■失踪日記「全部実話です(笑)」 (2005/06/25)

 文句無しに面白い!傑作である。漫画家吾妻ひでおが自らの体験を元に描いた、漫画自伝なのだが、失踪・自殺未遂・肉体労働・アルコール中毒といったハードな経験を、悲壮感一切無しという独特な切り口で描いており、見事。週刊朝日で取り上げられただけのことはある内容だ。

 なぜこれほど面白いかと言えば、この本の内容が全部「実話」だからであろう。ホームレス時代の食い物の獲得方法、シケモクの効率的な調達方法等、思わず感心してしまう。これを読んでいれば、将来ホームレスになっても、なんとか生き延びて行くことができるというもので、大変参考になる。特に傑作なのは、アルコール中毒で入院した時の話し。もう、出てくるヒトがみんな変人、というか逝っちゃってるので、抱腹絶倒だ。アルコホーリクス・アノニマス(無名アル中)という名称の自助団体の話しなど、並の小説などより格段に面白い。

 悲惨な内容を取り扱いながら、読み終えて悲壮感が皆無という本も珍しいのではなかろうか?それどころか、この本を読むと、「なんとかなるベェ!」と開き直る勇気さえ与えられる。説教じみた内容の実用書より、よほど実生活に役に立つ名著と言えよう!世知辛い世の中に嫌気の刺した人に最適の一冊!イースト・プレス社刊行。1,140円也!

吾妻ひでお著「失踪日記」の表紙


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