素数の音楽 表紙
マーカス・デュ・ソートイ著の数学ドキュメンタリー「素数の音楽」


■素数の音楽 (2005/12/03)

 仕事のストレスが溜まって体調を崩す。WEBの更新も行わず、しばらくゴロゴロと寝て過ごし休養する。しかし、寝てばっかというのもヒマなことこの上ないので、ツンドク状態となっていた本を読む。マーカス・デュ・ソートイの「素数の音楽」は、朝日新聞の書評にも取り上げられた名著だが、500ページ近い大作ということもあり、まだ手を付けていなかった。これを機会に読み始めてみたら、こりゃ面白い!!!もうほとんど一気読み状態である。これじゃ、体を休めているのかそうでないのか、全くワカラン・・・・
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 それにしても、最近の素数、数論ブームはちょっとしたものだね。書店の科学コーナーには、一般向けの数論啓蒙書が山積みになっている。特に素数関連書籍は人気が高い。本書は2005年8月30日に初版が発行され、11月5日で早くも3刷という人気書籍である。著者のソートイは、イギリスでも有数の数学者で、この本は初の一般向け書籍とのことであるが、なかなかどうして、読ませる読ませる!題名もお洒落だが、内容も素数、特にリーマン予想を音楽に比喩する等、工夫が見られる。既出の「リーマン博士の大予想」も面白かったのだが、あまりにも生真面目だった。そういった点で見ると、流れるような文体と凝った演出で書かれた本書の方が、傑出していると言えるだろう。

 面白いのは、リーマン予想の証明達成に近い数学者として、著者により全く異なる人物をあげている点であろう。「リーマン博士の大予想」の著者カール・サバーは、ド・ブランジュという数学者を筆頭にあげている。但し、関数空間論に帰着させるという彼の発想が、多くの数学者から疑問視されているということは、訳者もあとがきで触れている。一方「素数の音楽」のソートイは、ド・ブランジュについて本書では触れていない。おそらく、過去に色々と間違った証明を出し、物議を醸しだしていることから、意図的に避けているのであろう。ソートイは、証明達成に近い人物として、数学者のアラン・コンヌをあげている。この辺りは、今後どのように展開するか、全く予想が付かないリーマン予想の証明の現状を表しているようだ。。。

 余談だが、本書は装丁そのものも大変お洒落である。一方、500ページになんなんとする大作であるにもかかわらず、値段は2,400円とお手頃だ。新潮クレスト・ブックス刊。

素数の音楽 装丁
お洒落だ!あまりにもお洒落な装丁だ!!!


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