X Window(twm)上で「qemu Ver 0.11.1_2」を動作させ、その上でWindows98をエミュレーションする。


■メタ・エミュレータ(続) (2010/04/24)

 このコーナーのPC系ネタの目標の一つに、「おバカなことに大まじめに取り組むこと」がある。「退廃的互換機シリーズ」などが、それに相当する。因みに、「退廃的互換機シリーズ」の中でも、其之十八【カメレオン】其之二十一【DDD】の回は、特にみなさまに好評だったようで、「2009年にカメレオン入れて喜んでる奇人がいる!」とか、「2009年にDDDでWIN3.0を高解像度化するとか、どんだけバカか?」とか、そりゃまあ絶賛の嵐であった!筆者としてはタイヘン喜ばしい限りである。

 ところで、「おバカなコト」を考え出すというのは、意外に難しい。そこそこアホなことだったらいつもやっているのだが、「正真正銘のおバカなコト」というのは、いざ考案しようとすると悩むものだ。今回の「メタ・エミュレータ」シリーズも、当初は相当おバカなことだと思っていたが、今改めて考えると、そうでも無いような気がしてきているから怖い。。。

 それはともかく、今回は続編として「IBM PC/AT互換機上でWindows XP SP3をOSとして使用し、その上でVMwareを動作させてFreeBSD Ver7.3の仮想マシンを作り、その中で「qemu」を起動させてIBM PC/AT互換機のエミュレーションを行う」ということをやってみた。これはツッコミ所が多そうな企画だ!

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 まず、動作している物理的なPC(マシン)がIBM PC/AT互換機そのものであるということ。要するに、そこでDOSなりWindowsなりを直接動かせれば良いじゃん!ということでオシマイである。それをわざわざ二段重ねでエミュレータを起動させて実現するのだから、これほどおバカなことは無い。

 次に、そもそもWindows XP上で動作させているVMwareは仮想マシン構築アプリであるからして、そこでもまたWindowsなりDOSなりをエミュレーションさせても済んでしまう。しかし敢えてそれをやらず、わざわざFreeBSDの仮想マシンを構築し、その中でIBM PC/AT互換機エミュレータを動作させる、というのだから、これもそうとう「おバカなこと」だと自分では思うんだけどねぇ。。。

 さてその「qemu」であるが、ホストOSもゲストOSも多数なので、一般のUNIX使いにはかなり使われているようだ。今回インストールしたものは、現時点での最新版であるVer 0.11.1_2であるが、頻繁にバージョンアップしているので、気を付けたい。インストールは簡単で、パッケージをダウンロードするだけである。ついでに、アクセラレータである「kqemu」も入れておこう。

qemuのインストールには、コマンドプロンプトから「sysnstall」と打ち込み、適当なFTPサイトを指定してパッケージをダウンロードすれば良い。パッケージリスト中にエミュレータの項目があるので、そこを選択する。

エミュレータのセクションには色々とパッケージが掲載されているが、ここで「qemu-0.11.1_2」を選ぶ。ハイフン以下はバージョン番号なので、随時変化する。なお、最初にqemuをインストールする際は、これ以外のqemuパッケージは選択しない方が無難である。(パッケージインストール終了時にエラーが出ることがあるため。)

同じセクションに、アクセラレータである「kqemu」もあるので、ついでにダウンしておこう。qemuを実行する前にこのコマンドを打ち込んでおくと、若干ではあるが処理が高速化される。

 「qemu」とそのアクセラレータである「kqemu」は、共にパッケージのエミュレータセクションからダウンロード&インストールすることができる。qemuは、他のアプリケーションと異なり、UI部分はフレンドリーでは無い。基本的にコマンドラインでオプション付けまくって起動させる仕様になっている。新規HDDの作成も、「qemu-img」コマンドを用いて行う。ここでは、既にFreeBSDが動いている実機(エミュレーションでは無く、ホンモノのHDDにインストールしたもの)で作成したゲストOSのディスクイメージファイルを、メタ・エミュレータ内にコピーして実行させている。

 アクセラレータも含めたqemu実行時のコマンド例は、下記の通り。

 kldload kqemu ↓
 qemu -m 256 -cdrom /dev/acd0 -fda /dev/fd0 -boot c Windows98 ↓

 上記例では、先ずアクセラレータである「kqemu」を常駐させ、「Windows98」というゲストOSのイメージファイルを、メモリを256MBに設定し、CD-ROMとFDDを搭載した仮想マシンで起動させている。なお、kldloadのコマンドは、一回入力してしまえば、後はFreeBSDを終了するまで有効となっている。今回は、とりあえずPC-DOS Ver6.1とWindows98、それにWindows95 OSR2の3つを導入してみた。結果は、Windows95 OSR2のみ、起動ができなかった。因みに、これら3つは、実機マシンではどれも問題無くqemuで動作していたものだ。qemuのバージョンが古かった頃は、メタ・エミュレーション状態ではWindowsのマウスカーソルが動作しない、という欠点があったが、今回のバージョンでは解消されている。以下に、各ゲストOSの動作状況を掲載しておく。

xterm上でqemu起動の呪文を打ち込み、Windows98の仮想マシンを起動させているところ。ご覧の通り、メタ・エミュレータ状態になっている。
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Windows98の画面。VMwareが動作している環境が、1024x768であるため、Windows98の画面サイズを800x600に設定して起動させた。色は24ビットカラーである。
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Windows98は問題無く起動/終了することができる。
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次は、Windows95 OSR2。一応起動画面は出るのだが・・・
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あぼ〜ん・・・ここでハングする。OSが古すぎるのか、メタ・エミュレータ状態では動作しない。因みに、実機すなわちメタ状態ではないただのエミュレータ上では、問題無く動作していた。
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qemu起動時の呪文。これは、Windows98の仮想HDDイメージを、FDDとCD-ROMドライブ付きで、メモリ256MBのマシンで動作させようとしている場合である。このようにqemuでは親切丁寧なUIなんてものは無く、全てオプションを引数にして起動させる「漢(おとこ)」のエミュレータなのである!

PC-DOS J6.10/Vを起動させるためにqemuを動作させたところ。VGAチップは、確かシーラスロジックのCLGD 5446か何かを想定して構成されている。qemuはエミュレーションBIOSを内蔵しているので、別途BIOSイメージを用意する必要は無い。ハードディスクとしてATA接続の500MBが認識されている。

PC-DOS J6.10/Vの起動画面。一応DOSでも大丈夫。

定番のベンチマークテスト「3DBENCH」を動作させてみたところ、11.1との結果が出た。実際動いているところを見るとチョー速いので、実測値では無かろう。111.1ということであろうか?でも確か、このソフトは100を越えると00.0という表示になってしまったように記憶しているのだが・・・まあ、メタ状態なのでワケのワカランことになっているのでしょう。

DOS上での各種ベンチマークテストの結果。PC-9801DA2の33.5倍、初代PC-9801の246倍と出た。PFM486は、動作状況が余りにもワヤクチャなのでオーバーフロー。。。

DOSのファイラーの定番、FDも動作する。

こちらも定番のテキストエディタ、Vz。全く問題無く動作する。

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