Psion社空前絶後のレアマシン、MC200 Psion社のノートブックPC、MCシリーズは、ほとんど知られていないマイナーマシンであるが、MC200はその中でも特にカルトなマシン。滅多に見かけることが無い。Psion製ツチノコマシンと呼んでいるくらいだ。 ヽ(´ー`)ノ |
■MC200というマシン・・・ (2005/11/15) e-Bayにて落札したPsion MC200が送られてきた、って書いたところで、MC200というマシンが一体何者なのか、お判りにならない方がほとんどであろう。無理も無い。知ってる方が異常、というより変態である。Psionにはかつて、モバイルコンピューティング用ノートブックシリーズとしてMC系列という製品群が存在した。といっても、このシリーズは200、400、600の3機種しか無く、しかも発売された数も恐ろしく少なかったのだが。MC200は、MCシリーズの初代機であり、エントリー用として1989年9月26日に、£595.00で発売されている。もっとも、400、600も同日に販売されたとの記録がある。上位機種のMC400は、£695.99。最上位機種のMC600は、£1295.00であったそうだ。
MC系列のマシンは、CPUにintelの80C86を採用している。MC200とMC400には、EPOC OSの基礎とも言える、Psion純正マルチタスクOSを搭載しているが、MC600はMS-DOSなんかを搭載しちゃってるのが、この系列の変態的な魅力である。MC200は、基本仕様としてはMC400と変わらないが、大きな違いはLCDの解像度である。MC200はLCDパネルに640×200 dotのブルー/ホワイトSTN液晶を搭載していたが、MC400では640×400 dotに拡張され、液晶も白黒STNに変更されている。要は、MC200はMC400の廉価版であり、MC600は他二機種とは似てもに似つかぬ異端児であった、というのが端的な表現だ。 さてこのMC200、発売当時に£100アップで、高解像度仕様のMC400が購入できたということもあり、おそらくはほとんど売れなかったものと思われる。正に悲劇のマシン。幻のマシン。ツチノコマシンと言われるのも理である。そのシッケシケのLCD画面を見ていると、かえって何だか愛着が湧いてくるというものだ。ミニマリズムの極地、でもガタイはデカイ、といった、結構オマヌなマシンなのである。 以下に、MC200、400、600の仕様を記載しておく。 |
項 目 | MC200 | MC400 | MC600 |
メーカー | Psion | Psion | Psion |
発売年 | 1989/9/26 | 1989/9/26 | 1989/9/26 |
CPU | 80C86 | 80C86 | 80C86 |
クロック | 7.68MHz | 7.68MHz | 4.77/7.68MHz |
ROM容量 | 256KB | 256KB | 256KB |
RAM容量 | 128/256KB | 128/256KB | 768KB |
LCD | ブルー/ホワイトSTN | モノクロCGA | モノクロCGA |
解像度 | 640×200 | 640×400 | 640×400 |
キーボード | QWERTY61+8補助 | QWERTY61+8補助 | QWERTY61+8補助 |
I/Oポート | Serial × 1 Parallel ×1 MIC ×1 SpeaKer |
Serial × 1 Parallel ×1 MIC ×1 SpeaKer |
Serial ×1(COM1) 外付けFDD I/O 外部CGAモニタ出力 |
本体重量 | 1.90kg(含バッテリ) | 1.90kg(含バッテリ) | 1.90kg(含バッテリ) |
メインバッテリー | 単三乾電池×8本 | 単三乾電池×8本 | 単三乾電池×8本 |
サブバッテリー | CR2016 | CR2016 | CR2016 |
SSDスロット | 4スロット実装 | 4スロット実装 | 4スロット実装 |
寸法(mm) | 314(W)x227(D)x49(H)mm | 314(W)x227(D)x49(H)mm | 314(W)x227(D)x49(H)mm |
搭載OS | Psion Multitask OS(EPOC) | Psion Multitask OS(EPOC) | MS-DOS Ver 3.22 ROM |
内蔵ソフトウエア | Alam、Calc、Diary、Fileman Linkm、Pdb、Term、Text |
Alam、Calc、Diary、Fileman Linkm、Pdb、Term、Text |
Lap-link、Alias、Editor PIM Software |
外部電源 | ACアダプタ(12V DC) | ACアダプタ(12V DC) | ACアダプタ(12V DC) |
MC200上面 本来であれば、取っ手(ハンドル)が付いているはずなのだが、なぜか本マシンには無い。おそらく邪魔だから取り外してしまったものと思われる。 |
MC200のキーボード キーボード上面に配置された四角いエリアが、このマシン最大の特徴、グライドポイントまがいのタッチパッドである。GUIを全面的に採用したマシンであるから、ポインタ移動用I/Fは欠かせない。但し、古い製品だけのことはあり、操作感はイマイチ・・・ |
MC200のエンブレム 超希少種、MC200を示すエンブレム。PsionはMCシリーズを「モバイルコンピュータ」と称した。Organiser IIと比較すると、モバイルでも何でもないほどデカいんだけどねぇ。。。 |
MC200底面の銘板 シリアル番号は100253。マルチタスクOS搭載、GUI搭載、256KBのRAM搭載と、誇らしげに記載されている。 |
さて、これだけマイナーなマシンということもあり、よもや日本語表示が可能などとは、真っ当な神経の持ち主であれば、想像もしないであろう。ところがどっこい、このような変態マシン上でも、ナント!日本語エディタ(のようなもの)が動いてしまうのである!作者は、Psionの日本語化にかけては、並ぶ者が無いと称されている、隠遁プログラマー、柴隠上人 稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏。まあ、Organiser IIの画面上で日本語エディタ(俳句エディット)を作成してしまう氏からすれば、MCシリーズのようなマシンのエディタなど、朝飯前といったところであろう。しかし、これが意外と難しいとのことなのだ。
MCシリーズは、他のPsion製品と異なり、ライブラリの公開が十分では無い。そのため、画面制御を行う上で、数々の問題が発生する。現状のMC用日本語エディタソフト「MCエディット」では、その辺の細かい部分については、完全に対応されてはいない。とはいえ、このような超太古でカルトなマシン上で、基本的な日本語入力が出来てしまうのは、驚き、というか呆れてしまったわい・・・ 以下に、おそらく世界で初めてであろう、MC200の画面に表示された日本語の写真を掲載しておく。なお、MC600は、OSにMS-DOSを採用した、立派な「謎ぱ〜」の部類に属するので、日本語化はDOS/Cの技法で難なく可能であり、あまり面白くない。
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MC200のGUI画面 MC200を起動させたところ。システムウインドウが、画面下部に表示される。画面上部には、各種制御を行うためのコマンドが、タブ形式で並ぶ。しかし、640×200ドットのチンマイ画面でのGUIの、なんとせせこましいことか!システムウインドウ右端にある「日本」と書かれたアイコンが、柴隠上人 稀瑠冥閭守 (Kerberos)氏制作の怪作、MC用日本語エディタソフトである「MCエディット」のアイコンである。 |
MCエディットの起動画面 MCエディットを起動させ、適当な文章を読み込ませたところ。うぁお!確かにちゃんと日本語が表示されているyo! |
MCエディット画面の拡大写真 日本語表示フォントを拡大したところ。表示されている文章は、筆者がかつて技術評論社のモバイルプレスに掲載した、MC400の記事の一部である。 |
せっかくなので、MC200の構造についてもちょっと触れておく。詳細は、休刊になっちまったモバイルプレス誌2004年夏号「しつこく続く濃い系Psionの世界 #6
Psion MC400とPsionの周辺機器について」を、古本屋等で見つけてもらい参照されたい。 ヽ(´ー`)ノ
まず、SSDスロットであるが、Psion製品最多の4スロットを搭載しており、最強の構成である。スロットは左右2つずつ。カバーを開くと自動的にイジェクトされる仕組みだ。左側スロットの近傍には、サブ・バッテリであるCR-2016を入れるスロットが「隠れて」いる。このスロット、マニュアルを見ないと絶対に在処が判らないという、親切設計だ!
SSDスロットのドライブ構成は非常にシンプルで各ドライブ名とスロットとの関係は以下のようになっている。 マシン背面には、両端に拡張スロット、中央にバッテリ格納スロットが配置されている。拡張スロットには、別売りのRS-232CシリアルI/F等を搭載することができる。バッテリは、単三乾電池を実に8本も使用する。あまりに数が多いため、専用のバッテリーケースに4本ずつ2段重ねで搭載したものを、本体に取り付ける仕組みだ。この辺りのギミックは、なかなか他のマシンでは見ることができない秀逸なものだ。
あ〜、今回はなんかマジで書いちゃったよ。疲れた〜〜〜、へたれた〜〜〜!
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SSDの搭載状況(マシン右側部分) このように2段重ねで挿入する仕組みになっている。 |
SSDの搭載状況(マシン左側部分) マシン左側には、ちょっとやそっとじゃ判らないサブ・バッテリ搭載スロットが配置されている。 |
マシン背面のスロット群 両側がI/Fモジュールを搭載するスロット。中央が8本もの単三乾電池を収納する、専用のバッテリーホルダー。 |
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