HTC Desire
 %SingleAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_0BB4&PID_0C87
 %CompositeAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_0BB4&PID_0C87&MI_01

 なお、上記では「HTC Desire(X06HT)」用のinfファイル構成を設定したが、もしかしたらこのような設定は不要かもしれない。とりあえず筆者のPCでは、上記infファイルで問題無く動作しているから、まあおまじない程度と考えておけば良い。だいたい、本体自身が「謎ロイド」なんだから、どのメーカーのドライバに相当するとか、意味無いし・・・

 ここまでできたら、後はAndroid端末をデバッグモードに設定して、USBでPCと接続するだけである。デバッグモードに入るには、謎ロイド端末で「メニュー→設定→アプリケーション→開発→USBデバッグ」の順で開いて行けばよい。接続されると、謎ロイドはPCのデバイスマネージャ上からは「Android Phone」として認識されるハズだ。念のためドライバのプロパティでUSBドライバを再導入しておこう。ここでtipsを一つ。最初に接続した際、Android SDKが謎ロイドを認識しない可能性が高い。この場合には諦めずに素直にPCを再起動させてみよう。あっさりと認識されるハズだ。

Android SDKを導入して謎ロイドを接続したところ。謎ロイドは「Android Phone(Android Composite ADB Interface)」として認識される。
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Android Composite ADB Interfaceプロパティの全般タブ。

Android Composite ADB Interfaceのドライバタブ。

Android Composite ADB Interfaceのドライバファイルの詳細。

Android SDKである「Dalvik Debug Monitor」のメイン画面。ddms.batをダブルクリックし、DDMSを起動させた後、Device→Screen captureでスクリーンショットが撮れる。これで完成!
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 ※おまけ

 謎ロイドに限らず、Android系端末を操作していると、root権限、いわゆるスーパーユーザ、UBUNTUとかで言うところの「須藤さん(suもしくはsudo)」になる必要性が生じる場合も、ままある。こうした謎ロイド端末には「su」コマンドが無いので、言うのはカンタンだが、実際にroot権限を得るのはちょっと悩んでしまう。そんな時には、ここにあるフリーソフトが役に立つ。

 ダウンロードしたパッケージを謎ロイド上で実行すると、インストールが完了する。後は、生成された「す設定」のアイコンを実行させるだけだ。無事インストールが完了すると、suとbusyboxが本体に生成される。

「す設定」アイコンをクリックしたところ。「す設定を実行しますよ〜」という、味も素っ気もない画面が出る。
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「す設定」アイコンをクリックしたところ。「す設定を実行しますよ〜」という、味も素っ気もない画面が出る。
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「す設定」により、ちゃんとsuコマンドがインストールされたかどうかを確認してみよう。/system/xbin/配下にsuコマンドが生成されているのが判る。
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