ここに掲載したラジオは、前出の浦沢商会製並三3球ラジオRK−3型と同じ 構成のものだ。但し、浦沢商会のキットが1971年頃の製品だったのに対し、 ここに掲載したものは1974年頃のものであり、3年程度後に作られている。 このラジオは、筆者が中学生の時に、技術家庭の実習として制作したものだ。当 時、技術家庭のラジオ製作実習は、ちょうど真空管方式からトランジスタ方式へ 転換する時であり、他の学校では一部トランジスタを使用した実習を行っている ところもあった。筆者が通っていた中学校では、従来通りの真空管式3球ラジオ を製作していたのである。いかに1974年頃のこととはいえ、真空管式の部品 は手に入りにくくなってきていたのは事実であり、確か翌年の実習からはトラン ジスタラジオになったような記憶がある。 基本構成はごくごく一般的な3球ラジオそのものであるが、浦沢商会のキット と異なり、シャーシは自分で加工しなくてはならないし、前面化粧パネルも付い ていない点が、いかにも実習教材らしい。
使用している部品であるが、前出の浦沢商会RK−3型と大きく異なっている ところが電源トランスである。このラジオでは、縦型にマウントするタイプのも のが使用されている。RK−3型に使用されていた古典的な形状の電源トランス は、この頃既に入手しにくくなっていたものと思われる。 バリコンは、今となっては非常に懐かしいアルプス電気製の338PF単連バ リコン。コイルは当時としては定番であったトリオの並四コイルが使用されてい る。コストを優先し、電源スイッチにはボリウムと分離したタイプのものを採用 しているので、RK−3型に比べるとツマミの数が1つ多い。 参考までに、トリオ並四コイルの取り扱い説明書を下記に掲載しておく。 ・トリオ 並四コイル 取り扱い説明書