KOSMOS 表紙
サブタイトルとして「A PORTRAIT OF THE RUSSIAN SPACE AGE」と書かれた写真集。その名の通り、ロシア(旧ソ連)の宇宙開発に関係する写真資料である。マニア度かな〜り大!の一冊。。。


KOSMOS (2006/02/26)

 この本も、例によって筆者お気に入りのカルト本屋チェーン「VILLAGE/VANGUARD」で発見し、アマゾン経由で入手した一冊である。「アポロ VS ソユーズ」という、宇宙開発競争の歴史を、ロシア(旧ソ連)側から撮影した、貴重な写真集と言えるであろう。2001年、PRINCETON ARCHITECTUAL PRESS社刊。ISBN 1-56898-308-5。今もアマゾンから入手可能だ。興味の湧いた方はこちら。

 かなりカルトな写真集だ。共産圏の1960〜1970年代ファッションを十分満喫することができる。筆者的には、こういった懐かしい野暮ったさが大好きなので、一発でハマってしまった。当時使用されていた宇宙飛行士訓練施設の設備、機動車で運ばれるソユーズロケット・ブースター等々、珍しいカットが多数掲載されている。被写体は宇宙開発関連にとどまらず、当時の日常品にも及ぶ。何といっても、各写真のカット割り、被写体の選択が秀逸だ。研究員が昔から使っていた真空管ラジオ、宇宙カプセルの脇に置かれたサモワール、宇宙センターで使用されていた古い電話機など、撮影対象の選択が良い!全体的に渋い写真集に仕上がっている。一枚一枚の写真のディテールを見ていると、さらに楽しい。宇宙飛行士が事前に収容される居住区内を撮影した写真では、制御板の横に置かれたPCの画面に、Windowsのソリティアの画面が表示されていたりする。
ヽ(´▽`)ノ

 撮影は、ニューヨークを本拠地として活動している写真家のADAMS BARTOSという人。これだけの内容を、よく撮影したものである。なお、本書はハードカバーの大型本なので、購入する際には置き場所にも注意されたい。
ヽ(`Д´) ノ

KOSMOS 裏表紙
機関車で発射台まで輸送されるソユーズロケットを撮影した、裏表紙の写真。


真空試験室の制御板
アナログ感覚満点の制御卓。解説には、真空試験室の制御板とある。


古い電話機群
設計技師のイゴール・バーミンが保存している電話機群。バーミンの父親は、ソビエト宇宙開発プログラムのパイオニアだったそうである。写っている電話機も、新旧取り混ぜてバラエティーに富む。こういったディテールに拘りまくっているところが、本写真集の大きな魅力となっている。


宇宙開発センター内の会議室
壁面いっぱいに描かれたスプートニクのデザインがスゴイ!ポートレートはロシアのコスモノーツの父、コンスタンティン・ツィオロコフスキーとのこと。旧ソ連を感じさせる一枚である。


発射台へ輸送されるソユーズロケット
本書裏表紙にも掲載されている写真。ソユーズのブースターエンジン部分を機関車で運んでいる場面である。使用している機関車は、TEM 2-6818型ディーゼル機関車とのこと。晩夏の草原をゆっくりと移動している様は、迫力十分だ。


 ついでに、米ソ宇宙開発競争に関する書籍を一冊。ソニー・マガジンズ刊行の「アポロとソユーズ」である。人類初の月面着陸に向けて熾烈な競争を演じていた両国の事情を、ボストーク2号で人類初の宇宙遊泳を果たしたソ連のアレクセイ・レオーノフと、アポロ15号で月面探査を実施したアメリカのデビット・スコットの両サイドから記録したドキュメンタリーである。

 内容は、両国の筆者が、それぞれの経験談を交互に語る形式で進行する。米軍のエリートとして恵まれた環境に置かれたデビット・スコットの、良くできましたというお話しよりも、シベリア生まれで貧困に苦しんだアレクセイ・レオーノフの壮絶な物語の方が、圧倒的に迫力があり面白い。今から思えば、旧ソ連は、良くスプートニクを打ち上げ、ガガーリンを宇宙に送ったものである。ご興味のある方は、どうぞ!!!

ソニー・マガジンズ刊行の「アポロとソユーズ」 表紙
米ソ宇宙開発競争を、両国の側から交互に述べたドキュメンタリー。

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