「御巣鷹の謎を追う」 表紙
添付のDVDに墜落寸前のボイスレコーダーの記録を収録したドキュメンタリー。


WHOOPの意味 (2006/03/21)

 「御巣鷹の謎を追う」は、1985年8月12日に起こった、航空史上最悪の事故である、日本航空JL123便の墜落事故を解説したドキュメンタリーである。今までに多数出版された、同事故についての解説本と大きく異なる点は、添付DVDの中に、墜落の瞬間までのボイスレコーダーの全記録が格納されていることだ。さらに、CG合成による墜落までの飛行状況も収録されているので、事故の様子が生々しく再現されている。

 ところで、2005/08/23付けの本コラム「墜落!の瞬間(The Black Box)」で、本文中に出てきた「フゥープ(WHOOP)」の意味が不明だと記したが、「御巣鷹の謎を追う」を読むと、「WHOOP」とは地上接近警報装置(GPWS:ground proximity warning system)が発する警報音を表現したものだということがわかる。
( ̄〜 ̄)

 このボイスレコーダーの最後の部分、1985年8月12日18時56分16秒から、上記「WHOOP」音が聞こえてくる。「航空実用辞典」「地上接近警報装置(GPWS:ground proximity warning system)」の項目によると、地上接近警報は2段階に分かれている。一つはパイロットに地表衝突の危険とその原因を知らせるもので、“シンク・レート(降下率)”、“テレイン(地表)”、“ドント・シンク(降下するな)”等のアラート音声から成る。もう一つは、さらに墜落の可能性が大きくなった場合で、“WHOOP、WHOOP(フゥープ、フゥープ)"という警報音に“プル・アップ(引き起こせ)”という人工音声が続く。すなわち、この「WHOOP」が鳴り始めると、「もうダメポ・・・」ということなのだ。。。
ヽ(`Д´) ノ

 添付DVDのボイスレコーダーの内容を聞くと判るが、「WHOOP」とは、警報音を文字で示した擬音語であり、聞いた感じでは「ピュルルル、ピュルルル」という、極めて耳に付く音になっている。それにしても、収録されているボイスレコーダーの内容は、極めて不鮮明だ。これでも、デジタルノイズ除去処理を行っているのだそうだが、会話のやりとりが早い上に、雑音が多く聞き取りにくい。事故調査委員会が提出した会話内容にも、納得の行かない点が多々あるのも頷ける。

 ところで、このドキュメンタリーであるが、JL123便の事故原因について、今まで検討されてきた結果に、大きな疑問を投げかけている。墜落現場の確定と救出活動が遅れたことや、米空軍が早くから事故を確認していた事実、また圧力隔壁破損による急速減圧は無かったとする見方等、不明瞭な点が多い。真の原因は依然不明であるが、この事故の真相は単純なものでは無さそうな気がしてきて、恐ろしい・・・

<< Menu Page



Copyright (C) Studio Pooh & Catty
2001-2006