波多 利朗の Funky Goods連載再開の第7回目 Part.2である。本稿は、本誌1月号の特集「キーボードにこだわる!」に合わせて掲載する予定だったのだが、本業が多忙を極めていたため掲載が遅れてしまったのだった。筆者は、94年5月号でもKinesis Ergonomic Keyboardの紹介記事を執筆しており、変わり種のキーボードについては、かなりの数のものを収集している。本稿では、それらの中からMaltron Ergonomic KeyboardとBAT Personal Keyboardの二つのユニークな製品を取り上げた。
Maltron Ergonomic Keyboardは、KinesisのErgonomic Keyboardと似た独特の湾曲したフォルムを有する製品で、多用するキーを親指で操作するというコンセプトも共通している。左右のキーブロックの間のスペースにテンキーパッドが配されているため、異様なインパクトのある外観となっている。
このキーボードの最大の特徴は、通常のQWERTY配列のほかにMaltron配列と称する独自のキー配置にも対応していることである。この配列は入力の効率化のために考案されたものとのことだが、英語入力時のキーの使用頻度に基づいているため、日本語入力時の効果は未知数である。また新しいキー配置での入力に慣れるには相応の期間を要すると思われる。
キーボード本体は薄いプラスティックで成形されており、その加工精度はお世辞にも良いとは言えなかった。持ってみると驚くほど軽く、全体的に安っぽい印象を受けるが、それがまた変態キーボードとしての雰囲気を色濃く醸し出していたものだ。
BAT Personal Keyboardは、片手操作での入力が可能な、いわゆるコードキーボードの一種である。これまた極めてユニークな外観で、複数キーの同時押し下げによる操作方法も独特なものだった。通常のキーボードとカスケード接続をして同時に利用することも可能で、補助的な入力デバイスとしての利用も想定された製品となっていた。
(補記)
本稿の前フリでは、科学教材社のMT管を使用した3球ラジオキットについて取り上げた。筆者は、幼少の砌から真空管ラジオの自作が趣味で、こうしたキットには目がないのである。そんな訳で、本題とは全く無関係な並三ラジオについての技術解説も囲み記事として掲載してしまった。