「たまたま」(ダイヤモンド社刊:2009年9月初版) |
■たまたま (2010/05/03) 五月連休中は天気も良く絶好の行楽日和が続いたが、人混み嫌いの筆者は、引きこもって読書三昧の日々を過ごした。そう言えば、このコーナーで最近書評を書いてなかったな・・・まあいいや、そのうちまとめてレビューでもしよう。 本書は随分前の新聞の書評欄に掲載され、注目していた。当時、「たまたま」近くの書店に平積みで置いてあるのを見つけ、立ち読みで内容を確認すると面白そうだったので、今度買おうかなと思い、そのままになっていた。先日「たまたま」アマゾンで連休中に読む書籍を物色していたところ、本書のことを思い出し検索をかけた。そしたら「たまたま」マーケットプレイスにリーズナブルな価格の古本が出ていたのでさっそく購入してみた。読んでみたら、面白かった! 実は本書、平積みしてあった時に、表紙カバーの文言でちょっと引いてしまい、買うのを控えていたのだ。曰く「ホーキング博士絶賛!!」、「全米大ベストセラー!」云々。。。なんだかハリウッド映画の広告みたいではないか?またマスメディアに踊らされるのはイヤだなぁと、内心思っていたのだが、立ち読みしてみると内容は至ってマジメでクールである。表紙の文句は扇情的だが、これは読んでおいても損は無いと思い、「とりあえず購入リスト」に入れておいた。 本書の副題は「日常に潜む「偶然」を科学する」となっている。筆者のレナード・ムロディナウはカルテックの物理学者で、専門は「ランダムネス」とのこと。内容は確率・統計に関することである。この分野は、理系の人間でもそのややこしさ、難しさに引くことが多いのだが、本書はタイヘン簡単丁寧に説明しており判りやすい。しかし、やはりややこしいことには変わり無い。書中にも記載されているように、「われわれの脳は確率問題をやるようには、あまりうまく配線されていない」ことが良くわかる。 本書では実例を多数掲載して、確率と統計について解説している。また確率論の歴史的背景についても触れているので、この本を読めば確率・統計の分野で一通りの知識を得ることができる。パスカルの三角形、ベンフォードの法則、モンティ・ホール問題、大数と小数の法則等、他の書籍でも読んだことがある内容が、例を交えて簡潔に書かれている。個人的には、ベイズ理論についての解説が、たいへん良く書かれていると思った。なお、著者のムロディナウの出生の経緯が、まさにこの「たまたま」の見本みたいで興味深い。まるで映画にでも出てきそうなお話しである。 今日という日を刹那的に生きているアナタへ、最適の一冊!と言えよう。
ヽ(´ー`)ノ |
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