「素数に憑かれた人たち」 表紙
かなり読み応えがあるが、良くまとまっている「素数本」の定番。500ページ近い内容であるが、読み始めるとイッキである・・・つっ疲れた・・・


素数に憑かれた人たち (2006/02/17)

 多くの「素数本」の中でも、本書は定番中の定番。かなり前にアマゾンで購入したのだが、長らく「積ん読」状態になっていた。時間ができたので一気に読んでしまう。定番だけのことはあり、内容は大変面白い。他の「素数本」と異なるところは、数式の世界に、かなり踏み込んで解説している点であろう。一般ドキュメンタリーとして書かれた「素数本」で、リーマン予想を数式で表したものは少ない。数学の世界に踏み込まなくても、ドラマとしてのリーマン予想も、面白いことは面白いが、やはり本質を見るには、ある程度数式が必要である。
( ̄〜 ̄)

 本書の著者であるジョン・ダービーシャーは、プロローグでも「知的であり、好奇心もあるが数学者ではない」読者を対象に、この本を書いたと述べている。そうはいっても、理工系を専門にしていないと、全てを理解するのは少々難しいかもしれない。しかし、内容は基本的なところから丁寧に解説している。同じくプロローグで「「本書を読んでリーマン予想を理解できなければ、これから先も理解できないことを確信して良い」と言い切っているだけのことはある。
ヽ(´ー`)ノ

 理工系出の人にとっては、それほど難解な内容ではないと思われる。むしろ、基本的な解説が多く、かえって読みずらい点も出てくるかもしれない。そうはいっても、本書の白眉である19章「黄金の鍵を回す」や21章「誤差項」は、かなり読み応えがある。従来のリーマン本と比較して、読後の満足感が高い点は、やはり本書の数式による解説を理解したことに寄るところが大きい。

 本書は、その構成にも特徴がある。偶数章で、リーマン予想を主軸とした、数学史の背景を述べ、奇数章で数式を使った解説を試みている点だ。数学が苦手な人には、偶数章のみをピックアップして読んでも、それなりに面白く読めるように書かれている。発行は日系BP社。2,600円は、濃い内容を考慮すると、十分に安い価格である。最初、さりげなく読み始めたが、グイグイ引き込まれて、結局イッキ読みになってしまった。。。面白いが疲れたね。。。「素数に憑かれた人たち」、ならぬ「素数に疲れた人」になってしもうたよ・・・

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