昔、民宿や寮の共同電話機の横には、電話料金徴収用の箱が置かれていたもの だ。いやいや、今でも筆者が利用している伊豆の寮には、ここに掲載したものと 同じような形をした電話料金箱が、現役で使用されている。まあそれは特異な例 で、携帯電話とカード式公衆電話が普及した現在、このような機器はすっかり姿 を消してしまった。 このGC電話料金箱の「GC」が何を意味しているのかは不明であるが、元箱 付きのデッドストックで保存されていた珍しいものである。商品の型番は、GC −105。筐体はスチール製でなんとも寝ぼけた水色に塗られており、郷愁を誘 う。単純な製品なのだが、意外に良く出来ている。蓄積した硬貨は、本体下の取 り出し口から回収するのだが、ちゃんと鍵がかかるようになっている。その鍵も 薄っぺらく安っぽいものでは無く、真鍮製の立派なものだ。
この商品は、貯金箱としても利用できるように、「CG貯金箱」のプレートシ ールが付属する。まあしかし、プレートシールを張り替えるだけで、製品そのも のは何ら変わらないのだから、わざわざ張り替える必要も無いと思うのだが。そ れに、自分で鍵を持ってたら、よほど意志の強い人でない限り、資金不足時に開 けて使っちゃいそうだ。などと、細かいツッコミを入れてみたくなる付属品だ。 梱包用の箱の表面には、下記のような特徴が記されていた。 《特徴》 ◆丈夫でスマートなスチール製。 ◆美しい高級焼付塗装。 ◆GC電話料金箱のプレートを同封してあるGC貯金箱のプレートに変えて、 貯金箱として御利用願います。 ◆プレートは裏面を取るだけで、よく密着します。 なかなか古風な言い回しだが、「貯金箱として御利用願います。」というのは ちょっと変な表現だな。当時の価格は、おそらく700円。スチール製で手の込 んだ作りになっているので、結構高かったものと思われる。箱の配色がレトロで 雰囲気が出ている。おそらく昭和40年代初期の製品と思われるが、正確な製造 年は不明。