80286ベースのマザーボードは比較的多く保存している。IBM純正のPC/ATマザーボードでも良いのだが、このシリーズでは「互換機」と銘打っているため、怪しいサードパーティー製を用いるのが筋であろう。このボードは80286-12MHzを搭載した「DATATECH ENTERPRISES社製PTM-1235V Zero286」という製品。台湾製で1989年末に製造されたものだ。VLSI製のPLCCの多いことといったら・・・
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■退廃的互換機趣味(其之三十) (2010/01/07)
 【286の時代】

 まだやるのかよ!このシリーズ!!!書いてる本人もいい加減呆れるばかりである。もう前回から日も経っているので、何やってたのか筆者もワカラネエよ。で。お約束の「前回までのあらすじ」から入る。

 本シリーズは、Windows95発売前後のマザーボードに、当時一般的な80486-33MHz CPUを搭載して色々と退廃的なことをやって遊んでおったのだが、ネタも使い果たしたので、80386の時代に逆行する予定であったところ、386のマザーボードが軒並み破壊していて使えないので、この際一挙に286の時代に入っちゃえ、というのがあらすじである。

 80286時代のマザーボードは比較的多く保存している。というのも、過去において筆者は、秋葉原でIBM PC/AT互換機の原点となった「IBM PC/AT(Model No. 5170)」を捨て値同然の値段で多数買い込んでおいたからだ。だからIBM純正PC/ATマザーは異様に多い。また、倉庫にも得体の知れない286ボードがゴマンところがっている。但し、メモリが搭載されていないヤツも多く、そのまま即使えるものは少ない。この際、元祖PC/ATのBaby-Sizeマザーボードをチョイスしても良かったのだが、まあこのシリーズは「退廃的互換機」であるがため、やや怪しいボードを選んでみた。

 とはいっても、本ボードは台湾「DATATECH ENTERPRISES」社製なので、怪しいというほどのものでは無い。当時としては結構名の知れたメーカーの製品である。搭載メモリは640KB。ISAバス6本+XTバス2本の構成は極めて一般的であるが、XTバスの直ぐ右横にBIOSのEPROMが搭載されている。勘の良いヒトであれば、あるいは昔から互換機をいじくっている方なら、もうお判りだとは思うが、これではIBM PC/AT純正の8ビットフルサイズのCGAカードがひっかかって入らない。こーゆー細かい所が、IBM純正ボードと異なっている。因みにPC/AT純正ボードでは、8ビットバスの横は、ISAの拡張コネクタの配線パタンのみとなっており、スロット部品はが搭載されていない状態なので、前記CGAカードの挿入時にも全く問題は無い。

 さてこのボードであるが、一応BIOSまで起動させてみた。この頃、すなわち1990年以前の286ボードのBIOSは、各ボードメーカーオリジナル製のものが搭載されているのがデフォで、本ボードにも1988年製造の「DATATECH ENTERPRISES」社製のものが搭載されているのだが、その設定画面の素っ気なさといったらない。後のAMI、AWARD、Phoenix等の専門メーカー製BIOS画面を見慣れた目には、BIOS起動時に一瞬何が起こったのか?と目をこすってしまうくらいのギャップがあり、そこが楽しい。即ち、ロクな機能を搭載しておらず、極めて無愛想なBIOSなのである。あり得ないくらいストイックなんだよねぇ。

 当然、その後のBIOSでは搭載が常識となった「IDE HDDのパラメータ自動取得機能」なんてのも無いので、IDE HDDを接続する際には、ヘッドの数やシリンダ、セクタの数を正確に入力しなくてはならない。それ以前に「IDE HDDのパラメータ設定」というようなことを書いて、一体何人の方が理解できるのだろうか?これに苦しんだお方は現在、立派なオヤジがオジイサンに違いない。若い世代にゃ無縁のハナシだ。。。

 そもそも当時、BIOSには、例えばAWARD製品だったら0番〜45番までの「プリセットされた」IDE-HDDのパラメータがデフォルトで入っており、それに合うディスクであれば、BIOS画面のHDD設定項目で、番号を指定するだけで使用できた(デフォルトで内蔵されているパラメータ数は、各メーカーにより微妙に異なるが、大体40〜50種類程度が一般的であった)。しかし、世の中にたかだが四十数種類のIDE HDDしか無いハズなぞ無い!で、一般的に最後の方の番号は、ユーザが自由にパラメータを入力して、任意のHDDを搭載することができるようになっていたというワケである。よって、ジャンクのHDDを購入する際には、HDDのパラメータが本体にちゃんと記載されているか、もしくは別途調査可能かどうかに留意する必要があった。(当然、メーカーのホームページを見て調べる、なんて時代ではないから、別途調査は書籍、専用ツール等に頼ることになる。あ、でもパソコン通信であれば可能であったから、HDDメーカーがBBSを開局していれば、そこでパラメータ情報を取得することができる可能性はあった。)

 さて、このボードを元に286ベースの時代に入ろうと考えたのだが、一緒に倉庫から掘り出してきた某マシンに入っていたパーツが余りにも「スゴ」かったので、本ボードについての記述は今回限りにし、。次回からは、この「余りにもスゴい」パーツをメインに展開して行く予定である。ついでに、某マシンと、それに付属していた某OSもネタとしては十分使える。数回に渡り順次ご紹介して行こう。

 暫しの間、震えて待て!!!


「DATATECH ENTERPRISES社製PTM-1235V Zero286」のBIOSを起動させたところ。BIOSの日付は1988年。をを!80年代製造だよ!!!それにしても、このメイン画面の素っ気なさは何だ!萎えるよなぁ・・・
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BIOSの基本中の基本、日付とかFDDとかHDDの有無を入れる画面。ボードには「DIP」のメモリチップが640KB分搭載されているので、ベースメモリは標準で640Kと表示されている。
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使用するHDDのパラメータを入力する画面。「BIOS Drive Type Table」と呼ばれるこの画面は、一般的なパラメータを持つHDDが、0番〜45番(ものによっては47番、49番、165番等々いろいろとあった)までデフォルトで登録されていた。因みに画面に出ている0番は、「SCSIもしくはHDD無し」を示している。このデフォルトで搭載されているHDDのパラメータ数は各メーカーによりまちまちであったが、その後大体0番〜45番までとなり、46、47番がユーザ設定可能であるものに集約されていく。因みに1番はST-506用で10MBのHDD用である!
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この画面は、BIOSが内蔵しているシステムのユーティリティーを表示させたものだが、驚くほどメニューの数が少ない。
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上述のHDDパラメータ設定で、48番に割り振られている「ユーザ設定画面」を表示させたところ。このメーカのBIOSは、0番〜47番までの48種類の設定がデフォルトで入っており、48番でパラメータを自由に設定できた。5個の数値を正確に入力しないと、HDDとして認識されない。メンドクセー!
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参考までに、当時発売されていたHDDの百科事典、1993年6月にMICRO HOUSE社より発行された「DRIVE PRO」第一巻「SET-UP GUIDE」より、AWARD BIOSにデフォルトで搭載されていたHDDパラメータの一覧を掲載しておく。AWARD BIOSでは、0番〜45番までのパラメータが内蔵されており、46番、47番はユーザが自由に設定可能であった。それにしても、搭載されているHDDの容量の少ないことといったら・・・最低10MBから最高でも159MBだよ、アンタ!!!時代を感じさせますなぁ・・・
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