「コンピュータが計算機と呼ばれた時代」 表紙
FUJIC、NEAC-1101、眼鏡型パラメトロン、4線式磁心記憶装置、大阪大学真空管計算機、計算機用リレー等の写真が配された表紙。


コンピュータが計算機と呼ばれた時代 (2006/01/20)

 筆者は、この手の本には目がない!「コンピュータが計算機と呼ばれた時代」は、日本のコンピュータ産業の黎明期を、豊富な写真資料をもとに解説した本だ。敗戦国日本が、海外からの少ない情報を元に、いかにしてコンピュータ産業を立ち上げていったのかが、まとめられている。1952年に電気試験所で制作されたリレー式計算機「ETL Marl T」に始まり、真空管方式、パラメトロン方式、トランジスタ方式の計算機が、年代順に紹介されていく。

 本書の魅力は、なんといっても豊富な写真資料が掲載されていることにある。この時代の計算機は、極めて規模が大きかったため、そのほとんどが国立科学博物館やメーカーの展示室に保存されているが、中には完全に解体処理されてしまい、今となっては、数枚の写真しか残っていないものもある。こうした初期の計算機の外観は、まるで1950年〜60年代のSF映画そのものだ。特に富士通が1954年に製造したリレー式計算機「FACOM 100」はスゴイ!コンソール上部のパネルに多くのランプが配されており、計算中はそれらが明滅したというから、感動モンである!まるで映画「禁断の惑星」そのものだねぇ・・・
ヽ(´▽`)ノ

 オリジナル技術開発力に乏しいと言われている日本でも、パラメトロンというデバイスを独自で開発し、これを計算機に応用している。当時、バカ高かったトランジスタが入手しづらい時代、真空管では安定性に欠けるということで開発されたデバイスであるが、極めて安定しており、長時間の連続稼働が可能であった。その上、パラメトロンは各メーカー独自で製造可能であり、デバイス供給の面からもメリットがあった。
( ̄〜 ̄)

 それにしれも、当時の計算機製造現場の写真は、実におおらかである。湯飲み茶碗を片側に置いて、40W程度のでっかい半田ゴテで記憶装置(!)を作成している場面など、今では到底考えられない。筆者も、この時代に生まれたかったよ・・・
(´ヘ`;)

 2005年12月15日、アスキー発行。著者は、財団法人C&C振興財団編。資料としても貴重な一冊である。なお、日本におけるコンピュータの歴史については、社団法人情報処理学会のWEBページで詳細を知ることができる。URLはこちら。

「コンピュータが計算機と呼ばれた時代」 裏表紙

「A COMPUTER PERSPECTIVE」 表紙
1890年代〜1940年代の計算機(コンピュータ)を、多数の写真でビジュアルに解説した資料である。

 ついでにもう一冊。こちらもコンピュータの歴史を解説した名著である。「A COMPUTER PERSPECTIVE(コンピュータ・パースペクティブ:計算機創造の軌跡)」は、チャールズ&レイ・イームス事務所が、1971年〜1975年にかけてIBMの世界貿易館内共同展示センターで実施した、同名の展示会をベースにまとめた書籍である。この本には、1890年代の純粋にメカニカルな計算機から、1940年代の電子式計算機までを、体系的にまとめている。1994年3月1日、初版発行。アスキー刊。レトロパソコン愛好者は要チェックである!
ヽ(´ー`)ノ


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