このなんとも寝ぼけた色のトランジスタラジオは、筆者が1986年春に北京
へ観光旅行に出かけた際、北京市内のうらぶれた電気屋にて購入したものだ。
型名を「咏梅(Yong Mei)ラジオ(Model 834)」と言う。マ
ニュアルには、「7半導体管袖珍収音机」と書かれており、7石ポータブルトラ
ンジスタラジオを意味している。このラジオ、デザインも出色だが、何と言って
も驚いてしまうのは、電源に単一乾電池1本を使用するということだろう。災害
時の非常用ラジオには単一電池4本で駆動するライト付きというものもあるが、
ごく普通のポータブルタイプで単一を使用するというのは珍しい。おかげで、ケ
ースのデザインは涙滴型に膨らんでおり、なかなか面白い。
機能的には全く普通のAM受信機。表面に同調ダイアル、裏面に音量ダイアル
が配置されている。付属品として、これまた懐かしい形をした、いかにも耳に痛
そうなデザインのイヤホンが付く。使用しているトランジスタは、メタルパッケ
ージとプラスチックパッケージの2種類。内部構造は一昔前のトランジスタラジ
オそのものだ。受信感度は極めて良好。実用としても十分に使用できる。